木材学 ブックマッチとは
木材の接着 ブックマッチとはなんぞや?
今回は、前回ちょこっとだけ触れたブックマッチについて解説します。
木材の接着はただ木工の加工ってだけではなく、見た目を左右する大事な要素。
ギターやベース、ウクレレは特に外観・ファッション性も重視される楽器なので、こういったことも憶えておくとその内多分きっと恐らく役に立つに違いないです使えるかもしれませんハイ。
何かの話題に使えるかもしれない知識なのでゲスな男衆も頑張って最後まで読破しましょう!
ブックマッチとは、同じ木目を左右対称に並べる手法!
ブックマッチとはボディーの真ん中を境目に、木目が左右対称になるよう木材を貼り合わせる手法を言います。
ちょうど本を開いたように左右が対称的になるのでブックマッチと呼ばれています。
アコギのボディーバックなんかはわかりやすいのですが、実はスプルースが目が細かく外観上の個性が少ないため気づきにくいだけで、ボディートップも大抵はこのブックマッチで造られています。
アコギばかりではなく、ウクレレやバイオリン、ひいては家具なんかでもよく使われる手法です。
このように、木目が特徴のある木材をブックマッチにすると、エキゾチックな木目の魅力を際立たせるのに効果的です。
製法自体はシンプル。ボディー反面分の板材をスライスして、貼りあわせる厚みで2枚の板を採ります。
同じ板をスライスしただけですから、ほとんど同じような木目の材が2枚になります。
四角い金太郎飴を連想してもらえればわかりやすいかも。その片方を裏返して並べれば左右対称のブックマッチの出来上がり。
後は貼りあわせた境目を中心においてボディーを造り上げていくわけです。
レスポールはブックマッチ?
エレキギターでもフレイムメイプルやキルテッドメイプルなど、派手な杢が出たメイプル材をトップに配することがあります。
何もGibsonのレスポールに限ったことではなく、PRSやIBANEZなど、各社トップにカッコいいメイプル材を使って高級モデルとして販売しています。
こういったものもボディーど真ん中に境目を置いて左右に材を並べるのが基本。
が、実はこれらは左右対称ではないものがほとんどです。特にフラットトップでないモデル。
ブックマッチは材をスライスして2枚に分けて造るので、元々の材は最低でもブックマッチ材2枚分、つまり倍以上の厚みが必要です。
アコギのトップ・バック材の仕上がり厚は2mm~4mm程度なので、元の厚みは1センチも必要なく、ブックマッチはそれほど困難ではありません。
反面、エレキギターのトップ材として使う場合はそれなりに厚みが必要になります。
レスポールのボディートップはメイプルを削り出しで形成しているため、トップのメイプル材は最低でも高低差分の厚みがないといけません。
ブックマッチにしようとすると、更にその倍の厚みのメイプル材が必要に。
それだけの厚みを持つフレイムメイプル・キルテッドメイプルは相当高価になるため、現実的にブックマッチは無理があるんですよね。
しかも、厚みがあればあるほど材の中で木目が移動してズレが出ますから、実際に一枚の材から採ったとしてもキレイに左右対称にはならないことも多いのです。
そういった経緯もあって、レスポールやPRSのギターなど、ブックマッチのように見えて左右対称にはなっていないものが多いのです。
ブックマッチ豆知識
さて、今回はよくよくブックマッチブックマッチと言ってきましたが……
実を言うと、ブックマッチと言うのは和製英語で、海外では通じないそうです。
ギターやらバイオリンやら弦楽器に詳しく、日本人にしつこくブックマッチブックマッチと言われたことがある方なら通じることもあるかもしれませんが……
その代わり、英語MacthBookと呼ばれる単語があって、これは昔喫茶店なんかでよく配られていた紙マッチを意味するんだそう。
英語圏の人にBookMacthと言うと、このMacthBookの中のマッチの一本だと思われるみたいです。
そうそう英語でギターについて語り合うこともないとは思いますけど、楽器店の店員になると外国の方もよくいらっしゃいますから、頭の片隅にでも入れておくと良いでしょう。
まとめ
・ブックマッチとは、木材をスライスした同じ木目の2枚の板を、ボディー中央で合わせて左右対称になるよう貼り合わせる手法を言う。
・2ピースのボディーでは最も美しい仕上がりになると定評があり、派手な杢など個性的で木目であればより効果的。
木材自体は天然の素材で、節があったり穴があったりと、どうしても1ピースでボディーを形成することが難しいもの。
そのため3ピース材、2ピース材がよく使われています。
2ピースであればキレイに二等分して左右対称にし、境目を真ん中に置いた方が外観的には美しい、ということでブックマッチが一般的になっているのです。
ボディーサイズが小さいウクレレでは時々1ピースボディーのものも見ることができますが、エレキギターやアコギではボディーの構成はほとんどが2ピース以上になっています。
ピース数は少ないほど材のグレードは上とされているので、2ピースであることをうたい文句にしている商品もあります。
楽器店に立ち寄った際はぜひ、その辺り気にしてみてください。
可愛い店員さんがいたら、「 キレイですね~。あ、いや、このブックマッチのことですよナハナハナハハ 」なんて軽快にナンパできるかもしれませんよ?
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