アンラッカー仕上げ管楽器の特徴と音色とお手入れ方法を解説! 【別名ノーラッカー】
アンラッカー仕上げの特徴とは
アンラッカー、ノーラッカー仕上げとも呼ばれるこの仕上げ方法は、地金の真鍮にラッカー塗装やメッキ加工などを特に行わない仕上げ方法です。
要は特に塗装も保護もせず管体の地金そのものが露出した状態です。
管楽器の型番にULなどとつく場合はアンラッカー仕上げであることが多いです。
特にホルンでよく使われ、他の管楽器ではサックスやトランペット、チューバであるくらい。
昔の楽器では多かったようです。
そもそもアンラッカー仕上げ自体があまり一般的ではないため、そこまで多くみかけるものでもありません。
アンラッカー仕上げのデメリット
管楽器を構成する真鍮はかなり酸化が早い金属のため、銀メッキなど目じゃないレベルで酸化していきます。
空気中の水分だけでも酸化は進みますが、特に汗など水分が不着した場所から酸化するため、演奏者が演奏中に触った部分から変色が始まります。
新品でもきちんと手入れをしないとあっという間にサビサビな感じになっていくので、注意が必要です。
(というか、新品でもすでに酸化していることもしばしば)
ちなみに、冒頭の写真も楽器フェアで展示されていたいたものとはいえ、一応新品の楽器。
楽器フェアなんてイベントで酷使されてとはいえ、当初はキレイに磨かれていた個体でも数日でこのようになってしまうことも。
そもそもアンラッカーは地金自体が露出しているため酸化の他にも傷などで傷めやすい非常にデリケートな仕上げ方法といえるでしょう。
アンラッカー仕上げのメリット
アンラッカー仕上げの最大のメリットはメッキも塗装もされていないため楽器そのものの鳴りが素直に出る点です。
実際には深く柔らかい、ややダークな雰囲気の音色で、抵抗が少なく息が素直に入り音色の表情をつけやすい傾向にあります。
そもそもラッカーやメッキはもともと、酸化しやすい真鍮製の管体の保護のためにされているものです。
音響的に言えばメッキやラッカー塗装によってコーティングされる分、楽器本来の鳴りが多少なりとも変わっています。
アンラッカー仕上げの楽器はコーティングがない分、楽器本来の鳴りがそのまま出せるわけです。
ただし、だからといってメッキやラッカーの楽器の音が悪いというわけではありません。
あくまでも音色が変わるというだけです。
もう一つアンラッカー仕上げのメリットとして挙げられるのが、管体の変化を楽しめる点。
先ほどはデメリットとして挙げた『 アンラッカー仕上げは酸化しやすい 』点は、ある意味では新品でも早くにビンテージのような風格になっていくということです。
使い込めば使い込む程味わいがでる、本革のような魅力があります。
手入れは非常に大変ですが、ビンテージな見た目が好きな方にはそこもまたメリットのように感じられるかもしれません。
楽器店のスタッフから見たノーラッカー仕上げ
ただ、その魅力も使う側からすれば魅力としても映るでしょうが、楽器店のスタッフからすれば扱いが非常に難しい楽器です。
中古ならともかく、新品ともなると酸化して汚くなった状態では売れないので、試奏の際にも後にも気を使う仕上げ方法です。
一度触ると、きちんと拭いたつもりでも管体に手の脂や水分が残って手形に黒ずみができるなんてこともザラ。
触る際には必ず手袋をするようにしましょう。
そもそもアンラッカー仕上げの楽器は高価なこともあり展示される数も少ないのですが、展示の際には酸化防止の袋に入れておく楽器店も多いです。
しかしどうしても酸化してしまうため、状態によってはお客様へお渡しする際にもう一度綺麗にしてからの納品になったりと、楽器店スタッフとしてはとにかく扱いが面倒。
高価な楽器以外ではノーラッカー仕上げにすることはそんなにないので、その手間をかける価値はあるといえばあるのですが。
ノーラッカー仕上げの楽器の特徴 まとめ
アンラッカーは地金がそのまま露出しているのでキズもつきやすく、酸化が進むと緑青が手に不着したり金臭くなったり……
手入れも面倒ですが、渋い外観のみならずそのサウンドには他の仕上げでは得られない響きがあるため、愛好家も多い仕上げ方法です。
あえてラッカー仕上げの楽器を修理工房でラッカーを剥がしてもらう方もいらっしゃるほど。
扱いが難しいので初心者の方にはあまりオススメしませんが、見た目も自分だけの一本に仕上げたいという方は、是非一度所持に挑戦してみるのも面白いでしょう。
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