ちょっと特殊なEメカ【ニューEメカ / ヒンジ付】
特殊なEメカ
前回Eメカについてお話しましたが、今回は補足としてEメカの中でも少し特殊なものを紹介します。
「 Eメカとはなんぞや? 」という方は、下記関連記事より前回の記事をご覧ください。
ニューEメカニズム
ニューEメカニズム(以下ニューEメカ)は、SANKYO FLUTEで有名な三響フルート製作所が独自に考案したEメカ構造です。
Eメカとは言っても従来のEメカのように専用の機構を追加でつけているわけではなく、Gisキイのトーンホールにドーナツ状のリングを仕込むことにより、疑似的にEメカ同様の働きを持たせたシステムです。
メリットとして大きいのは、従来のEメカでは構造上使うことができなかったトリル運指が使えるという点でしょう。
重量が増加させずに済み、Eメカ由来のトラブルの可能性というデメリットを解消した優れものです。
ただし、多少なりとも通気が損なわれるため、第1・第2オクターブのA(ラ)の音に影響する場合があるというデメリットもあります。
SANKYO FLUTEでは現在、このニューEメカが標準装備になっています。
(有料になるが、ニューEメカではなく従来のEメカをオプションで付けることも可能)
なお、SANKYO FLUTEの場合は設計の段階から緻密な計算を行って製造した上でニューEメカを搭載しています。
既存のフルートにただ似た構造をつけるだけでは、音のムラの原因になりまともな音色ではなくなってしまうとのこと。
そういうこともあり、他のメーカーではがなかなか真似できないようです。
新しいものにチャレンジし続けている三響さんの研究努力の賜物ですね。
ヒンジ付きEメカニズム
もう一つ特殊なEメカとして、ヒンジ付きのEメカが挙げられます。
クラッチ式Eメカニズムとも呼ばれています。
普通のEメカに比べ少々お高くはなりますが、必要に応じてEメカの機能をオン / オフできるという優れもの。
ヒンジ付きのEメカ
Eメカ機構のオン / オフを使い分けることにより、Eメカ最大のデメリットである特定のトリル運指への影響を解消することができます。
しかし、ニューEメカのように疑似的なEメカというわけではなく、Eメカの機構自体は搭載されているので、重量の増加や故障の可能性については排除できません。
やはりある程度高価なモデルでないとヒンジ付のEメカは搭載されていないか、オプションでつけるとなると高価にはなりますが、予算に余裕がある方は検討対象にしてみても良いでしょう。
ただし、そもそもEメカの恩恵を受ける第3オクターブを吹けるならEメカは不要ですし、吹けないならEメカは必要なのでオフにすることはないでしょう。
切り替えができる意義を見出せないようならあまり意味がないので、よく考えましょう。
まとめ
フルートを買う際には、今回ご紹介したちょっと特殊なEメカや、Eメカの有り無しも含め色々な選択肢があります。
なにもフルートに限りませんが、楽器の選び方というのはなかなか難しいものです。
演奏者自身のスタイルに合わせて適した物を選べるよう、それぞれの特性やメリット・デメリットについてきちんと理解しておきましょう。
特に楽器店の店員になりたいという皆さんは、よくわからず迷っているお客様へきちんと案内ができるように理解を深めておきましょう。
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