ギター・ベースの保管時に弦は緩めておくべきか!?

2014年7月26日

弾き終わって保管する時弦を緩める?緩めない?

ギターに乗る体重70kgのサーフ少年

画像はあくでもイメージです

ギターやベースを保管する時、弦を緩めて置いた方がいいって言う人と緩めなくていいって言う人がいるけど、どっちなの?

管理人、ギターを始めてから長いこと、そんな疑問を持っていました。そして楽器店で働いて得た結論。

断然、緩めておくべきです。

楽器の状態にもよるため必ずしも正解とは言えませんが、現実問題として普通ならチューニングしっぱなしにした方がいいなんてことはまずありません。

なぜ保管時に弦を緩めた方がいいか。

弦を緩めると何がいいかではなくチューニングをしたままにしておくとどう悪いかが問題。

弦楽器でチューニングしてある状態=弦の張力がペグとブリッジの二点で引っ張っている状況で、この力が半端ではありません。

弦の種類や太さによっても異なりますが、アコースティックギターやベースでは約70kg、弦の細いエレキギターでも役40kgの力がかかっています。

チューニングをしたまま放置することは、そんな力で何か月も何年も引っ張られ続けるということです。

ネックが反る原因に

弦の張りっぱなしは特にネックに悪い影響を与え、ネックが順反り方向に反ります。

あんな細長い木材に、ずっと数十キロの負荷がかかっていたらそりゃ反ります。てきめん反ります。弦に引っ張られてどんどん順反っていきます。

ギター順反り説明

前回の反省も込めて気合い入れてイラスト作りました。

ネックが順反ると弦高は高くなって弾きづらくなり、オクターブチューニングも狂うしでいいことはありません。

また、ロッドで調整できないレベルまでネック反りが進むとアイロン調整となど大がかりな修理が必要になります。

アコギが特に張りっぱなしに弱い!

アコースティックギターは特に、チューニングしたままでの放置はマズイです。

アコギの場合ネックが反るだけでなく、ボディートップの板が曲がって浮き、更にはブリッジがトップ板からはがれてしまうことも。

ブリッジ側の弦高が上がり、更にネックも反るのでダブルパンチで弦高が高くなります。

アコギの板の厚みは一般的に2mm~4mm程度。そこに70kgの力を加え続けたらそりゃヤバイですよね。

70kgと言われてもピンとこないかもしれませんが、例えば人気天気予報士の石原良純さんが体重70kgなんだそうです。

石原良純さんがアコギに乗ってサーフィンしているようなイメージです。(力のかかり方は違いますけど)

ギターに乗る体重70kgのサーフ少年

石原良純さんへの熱い風評被害

ちなみにピックギターやセミアコ・フルアコなどのアーチドトップのギターの場合は弦の張り方の関係で逆にボディートップが沈んで行きます。

一度浮きや沈みが出た板をを元に戻す根本的な修理はほぼ不可能です。

是非、石原良純さんをギターの上からどけて保管しましょう。

参考までですが、エレキギターにかかる40kgは、大体1000年アイドルの橋本環奈ちゃんの体重くらいみたいです。

良純さんに比べれば軽いとは言えネックにとっては恐ろしい負荷。

まぁ、管理人は全く興味ないんですけどね、橋本環奈ちゃんなんて。

いやあ、ホントに全然興味ないんですよ、スリーサイズ62-56-72の橋本環奈ちゃんなんて。ぶひ。

ギター・ベースだけでなくウクレレも要注意

ウクレレもアコギ同様、長期間チューニングしたままでの放置でボディートップが浮き、ネックが反ります。

ウクレレは弦がナイロンでスケールも短いので他の弦楽器に比べれば張力は弱いので、油断する方が多いのです。

しかしむしろウクレレにはロッドもないのが一般的で、自身では反りの調整自体不可能。

一度反ったらもうアウト。アイロンをかけるか新しいウクレレを買うかの二択になります。

頻繁に弾くならともかく、長く使わない時は必ず緩めておくようにしましょう。

どれくらい緩めればいい?

結論から言うと、完全に緩めるのではなく、各弦のペグを1~2周緩める程度が無難。

かなり長期間に渡って弾かないのであれば完全に弦を緩めきってテンションが全くかからない状態にするのも有りですが、テンションをかけたり全くかけなかったりを繰り返すとその落差もネックのストレスになります。

ある程度使う様であれば、完全に緩めた状態もあまりオススメしません。

本当はその個体のネックの反り方を見ながら対応してやるのがベストですが、木材は同じ種類でも個体差や細かい造りの差によって反り方が違うので長く付き合ってみなければわからないんですよね。

なので、とりあえずは1周~2周程度を目安に緩めて様子を見つつ、将来的にクセがわかってきたら緩め方を調節すれば良いでしょう。

これで順反り・逆反り方向のどちらにもそう極端に反ることはないはずです。

例外・ロック式ギターそんなに神経質にならなくてもいい?

ロック式ギターはチューニングして放置してしまったり、太い弦を張る人が多い傾向にあるため、メーカーもそれを前提にネックを木材を貼り合わせて5ピースにするなど、通常のエレキギターよりもネックの強度を保つ工夫がなされていることが多いです。

それでも緩めてやるに越したことはないんですが、多少張りっぱなしても短期間でそこらでロッドで調整できないほど反ることはまずないので、頻繁に弾く人であればそう神経質にならなくても良いでしょう。

ただ、やはり長期間弾かない時は少し緩めた方が楽器に優しいってことは憶えておいてくださいね。

まとめ

・可能な限り、使わない時は弦を緩めておく。

・特にアコースティックギターやウクレレなど箱物楽器は取り返しがつかないことになる可能性が高いので要注意!

・緩める目安はペグ1周~2周分。但し反り方に個体差があるので、長いスパンで様子をみながら加減をする。

弦を緩めなくても良いとする説も根強くありますが、来る日も来る日もギターやらベースやらウクレレやらに囲まれて売ったり調整してきた管理人の経験上、絶対に緩めておいた方が良いです。

しっかりとシーズニングした良質な木材を使ってしっかり組み込んだようなカスタムショップレベルの楽器や、カーボンロッドを仕込んだような剛性の高いネックならそのままでも簡単には反らないでしょうが、そんな楽器はほんの少数。
残念ながら10万円を超えるような楽器でも反るものは反ります。

時々、「 弦のテンションくらいで反るのは欠陥品 」なんて仰る方もいらっしゃいますが、これ極論で、世の中欠陥品だらけってことになります。

運送時の楽破損予防も含み、弦を緩めておくのは楽器業界では常識です。

楽器店に楽器が入荷する時も、ロック式のギターなど一部を除きチューニングがされた状態で届くことはほとんどありません。

長期間倉庫で保管される可能性もあるのに、チューニング合わせておいたらいざ店頭に並べる時にネックが反った状態でしょうから。

せっかくの愛機ですから、適切な保管を心掛け、長く使えるよう心掛けましょう。