エレキギター・ベース ネック周りの各部名称と役割

2014年8月11日

エレキギター・ベースのネック周りの各部名称と役割を解説

エレキギター(ストラトキャスター)ネック各部名称

今回ネック周りの各部名称と役割について解説をします。

演奏時に常に触れる部分であるネック周りは演奏性に直結するものなので、かなり大事なファクターです。

なお、画像ではストラトキャスターを例に解説していますが、エレキギター・ベースの場合基本的な構造はほとんど一緒なので、ベースやレスポールなど別のモデルでも応用が利きますので是非ご一読ください。

各部名称と役割

指板

ギター・ベースで使われる指板材

指板とはネック上のフレットが打たれ、ポジションマークを埋め込まれた板です。

『 しばん 』『 ゆびいた 』などと呼ばれどちらでも通じますが、近年では『 しばん 』の方がメジャーな読み方ですね。

押弦時に弦や指が頻繁に当たる部分なので、メイプルやローズウッド、エボニーなど硬めの木材が使われます。

 

ネックグリップ

演奏時に手で握るネックの裏側のカーブの部分を指します。

ネック自体を握り込むので、指板のサイド部分も含んで言う場合も有り。

このネックグリップのサイズ・形状によって演奏性が大きく変わるため、楽器選びで楽器屋で試奏する際に、もっともよく吟味される場所ですね。

基本的にはかまぼこのように丸く盛り上がったものが多いのですが、その大きさによってもCシェイプ・Uシェイプなどと様々な名称もあります。(Fenderの場合)

もちろんモデルによって異なる部分ですが、各社ある程度特徴があります。

例を挙げるなら、ギブソン社の場合は少し太目のしっかりとしたネック。

フェンダー社の場合はスタンダードな形状で、少し薄めのネック。

IBANEZ社の場合は速弾きに適した薄く平べったいネックが特徴。

特殊な部類ですが、他にも、三角ネック(Vネック)や人間の手に合わせた左右非対称ネックなど、くせのあるネックグリップもあります。

フレット

指板上に半音ごとの間隔になるように計算された位置に打ち込んである金属の細長い小さな山です。

主に洋白というニッケルと亜鉛・銅からなる合金が使用されます。

洋白は柔らかく加工しやすく、コストも安いためフレットが必要な弦楽器で最もよく使われるのですが、割と錆びやすい金属で、キレイに保つには金属磨きで磨いてやる必要があります。

酸化・消耗しにくいステンレス製のフレットもありますが、硬くて加工しづらく、高価なため市販のエレキギターやベースにはあまり使われません。

オーダーメイドの際にオプションで選べる、といった程度ですね。

この山の大きさ・形状によっても演奏性が変わり、材質も含め音色にも多少なりとも影響のある部分です。

フレット自体は消耗品で、弦に押さえられることで徐々に削れていってしまいます。

バランスよく消耗する分には問題ありませんが、同じ場所ばかり消耗してしまうと押さえているフレットが次のフレットよりも山よりも低くなってしまい、弾いた弦が次以降のフレットに触れてビリつき音=ビビりが出るようになるなどの不具合が起きます。

軽い場合は全体のフレットを削ってならし、バランスを取るすり合わせという作業で解消できますが、重症の場合はフレットを打ち変えてやる必要があります。

ギターではまずありませんが、ベースではこのフレットのないフレットレスベースという仕様のモデルもあります。

ポジションマーク

指板上に埋め込まれた、フレット数の目安となる装飾です。

3F 5F 7F 9F 12F 15F 17F 19F 21F 24F…といった具合で埋められます。(F=フレット)

このフレット以外に取り付けられることはまずありません。

これはギター・ベース界で共通のルールなので、『 12フレットじゃなくてあえて11フレットに埋めた! 』なんてギターがあったら演奏の際に戸惑ってしまうでしょう。

装飾的な意味合いも強く、基本的なな丸いドットポジションの他に、四角のボックスインレイや、高級なモデルでは『 ツリーオブインレイ 』なる植物や木をモチーフにした派手なものなど、各社種々多様なインレイを施しています。

素材にはプラスチック製のもののほか、高級モデルではアヴァロン貝や白蝶貝など高級素材が使われます。

ツリーオブライフ

匠の業。さり気なく、5F,7F,12Fなどが分かりやすいようになっている。

逆に、ポジションマークは一部、または全部省略される場合もあります。

サイドポジションマーク

ネックのサイドの、楽器を構えた時に演奏者に見える側に埋め込まれます。口頭ではサイポジなどと略されます。

ポジションマークと同じく3F 5F 7F 9F 12F 15F 17F 19F 21F 24F…に埋めるルールがあります。

サイドポジションマークの役割は上記ポジションマークと同じものですが、装飾的ではなく実用的な意味合いで取り付けられているものです。

そのため、指板上のポジションマークが省略された場合でもサイドポジションマークが省略されることはあまりなく、また小さいドット以外で施されることはほとんどありません。

ローズウッド指板の場合は白いドット、メイプル指板の時は黒いドットが主流です。

ヒール

レスポールのヒール

楽器のタイプによってもどのあたりまでをヒールと呼ぶのか異なりますが、レスポールのヒールはボディー上を除いた平らな部分と、ネックグリップと交わるカーブ状に削られた坂の部分を指します。

(画像の赤丸で囲った部分)

定義自体は多少あいまいで、ストラトキャスターの場合はジョイントの部分、レスポールの場合画像で囲ったボディー辺りも含めてヒールと言う場合もあります。

本来演奏性だけを考えればヒールや接合部のボディーはハイフレットを弾くためには邪魔になるため無い方がいいのですが、ネックや接合部の強度を保つために、デタッチャブルタイプ(ストラトキャスターなど)やセットネックタイプ(レスポールなど)では欠かすことができません。

そこで、少しでも手を置きやすいよう、に角を削いでしまったり、ボディー全体を落とし込んでしまうヒールカット加工などがなされたギターもあります。

なお、ボディーエンドまで一本の木材でつくるスルーネック仕様の場合はそもそもネック材がボディーのセンターとなるため接合部がなく、より自由な成形ができるため、演奏性を重視しこのヒール部分を大胆にカットしたヒールレス仕様にすることができます。

ネックジョイントプレート

ネックセットプレート

ストラトキャスター・テレキャスターなどのデタッチャブルタイプギター・ベースのネジ留めの受け皿になるべくある金属製のプレートです。

そのため、レスポールなどセットネックタイプやスルーネックタイプの楽器には使用されません。

四角プレートで四隅を留める4点留めが一般的ですが、フェンダー社の楽器の中でも年代によってはネジを3本使う3点留めなどもあります。

なお、ヒール部分をカットするためにその部分に合わせて形状を合わせたものもあります。

また、デタッチャブルタイプでも演奏性のためにこの辺り大胆に削り込んだギターの場合、ネックジョイントプレートは使わずワッシャーをかませてネジを近づけする場合もあります。

エレキギターデタッチャブルモデルプレート無しのネックセット

ネックジョイントプレートのないデタッチャブルギターの例。ボディーごと握り込んでもネジに手が触れないように落とし込んであります。

エレキギター・ベース ネック周りの各部名称と役割 まとめ

ネック周りはフレットや指板の素材により多少サウンドに影響しますが、ボディー材はピックアップなどのパーツほどではありません。

しかし、演奏のしやすさに直結する重要な部分です。

中には『 ネックこそが楽器の命 』という方もいらっしゃるほど。

確かに演奏中ほぼ常に触れる部分で演奏性のかなりの部分はネックで決まりますし、同時にネックの反りやフレットの摩耗など楽器としての寿命に関わる部分でもあります。

今回はそれぞれの役割についてざっくりと触れただけでメンテナンスについては別途解説していきますが、この辺りも是非基礎知識として身に付けてください。