これだけは憶えておいた方がいいGibson レスポールの種類

2015年3月7日

たかがレスポール。されどバリエーション多きレスポール

レスポールゴールドトップ

レスポールといえば、Fender社のストラトキャスターと人気を二分するGibson社エレキギターの最高傑作です。

が、結構バリエーションが多く、何が何のモデルだか、どういう違いがあるのかイマイチ掴めずにいる方も多いことでしょう。

ザックリとではありますが、今回はレスポールの代表的な機種と違いについてお話していきます。

LesPaul Standard(レスポールスタンダード)

レスポールスタンダード(チェリーサンバースト)

レスポールスタンダードは、その名の通り最もスタンダードなレスポールです。

Gibson的なこれぞレスポールですよ~、っていうコンセプト。

1960年代一時SGにラインナップを差し替えられた時期もありましたが、製造開始は1952年という超ロングセラーモデル。

メイプルトップにマホガニーバック、マホガニーネックにローズウッド指板というレスポールの王道のスタイルを形作った記念すべきモデルです。

発売当初はハムバッカーP.UはなかったためシングルコイルのP-90が載っていましたが、ご存知の通り現在ではハムバッカーP.Uを載せたモデルの代表格です。

発売当初のゴールドトップモデルからチェリーサンバーストなど各種サンバーストカラーまで、色のバリエーションが多く存在しています。

代表的かつ伝統的なモデルであり長いこと大きな仕様変更はありませんでしたが、2008年に大胆な仕様変更を行い、非対称ネックの採用やチェンバード加工による軽量化、ロック式ペグなど、実用性を追求したモダンな仕様になりました。

この仕様変更には賛否両論あり、追って発売された従来の仕様を復活させたトラディショナルモデルが生産されるキッカケとなります。

LesPaul Traditional(レスポールトラディショナル)

レスポールトラディショナル

前述の通り2008年レスポールスタンダードに大きな仕様変更があり、仕様変更前のスタンダードモデルの仕様を引き継いで発売されたのがトラディショナルモデルです。

トラディショナルモデルとスタンダードモデルはグレードとしては同格で、伝統的な仕様かイマ風のモダンな仕様かを好みで選べるラインナップになっています。

今のところトラディショナルモデルの方が2008年の仕様変更以降のレスポールスタンダードよりもレスポールスタンダードらしいとも言えるかもしれません。

いずれスタンダードモデルが本当の意味でスタンダードになるまでは、まだまだトラディショナルモデルの人気は廃れないでしょう。

LesPaul Custom(レスポールカスタム)

レスポールカスタムエボニー・アルペンホワイト

レスポールの中でも最上位に位置するカスタムモデル

レスポールからSGに切り替わる1960年~1968年を除き、エレキギター黎明期の1954年から現在に至るまで生産されているロングセラーモデルです。

限定品などを除く通常ラインナップのレスポールの中では最上位のモデルで、現在はGibsonカスタムショップで生産されています。

発売当初はEbony(エボニー)という黒一色のみの展開で、ブラックビューティーの名称で愛されていました。

その後1960年に一度SGに差し替えられたレスポールシリーズがGibsonのラインナップに戻る際にAlpine White(アルペンホワイト)という白もラインナップに加わりました。

ピックアップカバーやネジに至るまでゴールドパーツで統一されたハードウェアや、多層のセルバインディング、スクウェアポジションにクラッシュダイヤモンドインレイなど、贅を尽くしたゴージャスな外観が特徴です。

現在では下地の木目が見えるシースルー塗装のワインレッドなど色のバリエーションも増えています。

LesPaul Studio(レスポールスタジオ)

レスポールスタジオ

スタンダードモデルからセルバインディングなど装飾を除き、売価を抑えたモデル

レスポールスタジオモデルはバインディングなど装飾を省き、販売価格を下げたコストダウンモデルです。

それでいて材の構成や配線などはスタンダードとほぼ同じのため、コスパが高いと密かに人気。

セルのない素朴な外観が好きな愛好家も結構いらっしゃいます。

ただ、スタンダードと木材の種類は同じながら若干グレードの低いものを使っています。

LesPaul Classic(レスポールクラシック)

lespaulclassicvs

リイシューながらハイパワー・スリムネックというモダンなスペックを擁するレスポールクラシック

SGに切り替わる直前の1960年レスポールスタンダードを再現したモデルという触れ込みで1990年代初め頃に登場したモデル。

(製造自体は1989年から?)

当時のスリムテーパーシェイプネックと呼ばれる細いネックを再現することにより、レスポールのくせに握りやすい優れものです。

クラシックなんてネーミングのくせにハイパワーなピックアップが搭載されており、ハードロック・メタル向きなんて評判も。

名前とは裏腹に弾きやすいネックとへヴィーなサウンドを求めるロックギタリスト・メタラー達をターゲットにしたモデルではないか、と管理人は密かに思っています。

2012年一旦生産中止となりますが、その後2014年にブースターを搭載し、再販。

これによりアクティブ化され電池内蔵となり、より歪ませやすいハイパワーモデルになりました。

これもうクラシックやなくてモダンやん……

外観はLesPaul StandardをベースにしながらロッドカバーにはStandardではなくClassicと入っていたり、金属製のピックアップカバーがはずされピックアップのカラーが白と黒のゼブラトップになっているなど、細かい点で違いがあります。

当時の仕様を充実に再現したリイシューモデルというよりも、1960年っぽい細いネックのハイパワー仕様のレスポールと思っていいかも知れません。

LesPaul Jr.(レスポールジュニア)

レスポールジュニアVS

シンプルな仕様が魅力的なレスポールジュニア

レスポールジュニアは元々ジュニア向けにレスポールの廉価版として発売されたモデルです。

そのため装備は簡素で、ブリッジはテールピース一体型のものでピックアップマイクはドッグイヤーのP-90一基のみ。

また製造コストを安くするため、ボディーがレスポールスタンダードのようなラウンドトップではなく平らなフラットトップで、材もメイプル抜きのマホガニーのみ構成です。

材の構成ではレスポールよりもSGに近いですね。

一体型のブリッジのためオクターブ調整ができず、ネックジョイントを整える工程も省いているためハイフレットのカッタウェイに飛び出た部分があったりと、メンテナンス性や演奏性ではとても優秀とは言えません。

が、P-90&マホガニーによる独特なサウンドと風格が人気を呼び、オリジナルのレスポールジュニアはヴィンテージ市場で高値で取り引きされています。

ヒストリックコレクションなど当時の仕様を再現したモデルの場合は当時と同じく飛び出したままで生産されますが、通常ラインナップのジュニアモデルはネックジョイント部分は改善し、ブリッジが他のレスポール同様のチューン・O・マチックとテールピースの組み合わせになります。

ダブルカッタウェイモデルも存在しています。

LesPaul Special(レスポールスペシャル)

レスポールスペシャルTVYellow

レスポールスペシャルは、レスポールジュニアと同じく廉価版として販売されたモデルです。

ピックアップがソープバータイプのP-90二基になるなど、ジュニアに比べ若干豪華な仕様となっており、言うなればジュニアの兄貴分的な機種と言えるでしょう。

レスポールスペシャルネックジョイント

ネックセット部分のサイドを処理せず、段差ができている。

ジュニア同様、カスタムショップ製の場合はネックセットのサイド部分の処理は工程的に省略しており、段差になっています。

通常ラインのモデルではネックセットのサイド処理は改善され、ブリッジも他のレスポール同様チューン・O・マチックとテールピースのコンビネーションでオクターブ調整もできるようになっています。

レスポールジュニア同様、ダブルカッタウェイモデルも存在。

これだけは憶えておいた方がいいGibson レスポールの種類まとめ

近頃Gibsonが毎年のようにモデルチェンジを行うため細かい仕様には触れられずかなりザックリですが、レスポールの主な機種と特徴は以上の通りです。

この他にもレスポールプロフェッショナル、レスポールレコーディングやレスポールアーティストなど色々なモデルが発売されてきたものの、大抵は70年,80年代に生産完了し現在ではあまり見かけません。

(ちなみにレスポールの生みの親ともいえるレス・ポール氏が晩年愛用したのはレスポールレコーディングなのだとか。豆知識)

なお、GibsonのセカンドブランドであるEpiphone(中国製 / 韓国製の廉価版)も大体似たラインナップなので、GibsonをそのままEpiphoneと置き換えて考えても同じような特徴となります。