ベースをギターアンプにつなぐのはダメ?
楽器屋にいた頃、「 ベースをつないで使うのはダメか 」なんて質問をよく受けました。
家にギターアンプはあるので使い回せないかな?って話ですね。
結論からいうと、ギターアンプにベースをつなぐ使い方はダメです。オススメしません。
ギターアンプにベースは壊れる可能性あり
ギターアンプにベースをつないでも音は出ますし、音を出したからといっていきなり壊れるようなことはありません。
しかし、ギターアンプにベースをつないで音を出しているとアンプにダメージが蓄積し、確実に寿命を縮めます。
ベースの方がエレキギターよりもパワーがあり、ギターアンプが耐えられないのが理由です。
原付バイクで無理やり時速100キロ出して走るようなもので、各部にかなりの負担がかかります。
具体的にいえば特にスピーカーユニットにダメージを与えやすく、最終的にスピーカーのコーン紙が破ける故障が起こる可能性大。
スピーカーはコーン紙というパーツが音の信号を受けて振動し、空気を震わせて音に変えています。
その名の通り紙でできており、劣化してくると破けて使えなくなるのです。
特にオープンバックタイプはダメージを受けやすい
特にギターアンプで多いスピーカーの背面が開いたオープンバックタイプはスピーカーがダメージを受けやすい構造です。
(いわゆる背面開放型。Roland JC-120 ジャズコーラスなど)
スピーカーの背面側が閉じているクローズドバックキャビネット内部で空気の動きが抑圧されているため多少はスピーカーへのダメージは緩和されます。
(いわゆる密閉型。Marshallのキャビネットなど)
クローズドバックのキャビネットの方が低音が出やすいうえ、大きな音圧でもスピーカーに負荷がかかりにくいことからベースアンプでよく使われています。
ベースアンプでは一般的なリミッター回路がない
しかしたとえクローズドバックのギターアンプであっても、ベースをつなぐことはオススメしません。
ベースは基本的にエレキギターよりもパワーがあり、さらにスラップなどピーク電圧が非常に高い奏法がなされます。
そういったプレイでも音が割れずにしっかりと出るよう、ベースアンプには過大入力を抑えるリミッター回路が入っていることがほとんど。
反対にエレキギターはベースほど大きなパワーはないので、音のダイナミックさを優先させてリミッター回路を積むことはあまりありません。
そのためベースをつないでしまうと過大入力がそのままアンプ内の回路やスピーカーに流れてしまいます。
真空管アンプはさらに危険
真空管が入っているギターアンプにベースをつなぐのはより危険です。
真空管は消耗品で寿命があり、元より定期的に取り換えるパーツ。基本的にスピーカーの破けよりも寿命が短いものです。
しかも音の信号を増幅する回路で使われるので、楽器からの入力を直接受けるパーツでもあります。
そんな真空管にベースの大きな信号が入ってくると、通常よりも大きな負荷がかかります。
スピーカーと同じくいきなり壊れることはなくとも、間違いなく寿命を早く縮める結果になるでしょう。
もとよりベースの音を出す設計ではないのでさしてさしていい音でもないでしょうし、やめておいた方が無難です。
ベースアンプにギターは大丈夫
逆に「 エレキギターをベースアンプに使うのは大丈夫? 」なんて質問もよくあります。
結論からいえばベースアンプにギターをつなぐのは特に問題ありません。
先述の通りベースアンプにはリミッター回路が積んでアリ、キャビネットも密閉型のクローズドバックであることがほとんど。
ベースよりもパワーの弱いギターをより頑丈なベースアンプに載せているのですからまず問題はありません。
プリウスで常時時速30キロ走行するようなもの。余裕です。
むしろ、エレアコであればエレキギター用のアンプよりベース用アンプの方がオススメなくらいです。
エレキギター用アンプは再生できる音域、いわゆるダイナミックレンジがやや狭く、アコギらしい低音を含んだ抑揚が強くメリハリのある音は苦手。
反面ベースアンプは低音も無理なく出るので、よりアコギらしいサウンドに仕上がるでしょう。
(もちろん、エレアコ専用のアンプがベストではありますが)
ただ、だからといってエレキギターをベースアンプにつないでいい音が出るかはまた別の話。
特にギターロックらしい粘り気のある歪みサウンドや、高音域のきらびやかさと低音の迫力を両立させたドンシャリなサウンドなど、エレキギターにはギターアンプが一番です。
餅は餅屋、ですね。
なお、ギターアンプにベースをつないでもベース本体が壊れるようなことはないのでご安心を。
ベースをギターアンプにつなぐのがダメな理由
- ベースをギターアンプにつなぐのはよくない。
- ベースはエレキギターよりも出力が強いため、ギターアンプに想定以上の負荷がかかるため。
- 特にスピーカーや真空管の寿命を縮める可能性が高い。
- ベースアンプにギターは特に問題なし。
最近はへヴィーなメタルサウンドが流行ったこともあり、7弦ギターよりもさらに低音寄りの8弦ギターのも多く出ています。
普通の6弦ギターでもかなり音を落としたドロップチューニングやローチューニングも流行。
こういった低音メタルサウンドへの対応やユーザビリティの観点から、ギターアンプにベースをつないでもそう簡単には壊れないよう設計されているアンプも多くあります。
が、アンプに限らず、どんなに気を付けていても壊れるときは壊れるのが楽器や機材。
不要な負荷をかけずに済むよう気をつけて、せっかくの良いアンプ、長く使っていきましょう。
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