Elixirとは? ポリウェブとナノウェブの違いとアンチラスト
Elixir(エリクサー)とは?
Elixir(エリクサー)といえば言わずもがな、コーティング弦の定番ですね。
特殊なポリマーコーティングで弦を汗や空気中の水分から守り、サビにくくすることで長寿命を実現した画期的な弦です。
今ではアーニーボールやダダリオもコーティング弦を造っていますが、エリクサー弦がコーティング弦の元祖です。
商品バリエーションも非常に幅広く、通常のエレキギター・ベース・アコースティックギターはもちろん7弦ギターや12弦ギターなどの多弦ギター、5弦ベースや6弦ベースなどの多弦ベース用のものもあり、更にはバンジョーやマンドリン用まであり、幅広いバリエーションを誇っています。
コーティングの種類 ポリウェブとナノウェブの違い
エリクサー弦にはポリウェブ(POLYWEB)とナノウェブ(NANOWEB)の二種類があります。
この二つの決定的な違いは、コーティングの厚みです。
ポリウェブはナノウェブに比べコーティングに厚みがあり、耐久性に優れている点が特徴。
ナノウェブはコーティングを極限まで薄くすることにより、コーティング弦特有のデメリットを最小化したのが特徴です。
元々エリクサー弦は発売当初、ポリウェブのみのラインナップでした。
が、コーティング弦の登場は多くの歓迎されるとともに、音のブライト感が失われ、ウォームになる点が指摘されました。
これが音抜け、音の立ち上がりが鈍くなるとして、コーティング弦のデメリットとして捉えられたのです。
コーティング弦は音がこもるなんて言われるのはこのポリウェブのイメージによるところが大きいです。
そのためGORE社は、改良型としてコーティングを薄くし弦の凹凸にぴったりと沿わせたナノウェブを開発しました。
分厚いコーティングが施されたポリウェブに比べ耐久性とフィンガリングノイズへの耐性は若干損なわれましたが、非コーティング弦に近いより自然なタッチとサウンドを実現することができました。
今では耐久性に優れたポリウェブと、コーティング弦でありながら非コーティング弦に近いナノウェブ弦の双方とも広くユーザーに愛されています。
アンチラスト弦(Anti-Rust)とは
実は、エリクサーを含む多くのコーティング弦では、コーティングが施されるのはワウンド弦のみでプレーン弦は非コーティング弦セットされています。
(ワウンド弦=巻き弦:エレキギター弦の4弦~6弦・アコギ弦の3弦~6弦 / プレーン弦:エレキギター弦の1弦~3弦、アコギの1弦と2弦)
そのため長寿命のワウンド弦とプレーン弦との間に耐久性の差が開き、ワウンド弦は無事でもプレーン弦は先に張り替えないといけない事態が発生していました。
これを防ぐため、エリクサー弦ではプレーン弦にアンチラスト(Anti-Rust)と呼ばれる腐食防止の加工を行い、錆びにくくすることによって総合的な耐久性を底上げしています。
コーティング自体はなされていないので非コーティング弦とも大きな違いはなく、感触など特にこれといったデメリットもありません。
アンチラスト技術をワウンド弦にも利用すればそもそもコーティングすらもいらないんじゃないかとも思うんですが、なぜかそういうものは出ないんですよね。
技術的に難しいからなのか、減らない消しゴムみたいなものだから開発されないのか……
豆知識 ゴアテックスとエリクサー
みなさんゴアテックス(GORE-TEX)って、聞いたことありませんか?
登山やスキー好きであれば、みなさんご存知でしょう。
防雨性・防風性に優れながらも汗を外へと出す防湿性と軽量さも兼ね備えた人気アウトドアウェア素材です。
実は、エリクサー弦はこのゴアテックスと同じくGORE社によって造られたもの。
エリクサーのポリウェブが発表されたのが1997年のNUMM SHOWの時ですから、もう前世紀の話なんですよね。
そんなに前からコーティング弦を実現したのは、画期的なアイデアに加えてGORE社ならではの高い技術力があってこそだったのでしょう。
ポリウェブとナノウェブの違い まとめ
- ポリウェブはナノウェブに比べコーティングが分厚く、総合的な耐久性に優れる。
- ナノウェブは極限までコーティングを薄くすることによってデメリットを緩和し、非コーティング弦に近い音色を実現。
- コーティングされないプレーン弦には特殊な処理を施し耐久性を高めたAnti-Rust弦が採用されている。
ポリウェブとナノウェブ、どちらも人気はありますが、やはり後発のナノウェブの方が愛好家は多いですね。
ナノウェブの方が若干高くはなっていますが、やはり分厚いコーティングによる音のこもりが気になる方が多いようです。
だからといってポリウェブがダメってわけではありません。
音が柔らかくなるデメリットを逆にうまく使えば柔らかい音作りに向いているとも言えますし、何よりその高い耐久性は魅力的です。
どちらも試してみて、自分に合ったものを探せるお手伝いができれば素敵です。
ディスカッション
コメント一覧
ワウンド弦はアンチラスト技術を施しても
皮脂などのゴミが溝にたまれば、音質は損なわれます。
なのでコーティングが必要です。
他の人のコメントと重複していたら、すみません。
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