【ギターの歴史】元々はレスポールだったGibson SG

2016年4月26日

Gibson SGの誕生秘話

Gibson_SGスタンダード2016

Gibsonの人気エレキギター SG

SGといえば、レスポールに次ぐGibson社の人気エレキギターです。

P-90 or ハム2ピックアップ・2ボリューム・2トーンにトグルスイッチなどなど、Gibsonらしさはあってもレスポールとは似ても似つかないキャラクターで、AC/DCのアンガス・ヤングなど特にロック系の著名ギタリストにも愛用者の多いSG。

今回はその命名の由来など、SGの歴史を紐解きます。

SGとは何の略?

Gibson_SGスタンダード2016_CH

SG = レスポール?

そもそもSGとはSolid Guitar、つまりソリッドギターの略。

SG自体がソリッドボディーのエレキギターで分類上ソリッドギターなのに、商品名もソリッドギターとはなんともそのまんまですね。

かなり適当にも思えるこのSGのネーミングですけど、実は予定していたモデル名を使用できなかったがために、このような適当な感じになってしまったのです。

実のところ、SG自体は元々レスポールの後継機とかGibsonの別のギターではなくレスポールそのものでした。

1950年後半、生産性と演奏性に優れたFender社のストラトキャスターの人気により、レスポールを主力としていたGibsonは危機感を覚えます。

そこで演奏性を上げるためにレスポール・スペシャルをダブルカッタウェイにするなどの工夫を行い、ジョイント部にも様々な試行錯誤が行われます。

こうしてフラットトップのレスポールから派生したニューデザインとして、今のSGのデザインが生まれました。

そして1961年頃、新たなデザインに手ごたえを感じたGibsonは、レスポールスペシャルだけでなく、全てのモデルにおいて全面リニューアルを決断、敢行。

今で言う『 SG 』 は、発売当初はフルモデルチェンジ・リニューアルされた全く新しい『 新型のレスポール 』だったのです。

こうしてGibsonのレスポールは『 レスポール 』の名のままSGデザインに変更されることとなりました。

(数はかなり少ないのですが、ヘッドロゴやトラスロッドカバーにレスポールと表記されたSGデザインのギターが現存しています)

新型レスポールになる予定だったSGの歴史とレス・ポール氏

ギブソン_レスポールの生みの親_レス・ポール氏

ギブソン レスポールの生みの親 レス・ポール氏

が、この(リニューアルされた新型の)『 レスポール 』のネーミングに対し思わぬところがクレームが入ります。

レスポールの共同開発者であるギタリストにして発明家、レス・ポール氏です。

これは有名な話なのでご存知の方も多いと思いますが、元々レスポールはGibsonとレス・ポール氏との共同開発によるシグネイチャーモデル。

新型のレスポールの開発にはレス・ポール氏は関わっていなかったらしく、出来上がった新型レスポール=SGに対し、「 こんなもの私のシグネイチャーモデルではない! 」とレス・ポール氏がクレームをつけたのです。

(※この辺りの事情には契約の問題だったなど諸説ありますが、いずれにしてもレス・ポール氏としてはSGに自身の名前が使われるのを嫌い、許可を出さなかった模様です)

これによりGibsonは新型レスポールとしてデザインしたエレキギター群に対し『 レスポール 』の名を使うことができなくなり、SGと名付けることになったのです。

元々はレスポールだったGibson SG まとめ

  • 元々SGはレスポールのリニューアル版として登場した新しいデザインの『 レスポール 』。
  • が、Gibsonとレスポールを共同開発したギタリスト レス・ポール氏が新型レスポールに自身の名前が使われることを拒否。
  • GibsonはSGをレスポールと呼ぶことができなくなり、新型レスポールは『 SG 』と名付けられた。

以上、大まかに言えばこんな流れですね。

細かい部分については諸説ありますが、残念ながら当のレス・ポール氏本人が2009年に他界しているため今更真偽のほどを確かめるのも難しいところです。

なお、SG時代はレスポールはGibsonのカタログより姿を消しますが、その後多くのプロミュージシャン・ロックスターたちによって使用されたこともあり、レスポール人気が再燃。

そしてご存じの通り、現在はレスポールとSGが共存する状況にあります。ある意味、SGがレスポールと呼ばれなかったのは幸いかもしれませんね。

名前がだだかぶりしていては、SGそのものがレスポールの陰に埋もれその姿を消していたのかも知れませんから。