木材学 ウクレレでよく使われる木材4種とその特徴・違い【ハワイアンコア・マホガニーetc…】
ウクレレで一般的に使われる木材
ウクレレも、アコギなど他の箱物の楽器同様本体を構成する木材によって音色・サウンドが大きく変わります。
むしろ使うアクセサリーや周辺機器も少なく弦も4本とシンプルな分、木材の種類によるサウンドへの影響は他の楽器よりも大きいと言えるかもしれません。
今回はそんなウクレレに一般的に使われる木材の特徴と種類による音の違いについて解説します。
ハワイアンコア材の特徴
エキゾチックな杢と木目が魅力的なハワイアンコア。
ハワイアンコアは橙がかった色とエキゾチックな木目が特徴的なハワイ原産の木材です。
ウクレレ自体が伝統的にハワイアンコアで造られてきたこともあり、ウクレレに使われる材として最も人気の高い木材です。
ただし、良質な木材が少なくなっており、またハワイ現地で年々伐採が厳しく規制されるようになっているため価格が高騰しつつあります。
全体的な相場として、もう一つ代表的な木材であるマホガニーに比べ高価。
また、派手な杢が出やすい木でもあり、同じハワイアンコアを使ったウクレレでもカーリーコアなど木目の善し悪しによっても価格がかなり変動する木材。
ウクレレのサイズですと1ピースのハワイアンコアが使われることも多々ありますが、それだけでかなり価格が高くなります。
単板ではなく合板で特に杢の出ていないエントリークラスのモデルであれば2万前後から手に入れることも可能です。
が、使っているハワイアンコアが単板だったり杢が出ていたり1pcだったりとグレードが上がっていくと、売価が数十万のウクレレもざらにあります。
ハワイアンコアを使う場合は基本的にネック・ヘッドも含め全てハワイアンコアを使うのが一般的です。
ハワイアンコアを使ったウクレレのサウンド・音色の傾向
ハワイアンコアは鈴を鳴らしたようなコロコロと明るくレスポンスのよいサウンドが特徴です。
特にソプラノサイズ~コンサートサイズではポンポンと音が歯切れよく前に出てとても気持ちがいいですし、テナーサイズなど大きめのウクレレでも音が埋もれにくく存在感のある音。
硬い割には比重の軽い材であるハワイアンコアの特色をよく反映している印象です。
ウクレレらしい歯切れがよく陽気なサウンドは、ハワイアンコアのイメージが強いと言えるでしょう。
マホガニー材の特徴
見た目もサウンドも落ち着いた印象のマホガニー材を使ったウクレレ。
マホガニー材はハワイアンコアと並んでウクレレによく使われる木材です。
赤茶がかった色味で、軽く柔らかいので加工しやすい特徴があります。
もともとマホガニーは楽器では特にアコギのサイド・バックやネック材としてよく使われていました。
販売価格の相場としてハワイアンコアに比べ安価。
同じパーツ・同じような材の構成(全面単板など)で同じグレードのウクレレをハワイアンコアとマホガニーとで造った場合では、マホガニーモデルの方が安く販売されています。
稀に杢っぽくなることもありますが、杢によって価格にプレミアがつくようなことはあまりありません。
マホガニーを使ったウクレレのサウンド・音色の傾向
明るい音色が特色のハワイアンコアとは違い、マホガニー材は暖かみのある、角の丸いマイルドで落ち着いたサウンドです。
ハワイアンコアの音を『 カラカラコロコロ 』と形容するなら、マホガニーの音は『 ポロリポロリ 』といったところ。
落ち着いたサウンドが欲しい場合はマホガニーのウクレレを試してみるとよいでしょう。
ローズウッド材の特徴
ちょっと珍しい、ローズウッド材を使ったウクレレ。
ローズウッドはアコギのサイド・バック材としてもよく使われる木材で、稀ながらウクレレでも使用されます。
(そういうこともあって、後述するスプルースをトップに据えた場合のお供としてサイド・バックに使われることも多い)
ローズウッド自体は非常に比重の大きい木材で、ウクレレに使われる木材の中でも最も重い部類です。
なので本体の重量もハワイアンコアやマホガニーを使ったウクレレに比べ若干重くなるのが特徴。
そもそもローズウッドを使ったウクレレ自体が少ないので一概にはいえませんが、ネックはローズウッドにはせず別の木材を使うことが多いようです。
ローズウッドが加工性と重量=ユーザビリティの問題でネック材には向いていない点が原因と思われます。
(ローズウッドでは硬すぎでネックグリップを削りだすのに向いておらず、また板ではなく木材の塊であるネックとヘッド部分ローズウッドを使うと全体的に重くなってしまう)
ローズウッドを使ったウクレレのサウンド・音色の傾向
木材にローズウッドを使った場合、音色は全体的に低音がよく出て重くダークながら輪郭のぼやけにくいサウンドに仕上があります。
低音よりだと音の輪郭はぼやけがちですが、ローズウッドの硬さを反映してか意外と音に粒立ちが残る特徴があります。
トップ材スプルース & サイド・バック材 ローズウッドorマホガニーなど
トップにスプルースを使ったまるでアコギみたいなウクレレ
アコギのトップ材によく使われるスプルースをトップ板に使うパターンです。
さすがにオールスプルースのウクレレの例はあまりなく、サイド・バックには先述のマホガニーやローズウッドを使い、ネックにはマホガニーを使うことがほとんど。
完全に小さいアコギ、って感じの見た目になって、これはこれでかわいらしい。
コア一色、マホガニー一色のウクレレとは違い2トーンのカラーリングになるため、どことなく洗練された見た目になります。
トップ材にスプルースを使ったウクレレのサウンド・音色の傾向
スプルースをトップ材に配したウクレレは、ダイナミックなレスポンスと胴鳴り感のあるサウンドに仕上がります。
これはとても硬く反響のよいスプルースの特徴のおかげ。
そんなスプルースを弦の振動が真っ先に伝わるトップ材に配することで、まるでアコギのようなダイナミックなレスポンスをもつ音色になっているのです。
後はサイド・バックにローズウッドを使うマホガニーを使うかで、それぞれのサウンドの特徴が加わってきます。
ウクレレでよく使われる木材4種とその特徴・違い まとめ
- 一般的にウクレレによく使われる木材はハワイアンコアとマホガニー。
- 稀にトー図ウッドを使ったり、トップのみスプルースを使うことも。
- ハワイアンコアは明るく歯切れのよいサウンドが特徴で、材のグレードにもよるが相場的にはマホガニーよりも高価。
- マホガニーは落ち着いたマイルドなサウンドが特徴で、全体的に安価。
- ローズウッドはウクレレに使われる木材の中では比較的低音が出やすい。
- トップ材にスプルースを使ったウクレレはアコギのようなダイナミックなレスポンスと歯切れのよさが特徴。
もちろんメーカーやモデルによってもサウンドは変わりますが、使っている木材でウクレレのサウンドキャラクターがかなり決まります。
全体的に色が明るい木材ほど明るく歯切れ・レスポンスのよいサウンドになり、暗めの材ほど低音よりになっていく傾向があります。
なお、木材と同じくらい音に影響を与え、更に演奏性にも大きく関わるのがウクレレのサイズです。
別記事でも解説していますので、下記関連記事よりどうぞ。
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