レスポール・SGなどGibson系ギターのネックはなぜ折れやすい?
レスポール・SGのネックが折れやすい理由
楽器店や工房に持ち込まれる修理内容としてもはや定番となっているレスポールやSGのネック折れ。
今回はGibsonレスポール・SGなどのセットネックギターがなぜネック折れしやすいか、その理由に迫ります。
ちなみに「 セットネックのギターはネックが折れやすい 」なんて言っていますが、厳密に言えばコレは間違い。
この辺りもあわせて解説します。
理由その1 ヘッド角がついているから
レスポールやSGなどGibson系のギターのネックが折れやすいのは、ヘッド角度がついている点がかなり大きいです。
超手抜きで申し訳ありませんが、画像で解説しましょう。
ヘッドに角度がついているギターが倒れると、このようにヘッドエンドの端っこが地面にあたって倒れた瞬間の衝撃と全体重がヘッド~ネックにかかるのです。
しかも角度がついていると木目の走り方上、パリッとめくれ上がりやすい構造。
そのため、ネック~ヘッドの中で一番細くなるネックとヘッドの境目辺りで折れてしまいます。。
理由その2 ロッドのために中が空洞
もちろん、理由はそれだけではありません。
レスポールやSGなどのGibson系のギターは基本的にヘッド側にアジャルトロッドのナットがきています。
つまり、ネックの中でも最も細くなるネックとヘッドとの境目部分の中が空洞になっています。
これもまた、強度を下げて折れやすくなる一因となっています。
理由その3 ネックがマホガニー材でできている
もう一つ原因として大きいのが、レスポールやSGはネック材としてマホガニーを使っている点です。
マホガニーはアコギでは一部を除きほぼ100%のモデルでネック材に使われているほど伝統的にギターのネックに使われている木材。
しかしギターに使われる木材の中では柔らかい部類で、耐衝撃性でいえばFenderがよく使うメイプルに比べ圧倒的に弱いのです。
だからといってマホガニーネックがダメというわけではありませんが、やはり他の要素と組み合わさってくるとネックが折れやすくなってしまうことは間違いありません。
ちなみにGibsonのセカンドブランドで廉価品を作っているEpiphone(エピフォン)のレスポールはマホガニーではなくメイプルネックですが、それでもやはりネックが折れているところをよく見かけます。
メイプルネックだからといって油断は禁物です。
セットネックギター=ネックが折れやすいワケではない!
時折「 セットネックギターはネックが折れやすい 」なんて聞きます。
確かにセットネックギターにはネックが折れやすいものが多いです。
が、これはセットネックギターがネックが折れやすいのではなくヘッド角度有りでマホガニーネック、(セットネックなので)アジャストロッドナットがヘッド側にあるという伝統的な仕様がネックが折れやすいというだけ。
Gibsonのギターの大半がこのような仕様で、しかもGibsonは頑なにボリュートをつけないのでこうなるんですよね。
セットネックギターでもヘッド角度無しでメイプルで作り、ボディー側にアジャストロッドナットを持ってきてしまえばボルトオンギターと強度については同等になります。
厳密には「 セットネックギター=ネックが折れやすい 」なんてことではない点に注意しましょう。
レスポール・SGなどGibson系ギターのネックはなぜ折れやすい? まとめ
- ネックとヘッドの間に角度がある。
- アジャストロッドナットがヘッド側にある。
- ネックがマホガニーなど柔らかい木材で造られている。
上記三点がネックが折れやすくなる主な原因です。
にしても、こうやってみるとGibson系のギター全般がホント見事にあてはまります。
これはレスポールやSG、サンダーバードなどソリッドボディーのギターだけでなく、ES-335といった箱モノも同様です。
そりゃ「 セットネックギターは折れやすい 」なんてまことしやかにささやかれるわけです。
さすがにアコギくらい胴が分厚くければボディーよりも先にヘッドが地面に当たることもそうそうないですし、そもそも重量が軽いのでそこまで簡単にはネックは折れません。
が、エレキギターは結構重量があるものが多いので、その分倒れた時などの衝撃が大きくなります。
ハードケースに入れていても衝撃によって折れることもありますし、折れるまでいかずともヒビが入ることもあります。
上記三つの条件を揃えたギターをお持ちの方は、特に転倒にはよく気をつけましょう。
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