楽器を飛行機で海外へ持ち出す際の注意点 – ギター・ベース・ウクレレ編

2017年4月23日

ギター・ベースは手荷物として持ち込めない

お世辞にも快適とは言えない楽器の飛行機旅

飛行機の預け荷物はかなり乱雑に扱われる上、実際に入れられる貨物室は客室とは違い気温や気圧など環境としてはかなり劣悪です。

ネックが折れたりボディーの木部がひび割れたりなど、どんな楽器でも破損の確率はかなり高いのです。

しかも飛行機で荷物として預けた場合、基本的に破損に対する補償などはありません。

例え補償があったとしても何かあった場合修理で完全に元には戻らないのが楽器なので、自衛が必要です。

今回は飛行機でギター・ベースやウクレレなど楽器を運ぶ際の注意点をまとめて解説します。

飛行機で運ぶときには事前に相談・予約すること!

まず大前提ですが、一定サイズを超える楽器の場合は事前に予約しないと持ち込めない&預かってくれない可能性があります。

特にギターやベースなど竿もの楽器は一辺の長さが結構長くなるため、手荷物どころか預け荷物のサイズ規定をも超える場合もあり、当日いきなり持っていってもNGが出ることも。

この辺りの規定はお使いの航空会社によっても異なりますので、必ず事前に相談し必要であれば予約しておきましょう。

飛行機内に持ち込めればベスト、だけれど

もちろん飛行機の客室内に手荷物として持ち込んで手元で保管できば安心。

しかし残念ながら、手荷物として持ち込める荷物のサイズは限られています。

飛行機内に手荷物として持ち込めるのは、ケースにしまった状態で3辺合計が115cm以内が基本。

(国内線で100席未満の飛行機では100cm以内の場合も)

ウクレレやトラベルギター、Zo-3のようなアンプ内蔵ギターくらいの大きさならなんとか手荷物として持ち込むことも可能かもしれません。

しかし通常サイズのエレキギターやアコギ、ベースはサイズ的に手荷物として持ち込むことはまずできません。

楽器を飛行機で運ぶ際の一番安心な手段 – 客室に持ち込む

コレ、一時ネットで有名になった画像です。

サウジアラビアの王子が飛行機でタカを数十羽運ぶ際に、タカの分の座席もチケットを購入して確保して運んだのだとか。

なんとも力技ですが、実はコレかなり有効な手段。

追加料金を支払うことで別途座席を用意し、手荷物制限を超えた荷物でも持ち込みが可能となるのです。

多少高くはついてしまいますがやはり一番安心・安全なのは客室への持ち込みです。

どうしても客室へ持ち込めない場合

しかし経済的な理由など色々な理由でどうしても客室へ楽器を持ち込めない場合もあるでしょう。

そんな場合のために、少しでも安全に楽器を預けるための準備やら何やらをいろいろ解説しますので、ご参考になれば幸いです。

当然ハードケースが一番。カギ付き(アメリカならTSAロック)が安心!

ハードケースは必須!

ケースはハードケースを使います。

ソフトケースやギグバッグなんてものはほぼ役に立ちませんので、最低でもセミハードケース、理想はハードケースで。

しかしハードケースならなんでも安心ってわけではありませねん。

なるべく中にクッションがたくさん入っていて、楽器との接する面積がなるべく大きいものがよいでしょう。

特にアコギの汎用の安いハードケースの場合は外側もネックの一部とボディーの端で支えるだけだったりします。

もしどうしても中で楽器が動くようだったり隙間が気になる場合は、服やタオルなどを隙間に詰めるとよいでしょう。

ケースのカギはかけてオッケー。ただし、アメリカではTSAロック以外NG

どんなに頑丈なハードケースに入れていても、衝撃で留め金がはずれてケースが開き中身がポロリなんて事故もよくあります。

預け荷物として預ける場合にはカギ付きのケースの方が安心。

念のためご確認いただきたいところではありますが、どこの国でも基本的にはカギをかけてもOK。

ただし、アメリカは911以来テロ対策でTSA規格以外のカギはかけてはいけません。

荷物検査にかかった際にカギをかけていると壊されます。

(日本人に人気の観光地 ハワイ、グアム、サイパンもアメリカなので同様)

なので、アメリカに行く場合はTSAロック付きのハードケースを使うとよいでしょう。

ちなみに管理人個人的に一番のオススメは、なるべく頑丈で内部の形に合うハードケースを使い、カギはかけずTSAロックケースベルトを使うこと。

TSAロックをかけていても検査官がマスターキーを持っていなかった場合など、普通に壊されてしまうこともあります。

キレイにカギだけ壊されるならともかく、留め具も破損が及ぶと、その後の持ち運びに支障が。

ケースの上からかける形のTSAロックベルトであれば、例え壊されたとしてもケース本体には影響が出ないのです。

Fenderの一部商品では付属するハードケースがTSAロック付きのこともありますが、そもそも楽器用のTSAロックケース自体そこまで普及していません。

TSAロックベルトももともとはスーツケース用ではありますが、サイズさえあえばどんなケースでも使えるのでかなり便利です。

TSAロックについて詳しくは下記記事も併せてご覧ください。

もしとってあれば、ケースが入っていたはずの段ボールに入れられれば更に安心です。

専用のものでなくても楽器店によっては行って事情を話せばもらえる場合もあるので、相談してみるとよいでしょう。

弦は緩めるか完全にはずしておくべし!

ギターやベースの場合基本的に弦は完全に緩めるかはずしてしまいましょう。

特にレスポールやSGなどヘッド角度付きのGibson系ギターの場合は絶対にです。

ちょっと倒しちゃっただけでもネックが折れるレベルなのに弦を張りっぱなしでテンションをかけたまま飛行機に乗せるなんて自殺行為です。

弦を緩めてても折れる時は折れますが、少しでも危険を減らすために必ず。

楽器のタイプによっては弦を完全に緩めるとブリッジやサドル(駒)が外れるモデルや楽器もあります。

エレキギターではGibson系のほとんどに採用されているテールピースとチューン・O・マチックが外れてしまいますし、Fender系だとジャガー、ジャズマスター、ムスタングなんかもブリッジがはずれあり。

また、アコギやウクレレのサドルも弦で押さえていないとはずれてしまうので注意。

ビグスビーを搭載したギターでも弦のテンションがないとテールピースが動いてギター本体に傷をつける恐れがあります。

このように弦の張力で固定されているパーツはかなりあるので、本体に傷付けないよう先に外しておきしょう。

また弦を緩めても完全にははずさない場合、フレットに弦が押さえつけられてあとがつかないようフレットガードをかけるとよいでしょう。

後述しますが、飛行機内は非常に乾燥するので調湿機能がついたものだとより安心です。

フルアコやバンジョーなどの場合ブリッジ注意!

特にフルアコやバンジョーなどブリッジを立てるタイプの弦楽器の場合は特に注意が必要です。

ドンッと衝撃がきた際にブリッジの真下一点に力がかかり、木部の割れにつながることが。

またバンジョーの場合は薄いヘッドが張ってあるだけなのでブリッジに衝撃がかかるとすぐにヘッドが破れてしまいます。

こうした楽器の場合、弦はもブリッジ、サドルも完全にはずしておいた方が無難。

サドル・ブリッジの場所が動いてしまう楽器でご自身のその場所を設定できない方は、マスキングテープや鉛筆などで印をつけるとよいでしょう。

アコギやクラシックギター、ウクレレなど箱物の場合は特に乾燥に注意!

よく飛行機を使う方であればおわかりかと思いますが、飛行機内はかなり乾燥します。

預け荷物をしまう貨物室は客室よりも温度、湿度、気圧ともに更に劣悪な環境

そんなところに木製の楽器を置いて乾燥の影響を受けないわけがありません。

特にアコギなど箱物楽器の場合は木部が薄く、乾燥の影響で割れを起こす危険も。

加湿・調湿グッズをケースの中に入れて置くと安全性が増します。

可能であれば上記のような水を入れて加湿できるタイプがよいのですが、運搬中の衝撃でその加湿グッズ自体が動いて楽器にぶつかったり、破損して水が漏れないよう注意が必要です。

楽器を飛行機で運ぶ際の注意点 まとめ

  • 追加料金を払ってでも客室に持ち込むのがベスト。
  • 弦は可能な限りはずすか緩めておく。
  • タオルや洋服などを詰めてケース内の隙間を減らし、ギター・ベースが動かないようにする。
  • 特にアメリカへ渡る場合は、TSAロック規格のケースやTSAロックベルトがオススメ。
  • 飛行機内はかなり乾燥するので加湿、調湿系のグッズをうまく利用すること。
  • 高価な楽器の場合は念のため楽器用の保険(動産保険)も検討。

コレらの対策をやっていたとしても、どうしても事故や破損は起きてしまいます。

高価な楽器の場合、楽器用の保険もオススメです。(いわゆる動産保険)

そもそも飛行機での旅自体がかなりストレスのかかるもの。

楽器を持っての飛行機旅の基本は、保証・補償はなし、自衛すべし!の大前提で動くことが大切です。