ストラトキャスター各部名称と役割

2014年7月12日

エレキギター(ストラトキャスター)各部名称
今回は、ザ・キングオブエレキギターストラトキャスターの各部名称と役割を解説します。

革新・合理的なブリッジシステムやボディーシェイプにより人気を博し、1954年の登場以来すでに半世紀以上に渡って最も代表的なエレキギターとしての座に君臨、それがストラトキャスターです。

いまいちよく分かっていない方、これを機にマスターしてしまいましょう。

ストラトキャスター各部名称と役割の解説

ブリッジ(シンクロナイズドトレモロユニット)

シンクロナイズドトレモロユニット

ブリッジとは、弦を固定・保持し、また弦の支点となる役割を持ったパーツ群の総称です。

エレキギターやベースの場合弦高やオクターブチューニングを合わせるための調整が可能な場所でもあります。

ストラトキャスターはシンクロナイズドトレモロユニットと呼ばれる独特な構造のブリッジを採用しています。

(今やストラトキャスターが普及し過ぎて独特扱いされていませんが)

後述のトレモロアームを使って音を大胆に揺らすことができます。

トレモロアーム

アーム

ストラトキャスター以外にもアームを使うモデルは多々あり、そのモデル・ブリッジによってアームの形状が異なる。

シンクロナイズドトレモロなど、トレモロユニットに取り付けて押したり引いたりすることで弦のテンションを急激に変え、音程を上下させる金属の棒です。

アームバー、単純にアームとも呼ばれます。

アーム自体は取り外しも可能で、使わない場合は外しておいても構いません。

取り付ける際はブリッジのしたにあるイナーシャブロックにクルクルと回して取り付けるのですが、ボディーから結構出っ張っているので、ぶつけたなどの衝撃でイナーシャブロックが割れてしまうことがあります。

ギグケースやソフトケースなど柔らかいケースにしまう場合は必ず外しておきましょう。

先についている丸い部分はアームキャップと呼ばれ、基本的にはピックガードや裏パネルなどに合わせて白と黒のどちらかが取り付けられます。

ピックアップマイク(P.U)

ピックアップ

一般的なシングルコイルピックアップ。カバーを変えることによって色が変えられます。

冒頭の画像中 フロントP.U センターP.U リアP.U と記載されているものです。

弦の振動を電気信号に変換するマイクで、エレキギターをエレキギターたらしめる最も大事なパーツです。

とりあえずは弦の音を拾うマイクという認識でいいでしょう。
(厳密には音を拾うわけではなく、弦の振動を音の信号に変えるマイク)

P.Uが複数ある場合、ネック側にあるものはフロントP.Uブリッジ側にあるものはリアP.Uと呼びます。その間にあればセンターP.Uということになります。

この法則はストラトキャスターに限らず、他のエレキギターでも共通です。

コントロール類

冒頭の画像中ボリュームやトーン、P.UセレクタSWなどと表記されているものです。

エレキギター本体に取り付けられたツマミやスイッチ類です。

P.UセレクタSWとは音を拾うP.Uを選ぶスイッチです。P.Uセレクターなどと呼ばれます。

ボリュームやトーンのツマミで音を加工します。

マスターボリュームはそのままで、全体の音量を調整します。

トーンは音色キャラクター(明るさ暗さ)を調整するツマミで、フロントトーンはフロントP.Uの音色を、センタートーンはセンターP.Uの音色を調整します。

一般的なストラトキャスターはリアP.Uのトーンを調整するツマミはありません。

このようにフロントボリューム、センタートーンなどと○○ボリュームとか○○トーンだとかが付く場合は、そのツマミは○○に入るP.Uの音のみを調整します。

一つしかない場合はマスターボリューム・マスタートーンと言って、全てのP.Uに対して効果を持ちます。

P.U本来の音に一番近いのはこの全部MAX状態(時計回りに回し切った状態。いわゆるフルテン)で、アンプ側でもある程度調整できるため深く考えずフルテンにする人が多いです。

初心者の方など「よくわかんない!」という場合にはとりあえずフルテンにして、P.Uはカチャカチャやってみて一番いいと思った音にすればいいでしょう。

アウトプットジャック

アウトプットジャックとは、シールドケーブルを挿し、アンプやエフェクターなどにつなげるための端子です。

P.Uで拾われ、コントロール回路を通った音の信号は、最終的にこのアウトプットジャックからアウトプットされます。

シールドケーブルで他の機器のインプットジャックと繋ぐことで音を伝送します。

つまり、このアウトプットジャックとアンプをケーブルでつなげば音が出るということです。

モデルによってアウトプットジャックの場所は異なり、ストラトキャスターは画像の様に舟形ジャックプレートというパーツに取り付けられています。

エルボーカットとバックカット

ストラトキャスターバックカットとエルボーカット

画像左がエルボーカット / 画像右がバックカット

Fender社により考案された、エレキギターやベースを構えた時により体にフィットするよう、ボディーを大胆に抉りとる加工です。

ストラトキャスターから採用されたもので、以降発売されたFender系のエレキギター・ベースには基本的にこのエルボーカット・バックカット加工がなされています。
(ジャガー・ジャズマスター・ムスタング、ジャズベース・初期仕様を除くプレシジョンベースなど)

この二つのカットと角の丸さがFender系のギターに独特な美しいラインをもたらせる要因と言えるでしょう。

ピックガード

演奏時にピックがボディー本体に当たってキズが付くことを防ぐための樹脂製パーツです。

ストラトキャスターの場合、実はP.Uやセレクタースイッチなどのコントロール類が全てピックガードに取り付けられた状態でボディーにかぶさるように取り付けられており、保護目的以上の役割を担っています。

ギターそのものにコントロール類のパーツを取り付けて配線をせずに済むため、分業製作に役立ち、製造時のコストを省く上でも役立っています。

ストラトキャスターなどフェンダー系のエレキギター・ベースの場合、主に白・黒・ミントグリーン・べっ甲柄のものが使われます。

裏パネル

ストラトキャスターバックパネル

ストラトキャスターのボディーバック側にはストリングキャビティーと呼ばれる、バネを収納している場所があります。

その部分の蓋ですね。ネジ止めされているので、バネの強さを調整する場合はこの裏パネルをはずして調整を行います。

ブリッジに弦を通して留めるためのイナーシャブロックという部分も裏パネルをはずさなくても弦交換ができるよう画像の様に弦の部分にはスリットか穴が開けられていています。

色はピックガードに準拠して白か黒、ミントグリーンなどが使われます。

カッタウェイ

なんだか画像上何もない空間を指してしまい分かりづらいかとは思いますが、このボディーに向かって削り込まれた辺りをカッタウェイと呼びます。

指板の横までボディーが来てしまうとハイポジションの演奏がしづらくなるため、指がより深くハイフレット方向に入るようにするために施されます。

ストラトキャスターの様に両方にカッタウェイが入っている場合はダブルカッタウェイ(ダブルカット)、Gibson社のレスポールの様に片方のみの場合はシングルカッタウェイ(シングルカット)と呼ばれます。

ダブルカッタウェイの方がボディーが抉れているため全体の重量が軽くなり、また弾きやすいのですが、何より見た目にかなり影響が大きく、また重量自体がサウンドに影響する面もあり、ダブルカッタウェイのギターは好まない人も多くいます。

ストラップピン

ストラップピン

ストラップピンとネジ。簡単に取れてしまわないよう、ネジは太く長い物が使用される。

立奏用のストラップを取り付けるためのピンです。

場所はモデルによって違いますが、基本的にはボディーエンドと、構えた時に指板の上側のボディーサイド、ヒール周辺のボディー裏に取り付けられることがほとんど。

エレキギターやベースの場合、原則2個取り付けられています。

特殊な例で3個など2個以上ついている場合はありますが、1個しかなかったりついていないことはエレキギター・ベースではまずありません。

近年では長めのストラップを使って楽器を低く構える傾向にあり、特にネック側のストラップとストラップピンの角度に無理が出てしまい、ストラップがはずれてギターを落とす事故が多々あり、ロックピンと呼ばれるストラップとピンをが外れない様ロックしてしまうストラップピンやストラップの固定用品が市販されています。

高級機種では最初から市販のロックピンが取り付けられている場合もあります。