レジェールなど樹脂製リードのメリット・デメリットと特徴

2016年2月10日

ケーンを使った伝統的なリードと新世代の樹脂製リード

リードは通常ケーンという日本語で言うところの葦を削りだして作られています。

実際VandorenやRicoなど有名なリードは全てケーンを使っています。

が、近年になってレジェールなどに代表される樹脂製のリードもつくられるようになりました。

今回は伝統的な素材であるケーンではなく、プラスチックなど樹脂製のリードの特徴やメリット・デメリットについて解説します。

樹脂製リードとは

樹脂製のリードとは、その名の通り天然素材であるケーンではなく人工的につくられた樹脂を使ったリードを指します。

樹脂製のリードの代表格としては レジェールリード があげられます。

レジェールリード(B♭クラリネット用)

樹脂製リードの代表格 レジェール

サックスやクラリネットのみならず、ダブルリード楽器であるオーボエやファゴット用のリードまでラインナップ。

他にもあえてケーンリードと見た目を似せて作ったファイブラセルや、竹繊維を樹脂と混ぜ込んだフォレストーン、カーボンと竹を混ぜ込んだブラックバンブーなんてものもあります。

一言で樹脂製とはいっても素材は各社工夫を凝らし様々ではありますが、その特徴などは共通するところが大きいですね。

樹脂製リードを使うメリットやデメリットを挙げてみましょう。

樹脂製リードのメリット

水分や湿度など環境に左右されず、すぐに使える

樹脂製リードは温度や湿度など環境や水分量に左右されず、いつでもすぐに吹ける特徴があります。

ケーンリードは天然素材のため、湿度などの環境によって膨張するなどの影響を受けますし、吹く前には適度に湿らすなどの前準備が必要。

また、特に炎天下や寒く乾燥した冬の時期の室外での演奏時に樹脂製リードは圧倒的に有利です。

ケーンリードはすぐに乾燥してしまいダメになりますが、樹脂製リードはそういった影響は受けません。

水洗いもできて衛生的なメリットもあります。

高い耐久性による長寿命

また、樹脂製リードの大きなメリットの一つとして、高い耐久性が挙げられます。

ご存じの通りケーンのリードは当然劣化もしますし使っているうちに割れたりもする消耗品。

個体差もある中、気に入ったリードや当たりのリードがあっても、結構な頻度で取り替えなければなりません。

樹脂製のリードも半永久とまでは言わずとも、通常のリードに比べ数倍は余裕でもつ優れものです。

気になるその寿命は割れや欠け、反り等が出るまで。

一概にはいえませんが通常のリードが2週間~4週間程度に対し樹脂製のリードは3か月~6か月程度が目安といえるでしょう。

使用状況・保管の仕方によって1年持つかもしれません。

個体差・品質のバラつきが少ない

他にも樹脂製のため個体差が極めて小さいメリットがあります。

天然素材でつくるケーンリードはご存じの通り品質にかなりバラつきがあります。

また、ケーンリードは稀に通常の個体差とは別にロットによる品質差が出る場合があります。

樹脂製でもバラつきが全くないワケではありませんが、従来のケーンリードに比べれば段違いに品質が安定しています。

樹脂製リードのデメリット

サウンド・吹奏感の違い

樹脂製リードのデメリットはケーンリードとは吹奏感やサウンドに多少の違いが出てしまう点でしょう。

ただし、慣れ親しんだケーンリードとは変わってしまう点をデメリットとして挙げてはいますが、吹奏感や音色の良しあしは結局のところ奏者本人の好みによって変わることです。

変わってしまうデメリット=吹奏感や音色が悪いワケではないのであまり深刻に受け取らないでいいでしょう。

価格が高い

もう一つ樹脂製リードのデメリットとしてしいて挙げるならば、価格が高価である点。

モデルによりますが大体相場的には樹脂製のリードが1枚で2000円前後といったところでしょうか。

一般的なケーンリードであるVandorenリードの10枚入り1箱と大体同じくらい。

ただ、デメリットとは言っても樹脂製リードは1枚で長く使えるので、コストパフォーマンスの観点では大差はありません。

(上記価格はサックス・クラリネットなどシングルリードの場合。オーボエ・ファゴットなどのダブルリードものはより高価です)

オススメ樹脂製リード

樹脂製リードの中でオススメなのはレジェール(Legere)ブランド

通常のリードは厚みの刻みが1/2刻みが多いのですが、レジェールは厚みが1/4刻みであり、かなり細かく厚みを選ぶことができます。

また、レジェールの場合厚みも含め、使用後でも1度商品を交換することができます。

厚み選ぶのミスったなぁ……なんて時に安心ですね。

他にもあえてケーンリードと同じような見た目に加工してファイブラセルや、竹の繊維とPP素材を混合したフォレストーンなどさまざまな樹脂製がリードが出ています。

が、まずは無難なところでレジェールから試してみるといいでしょう。

樹脂製リードの特徴 まとめ

  • 高い耐久性を持ち、品質が安定している点が特徴。
  • 吹奏感や音色はケーンリードとは違い、好みが分かれる。
  • 相場的には樹脂製リード1枚で10枚入り1箱分くらいの価格と効果だが、前述の通り高耐久性でコストパフォーマンスは決して悪くない。

もちろん、伝統的な通常のケーンリードも基本として使い方等も抑えておきたいところです。

なので初心者にいきなり樹脂製のリードはオススメすることはしませんが、普通のリードに慣れたのであれば、ちょっと気分転換程度にでも樹脂製リードを一度試してみていただきたいところですね。

吹奏楽部などある程度閉鎖的な面もあり、何かと新しいことが倦厭されがちな管楽器界ではありますが、新しいものもなかなか悪くはないものですよ。