【バンドレンリード クラリネットリードの種類】シリーズごとの特徴と音の傾向・違い

2016年3月18日

バンドレンのクラリネット用リードのシリーズごとの違い

Vandoren(バンドレン)リードは、世界でも最も有名なリードのブランドです。

クラリネットではメジャーなB♭クラリネット用やE♭クラリネット用だけでなく、アルトクラリネット、バスクラリネット用からコントラバスクラリネット用、果てはドイツ管用のジャーマンリードやオーストリアンリードまでも作っています。

今回はそんなVandorenのクラリネット用リードのそれぞれの特徴と音の傾向・違いについて解説します。

トラディショナルシリーズ Traditional

リード-Vandoren_traditionalシリーズ(クラリネット用)

トラディショナルシリーズ 通称 " Vandorenの青箱 “

カット:ファイルドカッド

ティップの厚さ:0.09mm(0.0035インチ)

ヒールの厚さ:2.8mm(0.110インチ)

トラディショナルシリーズはVandorenの中でも最もスタンダードなモデルとして位置付けられているシリーズです。

箱の色から通称『 バンドレンの青箱 』として多くの人々に愛されています。(青というよりは紺色なんですけど)

最もポピュラーに使われており、もしクラリネットのリードで迷ったらトラディショナルシリーズにしておけば間違いはありません。

実際どんなジャンルにも幅広く使わえるので、特に初心者でまだリードのことはよくわからない方は『 迷ったらトラディショナルの青箱! 』と覚えておくとよいでしょう。

同じ厚みの番手でも後述するV12やルピック56、V21に比べ若干厚めに設定されているのも特徴の一つ。

ちなみにファイルドカット仕様です。

V12シリーズ

リード-Vandoren_V12シリーズ(クラリネット用)

V12シリーズ 通称 " Vandorenの銀箱 “

カット:ファイルドカット

ティップの厚さ:0.1mm(0.0040インチ)

ヒールの厚さ:3.15mm(0.124インチ)

V12シリーズはトラディショナルシリーズに比べ若干ダークな音色で、吹奏楽やクラシック向けのリードです。

Vandorenのクラリネット用リードの中ではトラディショナルと双璧をなして人気の高いリードシリーズで、 箱の色から通称銀箱と呼ばれます。

V12シリーズもトラディショナルシリーズ同様ファイルドカット仕様です。

トラディショナルと双璧をなして人気の高いリードシリーズで、長らく多くのクラリネット奏者たちの支持を集めています。

なんとクラリネット用にしてアルトサックスと同じ厚みのケーンから造られており、全体的に厚みがありパレットが長く仕上げられています。

音が豊かで心地よいアタック感を得られる人気リードです。

ルピック56 RUE LEPIC56

リード-Vandoren_ルピック56シリーズ(クラリネット用)

ルピック56リード

カット:アンファイルドカット

ティップの厚さ:0.11mm(0.0045インチ)

ヒールの厚さ:3.25mm(0.128インチ)

ルピック56シリーズは、吹奏楽・クラシック向けの特徴を持つ、当たりの幅が狭いリードです。

トラディショナルシリーズ、V12シリーズはクラリネットリードのみならずサックスリードにもあるのですが、ルピックシリーズはクラリネット用リードのみの専用シリーズ

パリにあるVandoren本社の住所56番地が名前の由来となり、ルピック56と名付けられました。

V21シリーズ

リード-Vandoren_V21シリーズ(クラリネット用)

V21リード

カット:アンファイルドカット

ティップの厚さ:0.10mm(0.0040インチ)

ヒールの厚さ:3.25mm(0.128インチ)

V21シリーズは、Vandoren社の110周年に当たる2015年に発売された比較的新しいリードシリーズです。

名前の由来は『 21世紀のリードだからV21 』。

新製品としてはルピック56から約15年経っての発売で、「 V21を試してみたい! 」という需要に対して生産・供給が追いつかず、日本では発売当初品薄が続きました。

箱の色が明るい青で紺色のトラディショナルよりも『 青箱 』らしい色ですが、サックス用にはV21はありませんし、長年使われてきた通称が変わることはないでしょうね。

ルピック56と同じ円錐形とV12のカットの形状を組み合わせたデザインで、広い音域で吹きやすく反応を向上させつつ、深みとあたたかさのある音色を実現しています。

Vandorenクラリネット用リードの特徴・違いまとめ

「 どれも吹奏楽・クラシック向けじゃねーかっ! 」なんて突っ込みが聴こえてきそうなくらい、クラシック向けばかりです。

実際、吹奏楽・クラシック向けだけでなくジャズ向けのリードもたくさんあるサックス用リードに比べ、クラリネット用のリードは割と吹奏楽・クラシック向け一辺倒

サックスと違ってクラリネットはあまりジャズには使われないからでしょう。

とは言っても、あくまでもそういう傾向があるだけで別段V12はクラシック向けだからポップスは吹けないとか、そういうことはありません。

リードはマウスピースとの相性や奏者個人の好みもありますから、その辺りも考慮して色々試してみるとよいでしょう。

なお、バンドレンのクラリネット用リードとしては他にホワイトマスターシリーズブラックマスターシリーズがあります。

これらは通称ドイツ管と呼ばれるエーラー式クラリネット専用の、いわゆるジャーマンリード・オーストリアンリード。

これらドイツ管用のリードは現在スタンダードなベーム式に使われるクラリネットでは使用できない少々特殊な扱いのものですので、機会を見てまた別途お話させて頂きます。