【椎名林檎】元楽器屋店長による丸の内サディスティックの楽器用語解説
東京事変の楽曲も含め、どれをとってみても名曲ばかりの椎名林檎さんの作品群。
中でも特に初期の名曲として人気度の高い丸の内サディスティックには多くの音楽・楽器関連用語が登場しており、楽器にはあまり詳しくないし意味がわからない、って方も多いのではないでしょうか。
意味わからずとも名曲には変わりありませんが、より楽曲への理解を深めるべく、楽器関連の用語についてまとめてみました。(順番は適当)
ベンジーとはいったいだれ?
丸の内サディスティックの歌詞内容からギタリストとはなんとなく思っていても、まさか日本人とはなかなか想像つかないかも。
ベンジーとは、日本が誇るロックバンド BLANKEY JET CITY のギタリスト、浅井健一氏の愛称です。
残念ながらBLANKEY JET CITYは2000年に解散してしまいましたが、ベンジーは現在でもソロで第一線で活躍中。
ここから丸の内サディスティックの歌詞に出てくるそのほか音楽・楽器用語を解説していきますが、実のところその半数以上はベンジー関連。丸の内サディスティックはほとんどベンジーへのラブレターです。
グレッチ Gretschとは
公式ページ Gretsch – Kanda Shokaiより
「 グレッチでぶって 」のグレッチは、ギターはドラムなどを製造するアメリカの老舗楽器ブランドのGretschを指します。
先述のベンジーがGretschの Tennessean / テネシアンを愛用しています。写真の中で持っているものがそうです。
(テネシアンは発売後モデル名をTennessee Rose / テネシーローズに変更)
空洞のギターとはいえ、こんなんでぶたれたら死ぬと思う。
ちなみにベンジーのテネシアンモデルには「 グレッチの呪い 」がかかっているとの逸話があります。
といっても「 グレッチは呪われていてはずれなかった(でででん) 」って呪いではなく、「 ほかのギターを使うとグレッチが嫉妬する 」というなんとも可愛らしい(?)呪い。
ライブなどでGretsch以外のギターを使うと、毎度のごとくそのギターの弦が切れるトラブルに見舞われるとか。
ほかにも「 トラブルで調子悪かったアンプがグレッチをつないだ瞬間直った 」などさまざまな呪いエピソードがあります。
椎名林檎さんがベンジーとグレッチの仲に割り込もうものなら、ベンジーがグレッチでぶたなくてもグレッチが勝手に襲いかかってきそうですね。
なお、ベンジーはこのグレッチギターを購入時、ほかのギターと迷ったため近くにいた女子高生に「 どっちがいい? 」と訊き、テネシアンが選ばれた、なんて逸話もあります。
いまや日本ではグレッチといえばベンジーといっても過言ではないほどですが、女子高生の選択次第では……
マーシャル Marshallアンプ
マーシャルとはいわずと知れたギターアンプの王様、Marshallアンプのこと。
これまたベンジーことBLANKEY JET CITY 浅井健一氏も愛用するアンプブランドです。
どんだけ好きやねん。私も椎名林檎さんにこれくらい想われてみたい。
ラット(Proco RAT)
ラット(RAT)とはProcoブランドのディストーションと呼ばれるエフェクターを指します。
ギターとアンプの間につないでエレキギターの音を変える機材で、これまたこれまたベンジーこと浅井健一氏 愛用機材のひとつです。
ほかにもNIRVANAのカート・コバーンはじめ世界中で多くのロックミュージシャンが使ったことのある有名モデルで、現在販売されているのは後継機種のRAT2。
なお、丸の内サディスティックはテーマとして不況のなかを東京で働くOLを唄った曲とされています。
ラット=マウスなわけで、OLはラットひとつ=パソコンマウスひとつが商売道具、とかけている。のかも?(私が勝手に思ってるだけですハイ)
リッケン620 Rickenbacker 620
リッケン620(リッケンシックトゥーオー)はアメリカのギターブランド Rickenbacker(リッケンバッカー)の代表的エレキギターのひとつ。
620の「 0 」は数字のゼロですが、007のダブルオーセブンに習って「 0 」をオーと発音し、「 シックトゥーオー 」と呼んでいます。
リッケン620はベンジーではなく、椎名林檎さんが使用しているエレキギターです。本人が使用しているのはミッドナイトブルーと呼ばれる紺色。(画像一番右)
おっぱいにばかり 御胸の御谷間にばかり目が行きがちですけど、「 丸の内サディスティック 」のPVで椎名林檎さんが弾いているエレキギターがリッケンバッカー620。
椎名林檎 ここでキスして PVより。
丸の内サディスティックが発表された当時の売価まではちょっと思い出せませんが、たしかに新品で大体それくらいが相場だったかと。
ただし、価格改定を繰り返し2018年現在の新品定価は税抜で302,400円。(山野楽器さんの正規輸入品)
定価から2割引きしても税込241,900円なので、19万円で新品はちょっと手に入りません。
楽器の街 御茶ノ水
誰もが一度は効いたことがあるであろう地名、御茶ノ水。丸の内線でいうと終点池袋駅から荻窪駅方面へ5駅目。本郷三丁目と淡路町の間。
楽器をやらない方には馴染みがないかもしれませんが、御茶ノ水は日本最大の楽器の街です。
私が学生のころは毎週末通いつめ、社会人になってからは毎日仕事で出勤していた街でもあります。
お茶の水は楽器屋と病院と学校しかないような街で、「 御茶ノ水にいるのは楽器やってるヤツと楽器やってる学生と楽器やってる病人と医者だけ 」といわれるくらい。
病院が多い&病人の利用数が多いくせに、JR御茶ノ水駅にはエレベーター、エスカレーターがなく、ホームがめちゃくちゃ狭くて怖い。
一応、2010年代半ばころからホーム拡張工事はじめましたが、川の上での工事のためなかなか大変なようです。
学校は有名どころで明治大学があり、ほかにも予備校が多数。楽器屋はもう数えきれないほど。
ひとつ隣駅は電気とオタクの街 秋葉原、ふたつ隣駅は東京ドームのある後楽園、坂を下れば古本の街 神保町と、プロと趣味のひとたちが集まる街々に囲まれています。
お医者さんや楽器屋の店員さんたちが夜な夜な飲み回る居酒屋もたくさんあります。
ピザ屋の彼女
ピザ屋の彼女はブランキージェットシティーの楽曲「 ピンクの若いブタ 」の歌詞に登場しています。
ほとんどがピンクの若いブタで占められたシンプルな歌詞の楽曲ながら、すごくカッコいい楽曲なのでぜひ一度お聴きになってみてください。
椎名林檎さんのベンジー好きすぎ問題
丸の内サディスティックの歌詞、半分以上はベンジーことBLANKEY JET CITY 浅井健一氏へのラブレターですねコレ。
BLANKEY JET CITY 9thシングル楽曲「 左利きのbaby 」の歌詞に「 誰とでも寝るようなそんな女の子が好きさ 」とあるのですが、これを聴いた椎名林檎さん、「 じゃあそういう女の子になる! 」とまで思ったそう。
ちなみに椎名林檎さんのお父様もBLANKEY JET CITYの大ファン。
自分が好きなバンドに影響された娘が、「 誰とでも寝るような女の子になろう 」と思ったなんて、父親としてはかなり複雑な気持ちなのではないだろうか……
まとめ:椎名林檎さんの楽曲 丸の内サディスティックに登場する音楽・楽器用語
- ベンジーとは、日本のロックバンド BLANKEY JET CITY のギタリスト浅井健一氏の愛称。
- 丸の内サディスティックに登場する楽器、音楽用語で御茶ノ水とリッケン620以外は全てベンジー関連。
なお、椎名林檎さんのシングル楽曲 罪と罰にはベンジーがギタリストとしてゲスト参加しています。
罪と罰の発売が、丸の内サディスティックを収録した1stアルバム無罪モラトリアムが発売(1999年2月)よりおよそ1年後の2000年1年発売であることを考えると、ラブレターの想いはかなりのスピードで伝わっていたのでしょう。
椎名林檎さんがギター以外の音だけ入れた「 罪と罰 」の音源をベンジーの元に持ち込み、「 この曲に好きなようにギターを入れてください 」と頼み込んだそう。
好きすぎるだろ。椎名林檎さんにここまで想われたらギタリスト冥利に尽きるというか、男冥利に尽きるっていうか。
2018年にデビュー20周年を迎え、楽曲のストリーミング配信にトリビュートアルバムの発売にとますます盛り上がる椎名林檎さんの音楽活動。
ぜひぜひ今後とも素晴らしい楽曲とパフォーマンスで私たちの耳を幸せにしてほしいです。私もいつか新垣結衣さんにそれくらい好かれる男になるよう、日々精進していきます。
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