アコースティックブランドブランド K.Yairiの歴史と特徴
国産アコースティックギターの雄、K.Yairi
K.Yairi(Kヤイリ)は、岐阜県可児市に工房を構える国産アコースティックギターブランドです。
株式会社ヤイリギターが製造。
アコースティックギター以外にもウクレレや大正琴、果てにはブズーキなんてマニアックな楽器まで作っており、その高い技術力から生まれるギターは国内にとどまらず海外でもかなり好評。
基本的には輸入・卸会社であるTMC(※)が卸していますが、元々ヤイリギターがあまり作り置きをしない(生産が追いつかない?)ため、TMCもあまり在庫はしておりません。
(※2016年現在)
一部TMCを介さずK.Yairiと直接取引をしている楽器店もあり、こういった特約店にはK.Yairiのギターが多く展示されていたりします。
K.Yairiのギター探している方は、まずこういった楽器店を探すところからスタートすることが多いようです。
テレビでも幾度となく特集番組が組まれたり、ドキュメンタリー番組になったりと露出が増えており、ブランドとしても知名度・注目度もどんどん高くなっています。
しかし、楽器メーカーとしての歴史をたどると、実はかなりの老舗であることがわかります。
K.Yairiの歴史
ヤイリギターの前身である矢入楽器製作所がスタートしたのは、なんと戦前の1935年。
創始者である矢入儀市氏がこれまた老舗楽器製造メーカーである鈴木バイオリン製造から独立し、矢入楽器製作所を立ち上げたのが始まりです。
しかし幾度となく経営不振に陥り、楽器メーカーでありながら木箱を製造して急場を凌ぎ、経営を維持したことも。
そんな中、矢入儀市氏の長男である矢入一男氏が当時ブームの兆しがあったアコースティックギター造りを学ぶために1962年に渡米。
その後1965年に矢入一男(やいりかずお)氏が代表取締役に就任。
ここで大きく舵が切られます。言うなれば、K.Yairi誕生のターニングポイントだったといえるでしょう。
矢入一男氏が社名を株式会社ヤイリギターに変更し、本格的にアコースティックギターの製造をスタート。
(ちなみにK.YairiのKは一男氏のイニシャルからとっています)
その後アコースティックギターブームによって数十年に渡って堅実に、そして着実にその名を日本中へ知らしめました。
残念ながら矢入一男氏は年に他界しておりますが、その後もその高い技術力により、世界中のギタリストたちに広く愛されています。
国産ハンドメイドギターのこだわり
K.Yairiが支持を得ているのは特にその品質の高さからといえるでしょう。
その品質の高さを支えているものが、可能な限り職人が手作業で仕上げるハンドメイド手法と数多くのこだわり、そして熟練した職人の腕。
造っているのは岐阜の工房のみなので、当然安いクラスからハイエンドクラスまで全て国産。
(音来のボディーのみ外注だったり、ごく一部の楽器のみ社外で作られている)
今では木材の乾燥は熱を加える強制乾燥を採用するメーカーさんが増えている中、材がきちんと乾燥するまで数年寝かせておく自然乾燥にこだわっているのもヤイリギターの特徴。
他にも新品のギターでも弾きこんだギターの鳴りに使づけるために、完成後出荷までに大音量のクラシックを聴かせて振動を染み込ませたり。
とにかく、楽器としての音・鳴りへのこだわりが半端ではありません。
これだけ注目され人気が集まった今でも、こういった音へのこだわりはK.Yairi設立当初から変わらず、基本的に造り置きはせずエンドユーザーやお店から注文があった分だけ製作する受注生産スタイルで、月産数も決して多いとは言えません。
(生産が追いつかないため結果的に受注生産になっている感もありますが)
こうしてその高い品質は多くのギタリストに認められ、プロミュージシャンにも愛されるアコギに。
有名なところではサザンオールスターズの桑田佳祐氏、ミスチルの桜井和寿氏、福山雅治氏、管理人も大好きなチャットモンチーの橋本絵莉子氏などスゴイ面々が愛用。
そして海外輸出用ブランドAlvarez Yairi(アルバレズヤイリ)も海外でかなり高い評価を受けています。
ヤイリギターを使用している著名な海外ミュージシャンとしては、ポール・マッカートニー氏や、エリック・クラプトン氏、リッチー・ブラックモア氏やレディオヘッドのトム・ヨーク氏などこれまたそうそうたる名が連なります。
矢入一男氏はその功績をたたえられ、2005年には厚生労働省の「現代の名工」に選出、翌2006年には黄綬褒章を受章しています。
それでも価格が他メーカーのアコギに比べても決して高くないんですよね。
海外の有名メーカー、例えばマーチンに比べても断然安いですし、国内の他アコギメーカーさんと比べてもむしろお手頃価格だったりするくらい。
こんな言い方は失礼かもしれませんが、社長さんからして職人さんなもんだからあまり商売上手ではないのかも……?
逆に言えば商売上手でなくても世界レベルで認められるほど、ヤイリのギター造りのレベルが高いってことなのでしょう。
K.Yairiの特徴
特注・セミオーダーも!
K.Yairi、セミオーダーや全く新しいギターを作る特注ギターも受けてくれます。
オーダーの範囲もかなり自由で、木材の変更や塗装・カラーリングの変更はもちろん、ブレーシングの仕様、指板インレイの形まで、かなり細かく指定することが可能。
もともとK.Yairiの性格的にスタンダードなアコギの製作も得意なのですが、ダブルネックだったりもはや彫刻みたいな変形レベルのアコギの造形にも挑戦してきており、その製造能力はかなりのもの。
ESPレベルのヘンテコな特注も受け付けています。
なお、通常商品の受注生産の場合でも同様ですが、納期としては大体4か月~6か月程度の一般的です。
ただ、塗装がラッカーだったり塗装時期が梅雨にかかる、台風の襲来がかかるなど、場合によっては納期が延びることも。
そして単純にオーダーの多い時だと半年以上待つことになることもしばしば。
管理人が楽器店にいた頃取り扱ったことがありますが、お待ち頂いた最長は8か月だったかと記憶しています。
それでも文句も言わず待ってくれる方がほとんどなのはその品質のすばらしさが認められている証拠なのでしょう。
ギターが存在する限り続く永久保証
アコギでは半年か1年が一般的なメーカー保証ですが、K.Yairiの楽器は基本的に永久保証がついています。
細かい調整やチューンまでヤイリギターが保証範囲内と認めるものはギターの新旧に関わらず無料で受けることができます。
(但し、この保証自体はワンオーナーのみですので、中古で購入した場合にはつかなくなります)
ハンドメイドアコースティックギターブランド K.Yairi まとめ
ヤマハやモーリスなど、世界に誇れる日本のアコギメーカーは他にもありますが、完全国産のハンドメイドブランドでこの規模の工房を持つのはK.Yairiくらい。
GibsonやMartinなど海外の人気モデルをベースにしたJYシリーズやDYシリーズはもちろん、完全オリジナルの各種モデルや一期一会など、バリエーションも豊か。
しかもカスタムもできちゃいますから、自分にピッタリの一本を作ってもらえるわけです。
(人気すぎてベースを決めようにもなかなか実機を見る機会がないのが難点ですけど)
アコギの愛好家のみなさんはもちろん、アコギを扱う楽器店の店員さんたちには、ぜひともそのすばらしい楽器に一度触れてみていただきたいものです。
ディスカッション
コメント一覧
K.YARI、とっても良いギターです。
私は高校生の時、ハーフオーダー(糸巻き(ペグ)や指盤の装飾、ブリッジなどを好みに変更と材の指定)して訳40年前に工房まで行ってKY1000モデルを作ってもらいました。(当時の価格で10万円でした。)
それ以来、弦を張りっぱなしでいますがネックが反ったことは一度もありません。
最近、音が枯れてきてやっといい音になったと感じています。
S.YAIRIも当時は惹かれましたが音の深みがKの方があったと思いました。Sの方は高音の響きが良かったのを記憶しています。
社員さん達はとても気さくで素人の希望をよく聞いてくださり、無理を言ってもできる限りの対応をしようと言う気持ちがと伝わってきました。
40年物のKY1000!
それでも保証が続いているんでしょうから、やっぱり永久保証ってスゴイですね。
今でアレですから、いい材使ってるんでしょう。
K.ヤイリさんはもとより木材のシーズニングにこだわってますし、ネックが反らないというのも納得がいきます。
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