ムスタングのスイッチと各部コントロール
ムスタングについて軽く前置き
ムスタングはFender社が開発したショートスケールのエレキギターです。
もともとNIRVANAのカート・コバーン氏や日本のギタリストのChar氏など人気アーティストが愛したことで人気でしたが、近年では人気アニメ " けいおん! " のあずにゃんが使ったこともあり、若いギタリスト達の間でもかなり人気度の高いエレキギターの一つとなっています。
しかしコントロール、特にピックアップのセレクタースイッチちょっと特殊なものが使われており、戸惑った方も多いでしょう。
今回はそんなムスタングのコントロールの使い方について解説しましょう。
ムスタングのコントロール部各部名称
ムスタングのコントロール部の各部名称は上記の通りです。
ツマミはピックアップに関係なく全体のボリュームを調整するマスターボリュームと、全体のトーンを調整するマスタートーンのみ。
時折ピックアップがハムバッカーになったモデルもありますが、コントロールは基本的に全部同じ。この辺りは至ってシンプルでむしろ非常にわかりやすいくらい。
ムスタングでわかりにくいのは青色で色分けをしたフロント・リアピックアップのオン / オフのスイッチ。
ストラトキャスターやレスポールのようなセレクタースイッチではなく、カチカチと横に動かすスライドスイッチとなっている点が特徴的です。
それだけではなく、実はオン / オフのスイッチになっているだけではなく、オン / オフ / オンとなっている点に注意が必要です。
ムスタング最大の特徴 フェイズアウトサウンド
ムスタングのスイッチは真ん中の時にオフで、左右のどちらかに動かすとピックアップがオンになります。
この左右に動してオンにするスイッチがムスタングの最大の特徴。
フロントピックアップだけを使う場合でもスイッチの位置が左右どちらでも音は変わりません。
が、フロントとリアのピックアップを両方使う場合、このスイッチの方向が揃っているか反対になっているかで音が変わります。
- フロントとリアのスイッチが同じ方向に揃っている時の音=フェイズインサウンド(普通のミックスサウンド)
- フロントとリアのスイッチがの向きが反対の時の音=フェイズアウトサウンド(逆位相の独特なサウンド)
フェイズアウトサウンドはアウトオブフェイズサウンドとも。
(具体的なスイッチングについては本記事後半で詳しく解説します)
どちらも二つのピックアップから音を拾っているのですが、拾った信号のかけ合わせ方が違うためにサウンドに違いが出ます。
フェイズインサウンドは正位相の、いわゆる普通のハーフトーンサウンドです。
一方のフェイズアウトサウンドは、特に低音が削られた芯のないような軽い音になります。
これはリアピックアップとフロントピックアップが拾った信号同士で打ち消し合って出来上がったサウンドが出力されるため。
聞いた話ですが、有名な某ギター製造専門学校の教科書ではフェイズアウトサウンドを「 みゃんみゃんサウンド 」と表現しているとか。
フェイズアウトサウンドを知っている方なら、なんとなくわからないでもない表現じゃないでしょうか。確かにそんな感じのちょっと脱力感のある音色です。
いい音と言うには少々難がありますが、他のエレキギターではあまりない独特な魅力のあるサウンドで、サウンドバリエーションの一つとして愛用している人も多い音色です。
具体的なスイッチングとサウンド
リアのみの音
スイッチの位置:リアのみスイッチオンでフロントはオフ(真ん中)
リアピックアップらしい硬く立ち上がりのよいサウンドが特徴です。
フロントのみの音
スイッチの位置:フロントのみスイッチオンでリアはオフ(真ん中)
フロントピックアップらしい丸く柔らかさのあるサウンドが特徴です。
リア+フロントのハーフトーン(フェイズイン)
スイッチの位置:リアとフロントのスイッチの向きを揃えて両方オン
こちらがストラトキャスターなど一般的なエレキギターと同じミックスサウンド。
スイッチの向きが両方同じであればプラス側でもマイナス側でもフェイズインサウンドになります。
リア+フロントのハーフトーン
スイッチの位置:リアとフロントのスイッチの向きを逆にして両方オン
リアとフロントで互いにスイッチの向きが反対になっていればフェイズインサウンドになります。
リアのスイッチを右にした場合はフロントを左に、リアのスイッチが左の場合はフロントを右にすればOK。
これでムスタングならではのフェイズアウトサウンドはアナタのもの。
ムスタングの各部名称とコントロールまとめ
- ムスタングはピックアップスイッチが非常に特徴的で、2つのピックアップのそれぞれにスライドスイッチが用意されている。
- スライドスイッチは真ん中でピックアップオフ、左右のどちらかでオンになる。
- ピックアップを片方のみ使う場合は、スイッチの左右がどちらでも同じ音になる。
- 両方のピックアップを使う際、スイッチの向きを左右逆にすることで独特なフェイズアウトサウンドを得られる。
- スイッチの向きを揃えてオンにすれば通常のハーフトーンミックスサウンドを得られる。
ショートスケールと小ぶりなボディー、ダイナミックビブラートなど魅力的な仕様の多いムスタング。
その魅力の一つがこの独特なスイッチングから生み出されるフェイズイン・フェイズアウトのサウンドバリエーションと独特なサウンドです。
ぜひマスターして楽しいムスタングライフを!
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