エレキギター・アコギ・ベース 弦高の測り方
ギターやベースに限らず、弦楽器にとって弦高は重要な要素のひとつです。弦の高さは演奏性だけでなく、サウンドや音程にまで影響を与えます。
しかし、極端に弦高が高いため弾きづらいうえにピッチが合わず音痴だったり、反対に低すぎてビビりや音詰まりが出ているのに悦に入ってる残念なギタリスト、ベーシストをよくみかけます。
大抵の場合、本人は雑誌やネットで調べて適正な弦高にしているつもりのことがほとんどですが、実は弦高の測り方を間違えているために弦高がおかしなことになっていることがほとんど。勉強熱心なためにおこる悲劇です。
そんな残念ギタリスト・ベーシストにならないよう、正しい弦高の測り方を解説します。
フレットの頭から弦の下端までが一般的
最も一般的な弦高の測り方は、フレットの頭から弦の下端までの距離を測ることです。
よく間違われるのが「 指板面から 」とか「 弦の中心まで 」など。しかし、指板面だとフレットの高さによって押さえる距離が変わりますし、弦の中心だと弦の太さによって実際のフレットから弦の距離が変わります。
ギター・ベースによってフレットの頂点も違いますし、速弾きのため指板のえぐれたスキャロップ仕様のギターで指板弦高がものすごく高いことになってしまいます。
フレットレスをのぞき、エレキギターもアコギもベースも弦がフレットの頭にかかることで音程を変える楽器。なので、実際に弦とフレットが触れ合う距離となるフレットの頂点と弦の下端であれば、どのギターやベースでも基本的に同じ数値を目安にできるのです。
基本的にギターやベースのカタログ、雑誌、楽器店などで弦高〇〇mmと言ったときはこの測り方がなされています。
「 このギターは弦高が5mmもある!高い! 」などと言っても周りや楽器屋の店員さんが混乱するだけです。まず正しい測り方を覚えましょう。
実際の弦高測り方
実際に弦高を測るときは、ギターを真横から見て測りたいフレットの頭にスケール(定規)を置き、弦の下端までの距離を見ます。
イラストの例ではスケール右側のメモリが0.5mm刻み。なので、この場合弦高は大体3.5mmということになります。(ちょい高いかな)
画像ではわかりやすいようにイラストにしましたが、実際にはかなり細かい目測になります。スケールの限界があるため、細かくみても「 2.0mmと2.5mmの間だから2.25mmくらいかな 」といった程度。
ちなみに画像では弦の手前にスケールを置いてみていますが、別にスケールは弦の向こう側でも構いません。私はこの方が見やすいのでこうしているだけ。自身で見やすい置き方をしましょう。
弦高を超正確に測る必要はない
弦高を測るのはあくまでもセッティングにおける目安の一つです。
例えばネックが少し反っただけで全体的に設定した弦高からズレるため、0.1mm単位で完璧な弦高調整をしたところで、次の日雨が降って湿度が高まればまたネックの反り具体は変わります。
いちいち設定してもハッキリ言って無駄です。特に日本には四季があり気温、湿度など変化が激しい環境。
超正確な数値を出したりピッタリ決めた数値に調整することにあまり意味はないので、
「 12フレット弦高で6弦側3mm、1弦側2mmくらいか。エレキギターにしてはちょっと高いな。 」
「 このベース微妙にビビるから12フレット弦高で全体的に0.5mmくらい上げてみよう 」
などとある程度目安にする程度のものと覚えておきましょう。
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実際には2か所~4か所くらい測ればオッケー
ときおり、全弦全フレット上での弦高を測ろうとする方もいらっしゃいます。が、そこまでやる必要はありません。
一般的にはエレキギター / アコギで6弦と1弦12フレット上、ベースで4弦と1弦の12フレット上の弦高を測るのが一般的です。
全弦全フレットのポジションで測ることにはほとんど意味がありません。全22フレット仕様のギターだとして6弦あれば132か所。ハッキリ言って手間と時間を無駄にするだけ。
多くても、12フレット弦高にくわえてローポジション弦高として5フレットの6弦と1弦を測るくらいで十分(ベースなら5フレットの4弦と1弦)
正常な状態であれば、5フレット弦高は12フレット弦高よりも若干低いくらいのはず。もちろん、フレットの摩耗状態やネック反りの状態にもよりますが。
2弦~5弦は指板の丸み=アールと弦の丸み=アールがある程度合っているかを見るために測ることもあります。
が、その場合でも数値よりも実際に弾いたときの感触で違和感がないかを優先させた方が良いでしょう。弦の太さによって弦高と実際に指に当たる高さが変わるので、必ずしも弦高がすべてではありません。
弾く人のクセやフレーズ、弦の太さの影響もあるため、必ずしも指板のアールと弦のアールとが一致していれば良いとは限りません。さらにいえば、レスポールのようにそもそも1弦ずつ弦高調整ができないギターもあります。
ネックの反りや全体的なフレットの摩耗状況を調べるのでもない限り、全弦全フレット測るのは時間の無駄です。その時間で練習した方がいい音出せますよ。
エレキギター・アコギ・ベース 弦高の目安
エレキギター、アコギ、ベースとではそれぞれ弦の太さや振幅が違うため、一般的な弦高の目安は異なります。
一例として挙げると、12フレット弦高で下記の通り。
- エレキギター
- 6弦側:1.5mm~2.0mm / 1弦側:1.0mm~1.5mm
- アコースティックギター
- 6弦側:2.5mm~3.0mm / 1.8mm~2.0mm
- ベース
- 6弦側:2.5mm~3.0mm / 1弦側:1.5mm~2.0mm
基本的に、弦が太く弦の振れ幅の大きいアコギとベースはエレキギターよりも弦高が高めでないとフレットに触れて音のビリ付き=ビビりが出てしまいます。
エレキギターの場合はたとえ生音で多少のビビりが出ていても、アンプにつないでビリ付きがなければオッケーと考えても良いでしょう。
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弦高を測るのに必要なスケール(定規)
すでにお気づきかと思いますが、弦高を測るためには
- 刻み目が0.5mm単位。
- スケールの端から目盛りが始まるもの。
のスケールがオススメです。
先述の通り超正確に見る必要はないので、1mm刻みのスケールでも構いません。が、0.5mm刻みのスケールであれば「 1.5mmと2mmの間くらいだから1.75mmくらいかな 」などとより細かく正確に見ることもできます。
スケールがより細かくて悪いことはないので、用意できるようであれば0.5mm刻みのスケールを用意すると良いでしょう。
一つ持っておくと何かと便利ですよ。安いですし。
コチラが実際私も使っているスケール。信頼と実績のシンワ測定さんです。
いずれにしても、そもそも目盛りが端から始まるものでないとまとめに弦高を測れません。
フレットの頭にピッタリ置いて測るので、必ず目盛りが端から始まるスケールを用意しましょう。
ギター・ベースの弦高の測り方 まとめ
- ギターやベースの弦高はフレットの頂点から弦の下端まで。
- 弦高の数値はあくまでも目安。超正確な数値を測定&設定することにあまり意味はない。
- 最終的に弾きにくくなく、ビビりや音程のシャープがない状況を目指す。
弦高高すぎて押さえづらい&音程がシャープする or 弦高低すぎてビビる、むしろフレットについてる みたいな残念セッティングにしないためにも、ちゃんと理解しておきましょう。
なお、実際に弦高も変える場合には六角レンチやドライバー必要になります。ストラトやテレキャスターなどFender系の場合は六角レンチ、レスポールなどGibson系の場合はマイナスドライバーであることが多いですね。
実は、弦高を測るのに便利なスケールも含め、各種六角レンチやドライバーを一つにまとめた十徳ナイフ的な便利道具がIbanezから出ています。
専用の工具に一つ一つに比べれば若干使いにくい面はありますが、個人で使う分には十分すぎますし、かさばらないので一つケースの中に入れておくと何かあったときに対応できて便利ですよ。
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