消えたFenderJAPANブランドとJapan Exclusiveシリーズ
FenderJAPANとJapan Exclusive
前回、FenderMEXICOやらFenderUSAやらのブランドはなく、ブランドとしてはすべてFenderとお話しました。
そこではあえてFenderJAPANの話は抜いていたのですが、FenderJAPAN自体はFenderとは独立した一つのブランドとして存在していました。
といっても2015年4月までのお話ですが……今回はこのあたりのことをお話します。
そもそもFenderJAPANとは?
そもそも、FenderJAPANはFENDER社が造っていたものではなく、日本の神田商会がFENDER社へライセンス料を支払って製造・販売していた日本製のエレキギター・ベースブランドです。
まだまだ日本製ギター・ベースのブランド力が弱かった頃、日本の楽器製造の各社がFenderやらGibsonやらのコピーを造りまくってていいました。
しかも日本製コピーは安いうえに結構出来がいいものも多く、FENDER社としてはたまったもんじゃなかったんです。
そこで、廉価版の位置づけで公式の日本製を作ることになりました。
そんななかGrecoブランドで名を馳せていた神田商会がFenderJAPANのブランドでギター・ベースを造ることに。
(実はその前にフジゲンが作ってたりしますが、その辺りは割愛)
一応、あまりにも奇抜でFENDERらしくないものや低クオリティーなものが出回らないよう、ある程度製品企画や品質などをある程度管理して多少の制約はあったようですが、基本的にFenderJAPANは米FENDER社とは独立した形で企画・運営されていました。
これによってFENDER社はブランドイメージも維持しつつ、ある程度安価でクオリティの高い日本製の楽器を買い求める層へもアプローチができ、ライセンス料を通して収益をあげられるように。
神田商会はFENDER公式の許しのもとストラトキャスターなど人気エレキギターの製造・販売ができ、Win-Winの関係。
さらに消費者もFenderロゴの商品を安価に手に入れられて、みんなハッピー。
Win-Win-Winの関係ともいえる状況だったといえるでしょう。
突然の企画・運営のプロデュース権の移管と、FenderJAPAN消失
しかし、2015年4月にライセンス契約が終了となり、FenderJAPANの企画・運営の権利が神田商会からFENDER社へ移管となりました。
(同時に山野楽器のFENDER社製品正規輸入代理店業務も終了し、"Fender"の名がつく物は全てFENDER社が管理することに)
FenderJAPANとして販売されていた商品は、全てFENDER社の通常ラインであるFenderブランドに統合されます。
これによってFenderJAPANブランドはなくなり、FenderMEXICOのようにFenderブランドの日本製というくくりの一つになりました。
現在、旧FenderJAPANの製品はすべてJapan Exclusive(ジャパンエクスクルーシブ)シリーズとして扱われています。
FenderJAPAN自体はブランドとしてではなく、今やFENDER社のたくさんの商品の中の一つのシリーズとなったのです。
中国製のModern Playerシリーズ、日本製のJapan Exclusiveシリーズ、といった具合に。
消えたFenderJAPANブランド まとめ
- もともとFenderJAPANのメーカーはFENDER社ではなく神田商会で、いわゆるFenderUSAなどとは別ブランド。
- 2015年4月1日よりFenderJAPANのプロデュース・販売権がすべてFENDER社に移管。
- FenderJAPAN製品は現状、FENDER社のJapan Exclusiveシリーズとして扱われ、販売中。
神田商会からFENDER社への権利移譲自体は2015年4月1日からのことで、現在はまだまだ過渡期。
ヘッドのFenderJAPANのロゴも今まで通りです。
が、2015年8月現在、販売されているものは移管前に各楽器店が神田商会から仕入れた商品や、FENDER社が神田商会より引き揚げた在庫で回っている模様です。
今後どうなっていくかはまだハッキリとしてはおらず、Japan Exclusiveシリーズも消えてしまう可能性もないとは言えない状況です。
※2017年1月追記 どうやら神田商会の下請けとしてFenderJAPAN製品を製造していたダイナ楽器が引き続き、Japan Exclusiveシリーズの製造を行っている模様です。
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