アンプが箱に上下逆さで入っている理由【豆知識】
なぜ新品のアンプは逆さに入っているものがある?
管理人がまだ楽器店で働いていた頃、それはもうお客様に色々な質問をされました。
中でも印象に残っている質問の一つが、「 ギターアンプ(ベースアンプもだけど)が上下逆さに箱に入っていることがあるけれど、なんで? 」というもの。
全てがすべてではありませんが、特に管理人個人的な感想だとFenderのギターアンプがそうなってることが多いような印象を受けています。
(たまたまいたお店でよく売れていたからかもですけど)
これ、気になっている方結構多いのではないでしょうか。
箱に英語で、上にOPEN OTHER END、底面にOPEN THIS ENDなどと書いてあったりするんですけど、英語じゃ日本の人はあまりちゃんと見ないで開けちゃうんですよね。
実にはアンプが逆さに入れられるのには、理にかなった理由があります。
アンプはなぜ箱に逆さに入っている?
アンプを逆さに入れる最大の理由は、真空管の保護のためです。
とはいっても全てのチューブアンプを逆さにする必要はないため、一部のみではありますが。
実はチューブアンプの中には真空管を逆さ、つまり下向きにに吊り下げる形で実装するものが多く、その場合アンプを逆さにすることで真空管を上向きにしておくことができるのです。
コントロール部分をコンパクトにしたいコンボアンプの場合は真空管を逆さに取り付けることが多いんですよ。
だから、ヘッドアンプでは逆さに入れるようなことはあまりなく、スピーカー一体型のコンボアンプ場合のみ逆さになることが多いのです。
質が悪いことに、真空管は多少緩んだりしていても音は出てしまうんですよ。
なんか調子悪いなぁと感じればまだいいのですが、全く問題なさそうに動いてしまうことも。
ただ、そうすると要らぬ負荷がアンプにかかってしまい結果的に真空管や周囲のパーツの寿命を縮めてしまうことになります。
一応緩まないようなバネ付きのカバーをかけていることもありますが、衝撃などで緩むことは十分考えられます。
普通に使っている時はともかく、工場から出荷する時は海を超える場合もしばしば。
その輸送時の衝撃などにより真空管が緩まないように逆さの状態で箱に入れているのです。
真空管のないトランジスタアンプでも逆さの場合……トランスのため?
そしてもう一つの理由は、トランスが逆さである場合があるための場合もあります。
電源用のトランスはアンプに使われるパーツでも非常に重いパーツで、その重量は全てのパーツの中で1、2を争います。
厳重に取り付けがなされるためそうそうはずれことはありませんし、真空管の様にソケットに取りつけるわけではないので、つながっているようで微妙にはずれていることもあまり考えられません。
しかし数百ボルトクラスの非常に高い電圧を直に取り扱うため、何かあった時の被害が他のパーツの比ではないのが電源周りで、その中心がトランスなのです。
基本的になにかあった時はアンプのヒューズが飛ぶだけで済む設計にするのが一般的ではありますが、最悪の場合アンプそのもの破損はもちろん、自宅やスタジオ、ライブハウスの電装系にダメージを与えかねません。
車での運搬や宅配便で送る時など、揺れや衝撃が予想される場合、元々逆さに入っていたアンプは真空管の有無に関わらず、可能な限り元の箱に入れて逆さに入れて運んだ方が良いでしょう。
アンプが箱に逆さになっている理由 まとめ
アンプとは少し離れますが、ボンゴなどの打楽器なんかも箱にしまうときには逆さにしますね。
足を上にして、打面を下にして。
結構重量があるのに細い足で支えることになるため、通常の向きで入れるとほぼ100%の確率で重さによって足が段ボールから突き抜けます。
それで逆さにして打面を下に入れる打楽器も多いです。
このように、最初から箱に逆さに入っていたアンプや楽器は何らかの理由があって上下逆にしているのがほとんど。
特に輸送などで衝撃や力がかかる可能性がある場合は、必ず元と同じく逆さにしておくようにしましょう。
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