クリップチューナーの歴史と特徴・各楽器との相性

2015年8月25日

楽器業界を席巻するクリップチューナー

クリップチューナー-KORG-Pitchhawk2G

KORGの主力クリップチューナー Pitchhawk2G

クリップチューナーが登場するまでの練習用チューナーは、カード型チューナーの独壇場でした。

ペダル型やラックマウントタイプのチューナーは練習で使うにはちょっと大げさすぎますから。

しかしクリップチューナーが流行して以来、その事情がガラッと変わります。

クリップチューナーの歴史 先駆者KORG AW-1

初代クリップチューナーKORG-AW1

専用ケースと大小二つのクリップが付属した初代クリップチューナー KORG AW-1

クリップチューナーが初めて世に登場したのは2004年。

KORG AW-1が始祖でした。

AW-1は専用のケースつきで売価4,980円程度と最近の物に比べればちょっと高価。

クリップチューナーの汎用性の高さはKORGも意識してはいましたが、どちらかというとメインターゲットは管楽器ユーザーを想定していました。

それが、フタをあけてみればギタリストやベーシストに大好評

詳しくは後述しますが、実際そうなる素地があったんですよね。

そこでKORGは、次世代の商品ではギターモードを搭載したAW-2Gやウクレレ専用のAW-2Uなどバリエーションを用意。

その後、多くのメーカー・ブランドがクリップチューナーの開発にしのぎを削り、クリップチューナーの戦国時代が始まります。

そして価格競争が激化し、現状に至るってわけです。

参考までに、現在超定番のKORG PC-2の価格はこんな感じです。

小さいし軽いし安いしで、楽器ごとに一つずつつけっぱなしにしちゃう人もいますね。

クリップチューナーの特徴と各楽器の相性

クリップチューナーの一番の特徴は、取り付けられさえすればどんな楽器でも使える、そして取り付けるだけで使える点です。

しかも楽器に直接取り付けるので演奏者との距離が近く見やすい点もGOOD。

いまクリップチューナーは多くの楽器でかなり好評で、人気が集中しています。

ギターやベース、ウクレレなどはもちろん、バイオリンやチェロなどのオケ系の弦楽器や木管楽器に金管楽器まで、ジャンルを超えて非常に広く使われています。

もう少し突っ込んで楽器ジャンルごとに相性や現状のシェアについて少しふれておきましょう。

エレキギター・アコギ・ベース・ウクレレとクリップチューナー

クリップチューナーは特にギターやベース、ウクレレなど軽音楽系の弦楽器ユーザーにかなり人気です。

というのも、クリップチューナーがまだなかったころはシールドはつないだり抜いたりの手間はかかる、内蔵マイクは周囲の雑音に弱く拾う精度が微妙、音叉は初心者には難しいしで、色々面倒でした。

しかしクリップチューナーならヘッドに取り付けるだけで使え手間がなくヘッドのクリップチューナーと演奏者の視点が近いため視認性も高いなど、かなり優秀。

しかも最近のクリップチューナーはバックライトはもはや当たり前、カラー液晶を搭載したものも多く、暗いステージ上でもよく見えます。

ステージといえば視認性バグツンのペダルチューナーが定番でしたが、ちょっと重くてかさばり、少々値が張るのが難点でした。

一方クリップチューナーは視認性もよく軽くて小さいので、ペダルチューナーの売れ行きにまで影響しています。

他のタイプのチューナー不満を全て見事に解決。そりゃ売れますわ、ウン。

管楽器やバイオリンなどオケ系弦楽器とクリップチューナー

YAMAHAトランペット・トロンボーン用クリップチューナー_TD-36M

トランペット・トロンボーン用クリップ搭載の YAMAHA TD-36M(既に廃番)

クリップチューナーは管楽器でも一定の人気はありますがギターやベース程ではありません。

管楽器やバイオリンなどの場合は譜面台を使い、カード型のチューナーを置けるからです。

あと、バイオリンやビオラ、クラリネットやらトランペットやらの管楽器の場合、楽器本体が軽い割に長いので、クリップチューナー程度の重さでも重量バランス的に気になったり。

付けたままだと常に視界に入って鬱陶しいなんて言う方もいますね。

やはりカード型のチューナーを譜面台に置いて、見たい時だけ見る方が無難で便利なのでしょう。

あと、こういったオケ系の団体や吹奏楽部などは体育会系というのもクリップチューナーが広まらない遠因になっています。

昔から新入部員は先輩からカード型チューナーを買うように言われてきました。

クリップチューナーがある今でも、「 私の時も先輩がこう言ってたから、カード型のチューナーがいいと思うよ 」となってる模様。

そんなこともあってかクリップチューナーはギターほど人気ではなく、管楽器専用のクリップがついた商品は徐々に減りつつあります。

クリップチューナーの特徴まとめ

  • クリップチューナーとは、楽器本体に直接クリップで取り付け振動を拾うことでピッチを確認できるチューナーを指す。
  • 軽量で小型で持ち運びやすい上、安価で楽器に取り付けるだけで使える手軽さから人気が高まっている。
  • 練習時でもステージ上でも使いやすいため特にギター・ベース・ウクレレなど軽音楽系の奏者に人気がある。
  • 管楽器やバイオリンなどのオケ系弦楽器でも使いやすいが、譜面台に置けるカード型のメリットが大きくギターほどは普及していない。

実際管理人個人的にも、ギター・ベースであればカード型じゃなくてクリップチューナーの方が断然おすすめ。

クリップチューナーはクリップではさむだけでチューニングできる手軽さを持ち、従来のチューナーたちの弱点をことごとく克服した優れものです。

首の稼働部分が壊れやすい傾向はありますけど、よほど力任せに動かすのでもなければそこまでヒドくもないし、安価なので壊れてもさほど気になりません。

高い視認性でステージ上でも問題なく使えますし、これからもチューナーのスタンダードとして他のタイプのシェアをどんどん奪っていくものと予想されます。

実際、楽器店のギター・ベース初心者セットやメーカーがオマケでつけるチューナーも、クリップチューナーが主流になりました。

重量バランスが悪いとか、メトロノーム機能など多機能なものが欲しいとか、明確な理由がなければクリップチューナーが一択ですよもう。

(ただし、管楽器の方は指定があったりするので先生や先輩と相談すると良いでしょう)

管理人的は、クリップチューナーだけどBluetoothにも対応していて、iPhoneなどスマホでピッチを確認できるようになるとか、そういうものを期待しています。