【店員レベル】音をよくするギター・ベース弦交換のひと手間【脱・初心者】

2015年3月3日

いつもの弦交換にひと手間加えて弦張り上級者に!

楽器の演奏にうまい、下手があるように、弦交換などのメンテナンスもうまい人や下手な人がいます。

本サイトでもギター・ベースの弦交換の方法についての記事は書きましたが、初心者向けに最低限気を付けてほしい点をまとめただけでとても上級者のやり方とは言えません。

今回は弦交換の上級者を目指して、良い状態で弦を張るための要所要所でのひと手間を紹介します。

※サンプルの画像にはエレキギターを使っていますが、ベースやアコギでも共通です。

張る前のひと手間。弦を伸ばしてから張る!

替え弦張るためにパッケージから取り出した際ですが、弦の根本を指でつまんで、何度か引っ張って伸ばしてから張りましょう。

替え弦はグルグルに丸めた上にねじった状態でパッケージングし、開封するまでの長い期間その状態で放置されるので、かなり強いクセがついています。

パッケージングされた替え弦

こんなにグルグルだったらそりゃクセくらいつきますわいな。

ほどけばまっすぐになったようにも見えますが、実は微妙にねじれていることがほとんど。

弦を特に伸ばさずに張ってもパッと見は問題なさそうですし、実際なにも問題が起こらないこともあるでしょう。

が、時折弦のねじれが原因で音がもわもわしたり、ビビってしまうこともあります。

管理人、音がビリつくのにナット・フレット・ネックなどどこにも原因が見当たらない時、ダメ元で弦を張り替えてみたところ解消した、なんて経験も。

目に見えて違いがわかるものではありませんが、妥協せずにクセを伸ばしてから張りましょう。

管理人は取り出した時だけでなく、ボールピースをブリッジなどに固定した後、弦の根本をつまんで伸ばしながら引っ張っていき、ペグに挿し込んで巻くまで手を離さないようにしています。

ここまでくるとちょっと神経質すぎる気もしますが、縮れっ毛+クセっ毛の管理人、頭の上に乗っかったあの連中がいっくら引っ張ったところで手を離した瞬間には元のくるくるちりちりに戻ることをよく知っています。

弦と髪の毛でどこまで同じか知りませんが、管理人の小さなこだわりです。

ここまで徹底しなくても、ある程度伸ばしてあれば大丈夫です。多分。

ちなみに、『 頑固弦 』という弦をグルグル巻きにせずに真っ直ぐの状態でパッケージング・販売している商品もあります。豆知識。

テンションバーなどのネジを締める!

ストラトキャスターのカモメ型テンションピン

カモメ型テンションピン。弦をはずしたタイミングなど、時々締めてやりましょう。

ギターやベースは本体が振動する分、自然とネジが緩んでしまうことがあります。

中でもテンションバー・テンションピンはネジが小さい割に弦のテンションの力が加わっているため、特に緩みやすい場所です。

こういったところが緩むとテンション不良によるビビりなどの原因になります。

弦交換の時でなくても締めるできますが、せっかく邪魔者の弦をはずしているのでこのタイミングで締めてしまいましょう。

弦交換のタイミングで締める癖をつけておけば定期的に締めることを忘れずに済むというメリットもあります。

締め方ですが、フェンダー系のギターのテンションピンはかもめ型でも丸形でも、少しでもヘッドから浮いているようならOUT。

完全に締めきってヘッドにベタづけにしている状態が正常なので、緩みがないようによく締めておきましょう。

ロック式ギターのテンションバーは弦の角度を見て、角度が浅くなっているようなら締めて適正な角度に調整しましょう。

エレキギターやベースのピックアップマイクも、長年使っているうちにバネの劣化や振動によるネジの緩みが重なり高さが変わってしまうことがあります。

ピックアップマイクの高さはサウンドそのものに密接に関係するので、時折チェックしましょう。

その他ピックガードのネジなど、直接テンションやストラップピンのように力が加わっていない場所でも長期間使用しているうちに緩んでいることがあります。

弦交換時でなくてもかまいませんが、このあたりも時々チェックしておきましょう。

ナットを摩耗から守る!

ナット上では弦を浮かす

ナット上では弦を浮かせつつ、ナット以降では下へ押さえる。

直接的に音をよくするものではありませんが、弦を張る時はナットの摩耗に気をつけてあげるとGOOD。

フォークギターやベース、エレキギターなど鉄弦を使う弦楽器の場合、弦をペグに通してさぁ巻こう!という時なるべくナット上に弦が乗ってない状態で弦を巻きましょう。

なぜ浮かす必要があるかというと、チューニング時や弦交換でペグを巻く時、弦がナットの上で動いて摩耗し、ナット溝の底が徐々に削れてしまうから。

とは言え僅かなもので、普通にチューニングしている程度であればならそう神経質になる必要はありません。

ただ、弦交換の時はかなりの長さを巻く必要があるため、長期的に考えれば間違いなくダメージは蓄積されます。

いずれにせよ巻いているうちにナットに載せないといけませんが、可能な限り浮かせた状態でペグを巻いた方がナットに優しいです。

なお、この時何も考えず引っ張って浮かしているだけだと弦がどんどんペグポストの上方向に巻かれてしまいます。

ペグポストの下へと巻かれるように、ナットより後では下方向に押さえましょう。

指に弦が食い込んで痛いようであれば、間にクロスを一枚挟むと良いでしょう。

普段できない場所の手入れ・掃除をする!

テンションピンに限らず、フレットや指板など普段手入れができない場所もついでに手入れしてしまいましょう。

指板をレモンオイルで保湿をしたり、フレットがくすんでいるようなら研磨剤を使って磨くのもいいでしょう。

フレットを磨くと見栄えがよくなるだけでなく、弦との摩擦が減ってチョーキングが感触が滑らかになります。

ただ、お客様から預かった楽器の場合、店員が拭いたりすることを嫌がる方もいらっしゃるので手入れする場合は先に確認しておいた方が無難です。

まとめ

・弦はパッケージから取り出したらよく伸ばしてから張る!

・弦をはずした際に、弦があると調整しにくい各所のネジ締めなどを行う!

・ナットを保護するため、可能な限りナット上では弦を浮かせば状態で巻く!

色々あって面倒に思うかもしれませんが、慣れてくると座る椅子さえあれば作業用の机なんかなくとも、なんなら椅子もなく立った状態でも5分程度で弦を替えられるようになります。

楽器のメンテナンス・修理には経験・場数と知識が大事ですが、やりたい時にやりたい工程の練習ができるようなものでもありません。

チャンスが巡ってきたときに持っている知識量と、その都度の反省とフィードバックが大事になります。

自分の楽器ならともかく楽器屋の店員としてお客様の楽器を預かり、傷一つつけずより良い状態でお返しするというのは責任重大。

しかも商売としてやっているわけですから、正確さだけでなく迅速さも求められます。

ただの弦交換と侮らず、より良い状態で弦を張れるようぜひ色々なところに目を配り、意識して取り組んでみてください。