フルートのEメカとは? メリットとデメリット【初心者にオススメ】
初心者にオススメなEメカニズムとは?
Eメカニズム(以下Eメカ)とは、フルートの構造上出しづらい第3オクターブのE(高音域のミの音 / High E)を簡単に出せるように補助してくれる機構です。
フルートを選ぶにおいて大事なポイントの一つ。フルートを選ぶ際にはEメカ付きか無しかを選択しなければなりません。
メーカー・ブランドによってオプションとして用意されているかEメカ付のモデルとEメカ無しのモデルがラインナップされているかは異なりますが、後から気軽に付けたりはずしたりできる物ではないので、慎重に選ぶ必要があります。
やはり初心者ほどこのEメカについて迷う(というかよくわからない)ことが多く、店員への問い合わせの多い事項。
楽器店のスタッフになりたい方は、ぜひよく憶えておきましょう。
もちろん、今まさにEメカの有無で迷っている方やEメカがどういうものかわからない、という方も、是非参考にして頂ければと思います。
Eメカの概要と特徴
繰り返しになりますが、Eメカの特徴は第3オクターブのE=高いミの音を出しやすくしてくれる構造です。
フルートは構造上、第3オクターブのE音は出音が不安定になりやすく、フルート奏者にとっては厄介な難関の一つ。
ある程度熟練してきちんと吹けるようになった方でも、緊張のため音がきちんと音が出せないなんてことも。
大げさに言うならば、フィギュアスケートのジャンプの大技のようなものでしょうか。
本来、第3オクターブのEは第1 / 第2オクターブ Eの運指から指を一本だけ離してAキイの部分を解放するのが理想なのですが、この時Eメカのないフルートだと、構造上余計なキイ(表G#)も一緒に開いてしまいます。
そのため第3オクターブのEが吹きにくいのです。
そして、Eメカはこの表G#のキイが開かないようにしてくれる機構、というわけです。
Eメカ搭載による音質の変化
Eメカを搭載することにより、わずかにフルートの重量が増すため、Eメカ無しのものとは音質が微妙に異なります。
基本的にフルートは質量が小さいほど音は軽やかで華やかに、質量が大きいほど重厚感のあるサウンドになると言われています。
Eメカ付きの楽器はEメカ無しの楽器に比べ若干、ダークで重みのある鳴りを持つ傾向があると言えるでしょう。
重量差は僅かではありますが、Eメカが絡む音だけでなく全体の鳴りにも関わる要素です。
気にする程度ではない、という向きもありますが、そういう影響もあるということは認識しておきましょう。
Eメカのデメリット
Eメカのメリットはそれはもう、第3オクターブのE音を出しやすいというところにつきます。
しかし、残念ながらEメカをつけることによるデメリットもあるので、きちんと理解した上で選択する必要があります。
価格が高くなる
例えばムラマツの場合はモデルごとに違うのではなく、オプションで付けるという形ですが、エントリークラスのEXやGXなどでは+28,000円(税抜)。
エントリークラスでは大体この程度が相場です。が、Eメカの価格はフルートの素材によって変わります。
同じムラマツのDSやSRなど総銀製フルートにEメカをつけると+7万円ほどかかります。
メカニズムも銀製になるため、総銀製のフルートの場合はEメカも高くなる傾向にあります。
銀以外の素材も同様で、本体に高価な素材を使っていれば、それだけEメカの価格も高くなります。
また、メーカーによってはキイの仕様(インラインキイ or オフセットキイ / カバードキイ or リングキイ)などによっても、Eメカをつける際のオプション価格が変わることがあります。
この辺りは予算とも要相談です。
(※価格はすべて2015年2月現在のものです)
一部トリル運指が使えない
EメカがついていることによりG#のキイが塞がれたままになるため、一部トリル運指が使えなくなります。
(第3オクターブのGやAの右手中指が絡む運指など)
替え指では音の安定性に不安があるということでEメカを嫌厭する方もいらっしゃいますが、初心者の方はまず第3オクターブのEを普通に吹けるかどうかがまず大事ですし、それほど気にしなくても良い点だとは思います。
ただ、熟練してEメカが不要な方にはデメリットの方が勝る可能性もあるので、上達して2本目を買う場合などにはEメカなしを検討してみてもよいでしょう。
Eメカによる故障
Eメカがついている分、キイの構造が少し複雑になるため、若干でありますが故障する可能性が増します。
とはいえ、そういうトラブルの可能性がある場所が少し増えるという程度のこと。
それ程神経質に考えるほどのものでもないでしょう。
初心者にはEメカは必要?不要? → 絶対つけておいた方がいい!
まず、音楽教室やどなたか先生に教わるという場合は、先生の考え方やカリキュラムに合わせてフルートの仕様についてある程度指定されることがあります。
誰かに教わるという場合は、まずその方にご相談されてから決めると良いでしょう。
特にそういった指定はなかったり独学という場合、吹奏楽器の経験がなく自信がないようであれば、最初の一本目では入門用としてつけておいた方が無難です。
Eメカ無しでフルートにチャレンジする方もいらっしゃいますが、やはり第3オクターブのEでつまずいて嫌になった、というお話もよく聞きます。
特に初心者は最初はハ長調の曲から練習することが多く、そうすると第3オクターブのEは避けては通れない道にあります。
管理人個人的に初心者の方にオススメなのは YAMAHAのYFL-212です。
初心者向けにEメカ付きでありながら価格はかなりお手頃で、入門用のフルートとしてピッタリ。
世界のYAMAHA、品質も安心です。ある程度上達するまで物足りなさを感じることもそうそうないでしょう。
※補足ですが、キイに穴が空いているリングキイ仕様でEメカをつけることはあまりありません。
リングキイは構造上音抜けがよく、Eメカ無しでも第3オクターブのE音がそこまで出しにくくはないため。
但し、元々リングキイ自体が指でキッチリとキイを塞がなければならず難易度が高いので、短略的に初心者に勧められるものではありません。
フルートのEメカとは? まとめ
- Eメカとは、フルートの構造上出しづらい第3オクターブのEを楽に出せるよう補正してくれる機構。
- 特定のトリル運指が出来なくなるなどのデメリットも存在する。(替え指で代替可能)
- Eメカは原則あとから取り付け、取り外しはできないので慎重に選択する必要がある。
初心者にはつけておいた方が無難とは言いましたが、事情によってはEメカは使いたくないという方もいらっしゃるかとは思います。
予算の問題や、構造上吹奏感や運指への影響もありますし、そういったデメリットが気になる方や、後々買い替えるつもりはなく、Eメカ無しの一本で済ませたい方など。
それはそれで別にEメカは無くてもいいでしょう。
なお、今回は特に触れていませんが、オン / オフができるヒンジ付きのEメカや、ニューEメカと呼ばれる従来のEメカとは違う構造のものも存在しています。
Eメカによるデメリットが気になるという方は、こういったものも検討してみると良いでしょう。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません
日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)