5分でわかるアコギの帝王、Martin(マーチン)の基本知識

2016年6月2日

フォークギターの原型を作ったMartin(マーチン)社

誰もが知る鉄弦のアコギ、フォークギターの原型をつくったのが帝王Martin(以下マーチン)社です。

多くのアコギはマーチンのモデルをベースに造られており、商品知識をつけるにおいてまずマーチンのギターのことを知ることは必要不可欠

今回はアコギの知識の基礎となるマーチンギターについて解説します。

マーチンの代表的な機種と型番の組み合わせの意味

マーチンのギターの代表例としてはD-45とか000-28とか色々ありますけど、実はその型番を見るだけで仕様がわかるようになっています。

まずDや000などの前半部分がボディーシェイプと弦長などサイズを決めます。

Martinのアコースティックギター_ドレッドノートと000

Martin社のドレッドノートシェイプと000シェイプ

Dはドレッドノートシェイプを指し、000はオーディトリウム、通称トリプルオーシェイプを指します。

ドレッドノートは本来は音量を稼ぐためかなり大きなボディーを持つギターとして登場。

名前の由来も当時最大級の戦艦であったイギリスの軍艦、HMS ドレッドノート号からとられています。(日本でいう超ド級などの語源にもなっている戦艦です)

そんな大きなボディーから出るドレッドノートの力強いサウンドと音量から人気が沸騰し、今ではアコギのザ・スタンダードとして君臨。

000はドレッドノートに比べ全体的に引きしまったきらびやかなサウンドになる傾向があります。

というのも、000シェイプとドレッドノートシェイプとを比較すると000はボディーが小さく薄く、スケールも約13mmほど短くなっています。

そのため000シェイプは全体的に持ちやすく、また弾きやすい特徴があります。

他にも00やOMなどいくつか種類がありますが、ドレッドノートとトリプルオーに比べれば若干マイナーな部類。

なので、まずはドレッドノートとトリプルオーの二種類を覚えておくとよいでしょう。

型番のアルファベットに続く数字が楽器としてのスタイル・グレードを決め、これによって各所に使用される木材の種類とグレードと装飾などが変わります。

主なグレードとしては 18 / 28 / 35 / 45 が挙げられます。

18クラスはボディーのサイドバックの木材がマホガニーで黒いセルバインディングがなされ、28クラスはサイドバックにローズウッド材を使用し黒っぽいローズウッドに映える白いセルバインディングが施されます。

18クラスで実勢価格が26万円前後、28クラスで30万円前後。(以下販売価格は2016年6月現在)

ちなみに、トップ材もマホガニーが使用されているオールマホガニー使用の15クラスもあり、大体16万円前後とMartinの中ではちょっとお手頃価格。

Martinのアコースティックギター_D28とD35

D28とD35

35クラスは28と同じくサイドバックにはローズウッド材が使われますが、バック材が3枚に横につないでいる3ピースのローズウッドが使用されています。

全体的に、低音が強く出てパワー感のある28クラスに比べ、35はバランスがよく上品なサウンドです。

セルバインディングもより豪華になり、ネックにもバインディングがなされます。

価格としては実売価格で大体30万~35万前後でしょうか。

45クラス(D45)がスタンダードなモデルの中では最上位に位置するスタイル。

装飾もかなり豪華になり、サイドバックのローズウッド材だけでなくトップのスプルースも厳選された良質な最高級木材が使用されます。

実際、スタンダードシリーズでは現状使われていない貴重な木材であるハカランダを、D45クラスの限定モデルで使用することも。

価格としてはスタンダードシリーズのD45でも90万~100万円前後(!)で販売される超高級ギターです。

なお、D35より上は装飾のために高価となっているも解釈しているプレイヤーも多く、コストパフォーマンスも含め最も人気度が高いのは28スタイル。

D28や000-28は誰もが認めるマーチン社アコギの名機として人気で、エリッククラプトンのシグネイチャーモデルとして000-28ECもヒット商品となっています。

引き倒す用として使われることが多く、実際にステージで使うギターとしても28クラスが一番よく見受けられます。

アコギの帝王、Martin(マーチン)の基本知識 まとめ

・マーチンのアコギの型番で、Dや000は弦長やシェイプなどギター全体のサイズ、スタイルを決める

・続く28、45などの数字がグレード、クラスを決める

マーチンの数多いアコギも、基本的には今回取りあげた機種を元にしたバリエーションモデルがほとんどです。

この辺りは特にLM系の店員にとっては常識的なレベル。

エレキギターをやっている方はアコギのことは詳しくない方も多いかと思います。

趣味でやっている分にはそれでもいいのでしょうが、店員レベルの知識としてはマーチンギターの基礎知識がないのは結構恥ずかしい。

例えるならパソコン売り場の店員が「 あ、スミマセン、僕Windowsしか使ったことないんで……Macbookってなんですか? 」と言ってるようなレベル。

世に出回っているほとんどのアコギは多かれ少なかれマーチンのドレッドノートや000の仕様に準じて造られています。

アコギの知識の基礎として、今回あげたスタンダード系の機種だけでも最低限しっかりと覚えておきましょう。

なお、今回はメジャーなシェイプ・スタイルだけに絞って解説しましたが、他にもOMや00といったシェイプ、50クラスのスタイルもあったりHDシリーズやVシリーズなんかもあったり、まだまだたくさんあります。

興味がわいた方はもっといろいろと調べてみてください。