【金管楽器用ミュートの種類】練習用ミュートと音を変えるミュート
金管楽器用ミュートの特殊性
金管楽器には色々な素材と形状のミュートがある。(画像はTOM CROWN 製品の一部)
ミュートと言えば、通常音を小さくし騒音防止になってくれる消音機を指します。
何もトランペットやトロンボーンなどの金管楽器だけでなく、弦楽器など他の楽器でも色々なタイプのミュートが存在しています。
(ただ、木管楽器は構造上消音が難しいためサックス用のe-Saxを除いてほぼ皆無)
ですが、金管楽器のミュートには音を小さくする練習用ミュートの他にもう一つ、音を変えるミュートがあります。
今回は摩訶不思議な金管楽器のミュートについて解説します。
金管楽器用ミュートの種類と違い
主な金管楽器を一通り挙げると、トランペット、コルネット、フリューゲルホルン、フレンチホルン、トロンボーン、ユーフォニアム、チューバなどがあります。
これらの金管楽器はみな金属製のベルを持った形状。
そのベルをふさいで音を小さくするのが練習用のプラクティスミュートです。
一方の音を変えるミュート音に変わった効果を与えるものです。
そもそも音を消して練習するために使うミュートか、音色を変えて演奏するためのミュートかの違いがあるんですね。
ベルに装着するのはどちらも一緒なのですけども。
それぞれの特徴を挙げて解説してみましょう。
練習用ミュート(プラクティスミュート)
騒音対策の練習用ミュートはプラクティスミュートとも呼ばれます。
プロ奏者もよく使う、本番前のウォーミングアップ用の小型・軽量でシンプルなウォームアップミュートも練習用ミュートの一種。
そしてベルをふさぐだけでなく、練習に特化した機能を搭載した電子モジュール付きのミュートも存在します。
練習用ミュートのメリット
当然ですが、プラクティスミュートの一番のメリットは消音効果。
それだけでなく、電子モジュールによってイヤホンで音を確認できるモデルもあります。
YAMAHAのサイレントブラスシリーズや、BEST BRASSのe-Brassシリーズなんかがそうですね。
こういった電子モジュールがついた練習用ミュートはAUX端子で音楽を流しながら一緒に演奏できるなど、ただ消音するだけでなく練習のサポートになる機能が充実しています。
練習用ミュートのデメリット
練習用ミュートの最大のデメリットは、ピッチがやや上ずって高くなる傾向がある点。
また、息の通り道は穴を開けるなどで確保してはいますが、出口が狭くなる分息苦しくなるデメリットもあります。
さらに、ミュートの重みの分重量が増えることもデメリットといえるでしょう。
ミュートはベルの先に付けるためトランペットやトロンボーンなど前へ出ている楽器ほど顕著に感じます。
ただ、これらのデメリットはミュートの素材や構造が関係するため程度はモデルによって違います。
最近は演奏に影響を与えにくいものも増えてますので、あまり神経質にならずともよいでしょう。
練習用ミュートの代表例
BEST BRASSの練習用ミュート e-Brass3 シリーズ
- BEST BRASS e-Brass、e-Brass Jr.、Warm up
- YAMAHA サイレントブラスシリーズ
- Denis Wick プラクティスミュート、トラベルミュート
- YUPON プラクティスミュート、リトルサイレンサー
一部ではありますが、金管楽器の代表的な練習用ミュートとしては上記の例が挙げられます。
音色を変えるエフェクトミュート
エフェクトミュートはプラクティスミュートとはそもそも使う目的が違い、主な効果・役割は消音・ミュートではなく音色を変えること。
「 節子!それミュートちゃう、エフェクターや! 」と突っ込みたいところですが、それでもミュートと言われています。
実際のところギタリストがエレキギターで使うエフェクターのようなものです。
楽曲によって楽譜に " 〇〇ミュート " と指定がある場合もあり、意外と広く使われています。
身近にあるものを加工してベルに取り付けて楽しむ演奏家を見かけることもありますが、ああいったものもミュートの一種と言えるでしょう。
音も多少小さくはなりますが、元より音を出すことを前提にしているため練習用ミュートには全く向きません。
消音器としてはほとんど役に立たないので注意しましょう。
ミュートって名乗るくせに消音しないとか職務怠慢もいいところです全く。
音を変えるミュートの種類
一言でエフェクト用のミュートといっても音色や形によって色々なタイプがあります。
- ストレートミュート
- カップミュート
- ワウワウミュート
- バケットミュート
- プランジャーミュート
- ハットミュート
- ゲシュトップミュート
代表的なものではこの辺りでしょう。
中でもストレートミュート、カップミュート、ワウワウミュートが特によく使われます。
金管楽器ミュートのサイズに注意
金管楽器のミュートはベルにかぶせてふさぐのが基本のため、楽器の大きさに比例してミュートも大きくなる傾向があります。
音色を変える方のエフェクトミュートともなれば演奏の会場まで運ぶ必要がありますし、練習用のミュートも時には外に持ち出すこともあるでしょう。
トランペットやフリューゲルホルン程度ならともかく、特に大型であるユーフォニアムやチューバのミュートを選ぶ際には可搬性や収納性にも注意が必要です。
商品によってはケースが用意されている場合もありますので、その辺りも考慮して選ぶとよいでしょう。
金管楽器のミュートまとめ
・金管楽器のミュートには練習用のプラクティスミュートと、音色を変えるためのエフェクトミュートの2種類がある
・プラクティスミュートは高い消音効果を持つが、息苦しさやピッチの上ずり、重さなどのデメリットがある
・音を変えるエフェクトミュートは消音効果はほぼなく、楽器の音を特殊な音に変えるための演奏用の器具
金管楽器のミュートには消音器だけでなく音を変えるエフェクター的なものまで含まれるため注意が必要です。
よくわからない場合は店員に相談したり、事前に確認しておいた方が無難でしょう。
また、どちらのミュートも色々なメーカーの多くの種類の商品が販売されています。
練習用ミュートを選ぶ時は機能だけてなく、吹奏感だったり楽器に取り付けた際の感触なども確かめておいた方が無難です。
大抵の楽器屋さんでは楽器やマウスピースのように試し吹きも可能です。
エフェクトミュートを選ぶ時も同様にイメージ通りの音が出せるか試奏してみた方がよいでしょう。
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