【センドリターンの使い方 上級編】 シリーズ / パラレルとレベル調整

2015年5月26日

センドリターン端子の回路構成とレベル調整

センドアンドリターンシリーズ・パラレル配列とレベル調整

Roland JC-120のセンドリターン部。ループ配列とレベル調整のスイッチが見て取れる。

前回の基礎編でセンドリターン・エフェクトループの基礎としてメリットとデメリット、使い方とつなぎ方をお送りしました。

その最後でも触れましたが、実はセンドリターンを使うには注意点があります。

センドリターンにはシリーズパラレルの回路構成と、レベル調整(-20dB~-10dB / +4dB)がある点です。

特にレベル調整によってアンプやスピーカーにダメージを与え、機器の故障につながる可能性があるので注意が必要です。

シリーズ / パラレルの回路構成もサウンドに大きな影響を与えるので、その違いをきちんと知っておくと良いでしょう。

シリーズ配列とパラレル配列の違いと使い分け

センドアンドリターン端子シリーズ(直列)とパラレル(並列)

シリーズ配列とパラレル配列のイメージ図。

まずはシリーズ配列とパラレル配列の違いと使い分け。

シリーズ配列とパラレル配列の違いにより、エフェクトのかかり具合とサウンドが大きく変わります。

シリーズ配列(直列)

シリーズは直列という意味で、一本道を通る形になります。

センドリターン端子を使わずギター~アンプ間にエフェクターをつないだのもある意味では直列。

なので、シリーズの場合普通にエフェクターをつないだのと同じ効果のかかり方になります。

パラレル配列(並列)

一方、パラレルとは並列を意味し、横に二つのラインが並んで走る形になります。

  • エフェクトループ回路内を通った音(センド端子とリターン端子間のエフェクター)
  • センド端子とリターン端子間のエフェクターを通らない、プリアンプからの原音

この二つの音をミックスして出力するようになっています。

つまり、パラレル(並列)ではセンドリターンのエフェクターを通った音と通っていない元の音の両方を出力しているのです。

これによってつないだエフェクターの効果は若干薄くなりますが、激しいエフェクトをかけても音の芯が残るのがシリーズとの最大の違いですね。

なお、大抵の機器は直列につないで使うことを前提にサウンドやかかりが調整がなされています。

ある程度は並列で使われることも想定はなされているのでどちらで使っても壊れることはまずないので好みで構いませんが、どちらかと言えばシリーズの方が一般的です。

ボリュームペダルはシリーズ(直列)で!

ボリュームペダルはセンドリターン端子につないで使う場合、パラレルでは音をしぼってももう一方のラインから原音が出てしまうのできちんと動作しません。

BGMボリュームペダルを使う際はエフェクターループ回路がシリーズ仕様になっている必要があります。

アンプがどちらの仕様のセンドリターン端子を搭載しているかはモデルによって異なりますが、機種によっては切り替えが可能なものもあれば、パラレルでもプリアンプからの原音とエフェクト音をミックスする割合を調整できるものもあります。

レベル調整(-20dB~-10dB / +4dB)

ギターアンプ・ベースアンプの機種によっては、レベル調整用のスイッチがついている場合があります。

レベル調整が可能な場合、一般的には -20dB か -10dB と、 +4dB のどちらかに設定できるようになっています。

(dBとは信号のレベルを表す単位でデシベルと読みます。トヨタ bBとは関係なーし)

結論を言えば、ギター・ベース用エフェクターなどで使う分にはマイナス側の数値である-10dBや-20dBで使えばOKです。

センド端子からエフェクターループ回路に送られリターンから返ってきた信号をアンプが受ける際に信号の大きさを調整してやることが役割です。

-10dB ~ -20dB のマイナス数値がギター・ベース用の機器を想定した数値なのです。

ループ回路のレベル調整機能がないアンプであれば -20dB か -10dB のどちらかに設定されているはずなのでそのままつないでOK。

逆に+4dBはPA機器をつなぐ時のためのもので、普通にギター・ベース用の機器を使う分には必要ありません。

疑問 …… 信号を小さくして大丈夫?

「 音の信号を小さくするって音量・音圧が小さくなってしまうんじゃ? 」

と思うかもしれません。が、全く問題ありません。

もし小さく感じたらアンプのゲインやボリュームのツマミやエフェクターで調整すればいいだけです。

そもそも音の信号はエフェクターやアンプ内部で何度も何度も増幅と減圧を繰り返していますから、今更そんな心配は無用です。

実はどちらでも音は出る(やる意味はないけど)

このレベル調整は単純に音の信号レベルの大小を調整しているだけなので、どちらでも音は出ます。

が、ギター・ベース用機器をいつもの設定でいきなり+4dBでつなぐと、入力過多になりアンプにダメージを与え、最悪の場合アンプが故障する可能性があります。

(わざわざやる必要はありませんが)+4dBでつなぐ場合は各種ゲインやボリュームを絞ってからつなぎ、音を聴きながら調整します。

反対にPA機器を -10dB や -20dB でつなぐと信号が小さすぎるためセッティングで信号を持ち上げてやる必要が出てきます。

シリーズ / パラレルとレベル調整 まとめ

  • シリーズ(直列)の場合はエフェクターを普通につないだのと同じかかり具合になる
  • パラレル(並列)の場合はループ回路を通った音とプリアンプからの原音を重ねて出力するため、激しいエフェクトでも音の芯が残る
  • レベル調整はギター・ベース用の機器をつなぐ際には +4dB ではなく -20dB や -10dB で接続する

シリーズ・パラレルはどちらかと言えばシリーズの方が一般的ではありますが、逆に言えばパラレルでは普段とは違った新鮮なサウンドになります。

どちらでも機器が壊れるようなことはまずないので、好みで色々試してみると良いでしょう。

ただし、しつこいようですがレベル調整は場合によってはアンプや機器の故障につながります。

上記のルールは必ず守りましょう。

アンプも近年ではあらゆる(無謀な)使い方を想定して様々な保護回路などが入り、昔に比べればトラブルは少なくなりました。

が、アンプやスピーカーはとてもアナログなもので、無茶な使い方をすると本体にダメージを与え、故障の原因となってしまう可能性があります。

無茶な走りばかりしている車と普通の車とでは無茶な走り方の車が先にガタがくるように、アンプでも無茶な使い方をしていると、すぐには症状が出ずとも各種パーツの劣化が早まります。

新しい音のためなら無茶も必要かもしれませんし、何事も経験ではありますが、特に大型アンプは借り物を使うことが多いので……

守るべきルールは守りましょう。