【Fenderパーフェロー・Gibsonベイクドメイプル】エレキギター、ベース指板材のローズウッド離れ

2017年9月9日

エレキギター、ベースの雄Fenderがローズウッドの代替材を使用

ローズウッドボディーどころかローズウッド指板すら見亡くなるかも?

FenderJAPAN公式ページより。

ローズウッドボディーどころかローズウッド指板すら見なくなるかも?

2017年9月、Fenderがついに一部エレキギター、ベースシリーズでローズウッド指板の代替としてパーフェロー材を使用することを発表しました。

パーフェローはボリビアンローズウッドとも呼ばれる南米産の木材で、実はかなり以前からローズウッドの代替材としてFenderでも使用してきたトーンウッドです。

具体例としては、長年スティービーレイヴォーンモデル、通称SVRモデルで使われていたり、Jaco Patrius Jazz Bass、通称ジャコパスモデルのジャズベースにも使われてたり。

その他にもさり気なく多くのエレキギター、ベースに使われてきたようで、特に幅の広い材を採りやすいことから90年代には5弦ベースの指板によく使われてきたそう。

(Fender プロダクト上席副社長 ジャスィン・ノーベル氏談)

代替材なんて言ってるとなんだか安っぽく聴こえますが、パーフェロー自体は高級な木材で、結構ハイグレードなエレキギター、ベースに使われてきたようです。

含む油分の量や硬さがローズウッドに非常に近い木材で、見た目もローズウッドに近い褐色で大きな違和感はないかも。全体的に若干明るめですが。

ローズウッドからパーフェローへの切り替え自体はかなり早い段階で話し合われ、ワシントン条約によるローズウッド全種の付属書IIリスト入りが発効された2017年1月までには決まっていたとのこと。

ちなみにパーフェローへの切り替えといってもFenderの全機種ではなく、エンセナダ工場で造られるもののみ。

いわゆるFender MEXICOのギター・ベースをローズウッドからパーフェローに切り替えていくってことですね。

今後Deluxeシリーズ、Classic、Standardシリーズのエレキギター・ベースもどんどんパーフェローに切り替わっていくことでしょう。

(もしかしたらすでに切り替え済だったり)

※エンセナダ工場=いわゆるFenderMEXICOなので、American StandardやAmerican DeluxeなどいわゆるFenderUSA製品は現状パーフェローになる予定はない模様。

ワシントン条約によるローズウッド離れ

2017年1月、ローズウッド全種類がワシントン条約によって保護された。

cites.orgより。

2017年1月、ローズウッド全種類がワシントン条約によって保護された。

こうしてローズウッド離れが始まった理由をご存じない方のために言うとですね。

ローズウッド自体が楽器用のトーンウッドとしてだけでなく他の用途でも超優秀な木材なので家具とかいろいろなことによく使われてきていました。

それでかなり伐採が進んでしまい、ブラジリアンローズウッド(通称ハカランダ)など特定種類のローズウッドはもともとワシントン条約によって守られていました。

どこか特定というわけではないようですが、結構モラルなく伐採 → 使用するケースが多く見られたため「 ローズウッド種は全部ワシントン条約で保護する 」ことになり。

それで2017年の1月、全てのローズウッド材がワシントン条約の付属書IIリストに掲載され、輸入輸出がかなり難しくなりました。

(付属書IIなら商業利用での輸入輸出ができないわけではないが、書類の用意や審査がかなり面倒)

これは木材としてだけでなくギター、ベースなど楽器に加工されたものも含まれるため、楽器業界のメーカー各社も苦労。

エレキギターやベースの半数以上は指板にローズウッドを使っていますし、アコギはほぼ100%ローズウッド指板、サイドバックもローズウッドが一番一般的ですから。

それで各社代替材への切り替えなど対応を迫られており、そんな中でついにFender社が代替材を使うことを発表したってわけです。

今回のワシントン条約付属書IIへの追加掲載はローズウッドが属するツルサイカチ属で、パーフェローはマチュリアム属なのでセーフってなわけです。

Gibsonは数年前よりローズウッドの代替としてベイクドメイプルを採用

ちなみにFenderの永遠のライバルであるGibsonはベイクドメイプルと呼ばれる代替材を開発し、ローズウッドから切り替えています。

このベイクドメイプルは焼いて黒っぽくすることで見た目をローズウッドに近づけたメイプルです。

本当に見た目は「 えっ、これでメイプル? 」って感じの黒っぽい指板材です。

ご存じの通りGibson社は代表的なレスポール、SGを含めほぼほとんどのギターにローズウッドを使ってきていて、今更白いメイプルをそのまま指板材にすることはできなかったのでしょう。

そこで焼成することで見た目をローズウッドに近づけたベイクドメイプルを代替材として開発したってわけです。

これが現在ほとんどのGibsonエレキギターに使われているベイクドメイプルです。

見た目の違和感もほとんどないので言われてみないと気付かない方も多いのではないでしょうか。

なお、焼くことで木材としての質も変化しており、普通のメイプルともローズウッドともまた違うサウンドキャラクターとアタック感があります。

実はGibson、2017年1月のワシントン条約によるローズウッド全種類よりも全然前の2011年、2012年頃からローズウッドではなくベイクドメイプルをを使用していました。

というのも2011年にGibsonはFBIによる違法木材を使用、輸出した疑いにより強制捜査を受け、ストックしていた多くのローズウッドやエボニーが使えないなくってしまっていたのです。

2017年にワシントン条約でローズウッド全種が禁止された主な原因は某国が節操なく禁止材も使用しまくったため、なんて言われています。

が、2011年のGibsonの強制捜査事件も原因の一つにはなっているとみて間違いはないでしょう。