BELDENシールド 型番ごとの違いと特徴
多くのギタリスト、ベーシストから支持と信頼を一身受けるBELDEN(ベルデン)は、エレキギター用・ベース用ハイエンドシールドの代表格として君臨しています。
一般的なシールドケーブルよりは若干高いながらも、モンスターケーブルほどではないお手頃感もGood。
しかしそんなBELDENのシールドにもいくつかの種類があり、違いがよくわからない方も多いかと。
(BELDEN最大のライバルともいえるモンスターケーブルはエレキギター用、ベース用と分かれていてわかりやすいんですが……)
今回はエレキギター用・ベース用として販売されている「 #8412 」「 #9395 」「 #9778 」の3種に加え、少しレアな「 #8410 」の違いや特徴をまとめます。
BELDENとは?
BELDEN公式サイトより © Belden Inc.
BELDENの歴史は古く、ジョセフ・C・ベルデン氏が1902年にプロ用のケーブルメーカーとして創業。アメリカのシカゴでのスタートでした。
私たち楽器畑の人間にとってBELDENといえばシールドですが、もともとエレキギター・ベースシールド専用として生まれたわけではなくオーディオアンプを含む多くの機器や回路、工業用途などに使うために作られています。
#8412 / #9395 / #9778 / #8410それぞれの特徴と違い
数あるBELDENケーブルのなかでも、特にギターやベース向きの特性を持つ #8412、#9395、#9778 が定番シールドケーブルとして使われています。
これに加えちょっとマニアックながら根強い人気を持つ#8410もあります。
BELDEN自身がギター・ベース向けシールドとして出している商品では、
- #8412 “The Wired"
- #9395 “The British"
- #9778 “The 60′s”
- #8410 “The Blues”
と愛称がつけられています。それぞれの特徴と違いを解説します。
#8412 “The Wired"
#8412 “The Wired"はミドルが強く全体的に音圧があるワイドレンジモデル。
#9395や#9778と比べるとバランスの良い特性を持つ印象です。
クリアなサウンドでクセもないので「 BELDENのシールドが欲しいけどどれがいいかわからない! 」って方はとりあえず#8412がオススメ。
後述する2芯構造であることもあり、実は #8412 / #9395 / #9778 BELDEN三兄弟の中ではもっともハイファイなケーブルです。
ケーブル径が6.65mmあり、ほかの2種類よりも太いのでよりしっかりとした感触があります。
ただ、その分硬いためこまかい取り回しには難があるので、よく動き回る方は少しストレスを柔らかいケーブルが好きな方にはあまりオススメできません。
中音域を制する者は……
エレキギターでもベースでも、初心者のうちは低音や高音にばかり気をとられがちです。
が、エレキギターでもベースでも一番おいしい音域は「 中音域 」です。
あえて低音域や高音域ばかり強調したドンシャリサウンドもありますが、やりすぎるとバンドの中で音が埋もれ存在感がなくなってしまうことも。
なので、理由も意味もなくただ低音域や高音域にこだわるより、中音域を見直す意味でもBELDEN #8412はとてもオススメ。
「 中音域を制するものがバンドサウンドを制する 」ってゴリラみたいな部長も言ってた。
2芯構造でノイズに強い
#8412の径が太めなのは、内部構造が2芯のケーブルだから。
ホットだけでなくコールドの結線も可能で、キャノンプラグをつけてマイクケーブル・PAケーブルとしても良く使われます。
ギター・ベース用のシールドケーブルとして使うにはホットとアースだけ確保できればいいので、本来は1芯で十分。
が、#8412は中が2芯ありねじねじしてあるツイストペア構造で、#9778や#9395よりも若干ノイズ耐性が高い特徴があります。
ツイストペア構造だとシールド内部でもお互いにノイズを消しあってくれるので、ケーブルの外側に張られた網状のシールドを通り抜けてしまったノイズもある程度緩和されます。
その点、特にノイズが気になるエレアコにも最適ですね。
#9395 “The British"
#9395 “The British"は中音域から低音域が強めに出るシールドで、ベースやヘヴィーサウンドのギター向けといえます。
低音域よりになりつつある近年のロックサウンド~メタルサウンドはもちろん、ジャズやブルースなどミッドロー強めのサウンドにも使いやすい。
ケーブル径は5.97mmで#8412よりも細く、取り回しがしやすいのが特徴。たった1mmにも満たない差ですが、実際触ってみると柔らかさがかなり違います。
ステージ上でよく動き回る人は#8412よりもこの#9395か、後述する#9778がオススメ。
#9778 “The 60′s”
#9778 “The 60′s”は低音は出にくい反面、中音域から高音域にかけてを強調する特性を持ち、音のクリアさと音抜けが三兄弟の中でもピカイチ。
エレキギターで音抜けが必要なプレイには#9778がオススメ。
たとえばクランチやカッティングプレイなど爽快感が必要なロックサウンドによく合うシールドです。
#9395と同じくケーブル径は5.97mmで取り回しがしやすく、激しく動き回っても重さやストレスはあまり感じないはず。
#8410 “The Blues"
#8410 “The Blues" はサウンド的には全体的にフラットながら、#9778のように若干高音域を持ち上げてくれる音響特性を持っています。
とはいえ高音の強調もナチュラルなレベルで、#9778では高音が耳につくと感じる方やなるべくフラットでクセがない方が好きな方は#8410の方がオススメ。
クセがなく幅広く使える
The Bluesと名うってはいますが、クセがないためブルースのみならずさまざまなジャンルによく合います。
(BOSSのBD-2 Blues Driverといい、モデル名や愛称のブルースっていい意味でアテにならないものが多い)
径は6.2mmで#8412と#9395 / #9778の中間くらい。硬すぎず柔らかすぎず。
#9778はちょいレア
#9778は楽器屋の店頭でもよく見かける #8412 / #9395 / #9778 三兄弟とは違い、BELDENシールドケーブルのなかではあまりメジャーではない型番。
実は楽器屋でで見かけるBELDENロゴ入りパッケージの正規ライセンスシールドには#8410はラインナップされていないんです。
それで楽器屋で#8410をみかけることはあまりないんですよね。 #8412 / #9395 / #9778 三兄弟は定番なのですが。
ただ、BELDENライセンス品ではなくても#8410を使って作られたシールドは普通に販売されており、意外と簡単に手に入ります。
なお、#8410は#8412と似た型番ながらサウンド特性は全く違い内部も1芯のケーブルです。
1ランク上の MC マイクロクラックモデルも
FENNANDES公式ページより © FERNANDES CO.,LTD
ここまで解説した3種類は通常のBELDENケーブルを使用したもの。
ですが、#8412 / #9395 / #9778 それぞれにマイクロクラック技術を利用した高級モデル MCシリーズも出ています。
あえてマイクロクラックと呼ばれる微細なひび割れが入るハンダ使用し、そのほかの部材も専用のものを使用。
どれも通常版のBELDENシールドより若干お高めですが、全体的に音質を向上させ、よりエレキギター・ベースに合う音響特性に仕上げた高級モデルです。
通常モデルよりも若干高いですが、シールドにこだわりがあって予算に余裕がある方は一度ご検討されてみては?
BELDENのケーブルだけ買うこともできる
楽器店ではよくBELDENの名が入ったパッケージ製品が販売されています。が、先述の通りBELDENのケーブルはもともとプロ用の線材。
秋葉原などにある電子パーツやオーディオ関連商品に強いお店にいけば#8412、#9395、#9778のケーブルだけ購入することができます。
SwitchCraftなどのプラグも普通に市販されているので、多少の知識とハンダ、ハンダごて、さえあればBELDENシールドを自作できるのです。
ソルダーレスプラグならハンダ付けすら不要。自作キットなんかも販売されています。
楽器屋でよく見かけるロゴ入りパッケージのシールドには定番のSwitchCraft社製プラグが使われていますが、自作なら好きなプラグを使えます(私はノイトリックのプラグが好き)。
シールドの配線はそこまで難しいものでもないので、もし興味がある方はいずれチャレンジしてみてください。
ちなみに、楽器屋でよくみかけるBELDENロゴが入りのシールドを卸として取り扱っているのはFERNANDESさんです。
まとめ:BELDENシールドケーブル 型番ごとの違いと特徴
- BELDENのシールドケーブルには代表的な#8412、#9395、#9778に加え、#8410が主なラインナップ。
- #8412は径が太目のケーブルで、ワイドレンジで中音域が良く出る特徴。エレキギターでもエレアコでもベースでも広く使いやすい。
- #9395は低音域がよく出るケーブルで、ベースやヘビーサウンドのエレキギターで使いやすい。
- #9778は高音域がよく出て抜けの良いサウンド。クランチやか
私個人的には2,000円程度のシールド、例えばCANAREなんかでも十分問題なく音の信号を伝えてくれていると感じています。
が、エフェクターをたくさんつなげたり、ノイズの乗りそうな環境だったり、シビアな録音・レコーディングを行う場合には「 たかがシールド 」が「 されどシールド 」に。
BELDENは価格もそこまで極端に高価でもなく、性能もコスパも満足度の高い、初心者から上級者まで広くオススメできるシールドです。
特にエレアコやベースはアンプ直でも(アンプ直だからこそ?)シールドによる影響を大きく受けますから、一本は良いシールドを持っておきたいところです。
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