ストラトキャスター ハーフトーンの歴史とジミ・ヘンドリックス
ストラトキャスターのハーフトーンとスイッチ
今回はちょっと豆知識な感じで、ストラトキャスターのハーフトーンの歴史について。
ハーフトーンとは、二つのピックアップを同時に使って出した音を指します。
今やストラトキャスターに標準搭載されている5Wayセレクタースイッチ。
3つのP.Uに対して5つのポジションが存在し、これによって個々のピックアップマイク(以下P.U)単発だけではなく リアP.UとセンターP.U / センターP.UとフロントP.U というハーフトーンの音を出すことができ、ストラトキャスターのサウンドバリエーションの豊富さを支える優秀なパーツです。
このハーフトーンがまた魅力的なサウンドなんですよね。
フェイズ(位相)が微妙にズレることで魅力のある独特なサウンドになるのです。
そんなハーフトーンですが、実はストラトキャスターは1954年の発売当初5Wayセレクタースイッチではなくテレキャスターと同じ3Wayセレクタースイッチが搭載されていました。
リア側に傾ければリアP.Uの音、真ん中ならセンターP.Uの音、ネック側ならフロントP.Uの音、という風にP.U毎のサウンドのみ。
つまりストラトは発売当初ハーフトーンは出せなかったのです。
今思えばなんともまぁ寂しいもの。
ストラトキャスターを変えた男 ジミ・ヘンドリックス
これを覆したのが、かの有名な天才ギタリスト ジミ・ヘンドリックスです。通称ジミヘン。
やはり歴史を変えるのは、一握りの天才なのかも知れません。
ストラトキャスターを逆さにし弦も逆に張って使う、ステージでギターを燃やす、歯でギターを弾くなど常に個性的なパフォーマンスを追求していた彼ですが、追求していたのはパフォーマンスばかりではなく、新しいサウンドにも貪欲でした。
そうして他とは違う新しいサウンドを探し求めたジミヘンは、ストラトキャスターのハーフトーンサウンドの魅力にいち早く気づいたのです。
しかし、前述の通り3Wayのセレクタースイッチでは普通にはハーフトーンの音は出せません。
そこで彼は、テープでセレクタースイッチを固定して半止めにすることによって無理矢理ハーフトーンサウンドを実現しました。
実際ハーフトーン自体は当時裏ワザ的なテクニックとして知っている人は知っている、というものだったのですが、ジミヘンのプレイで一躍有名に。
(これまた世界的なギタリスト エリック・クラプトンがハーフトーンを愛用したことも有名になった要因の一つですが、ジミヘンの方がいち早くその魅力に気付き、クラプトンよりも前にハーフトーンサウンドを使用していました)
そしてハーフトーンはフェンダー社公認のものとなり、その後ストラトキャスターには5Wayセレクタースイッチが標準で搭載されるように。
このため、Vintageシリーズなど50年代のストラトキャスターの仕様を再現したモデルでは、3Wayセレクタースイッチが搭載されているものもあるのです。
そうとも知らず「 うわ、このストラトキャスター不良品だ! 」なーんて言うと恥をかくことになるので要注意ですよ。
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