ギター・ベースの塗装 オイルフィニッシュ

2015年3月15日

オイルフィニッシュという塗装方法

バッカス オイルフィニッシュWOODLINE DX 4ACE BLKOIL

独特な風合いが美しいオイルフィニッシュ(Bucchus WOODLINE DX 4AC/E BLK/OIL)

オイルフィニッシュとはその名の通り、油を塗り込んで塗装を仕上げるというもので、スプレーガンを使うポリ塗装やラッカー塗装とは根本的に違う方式の塗装です。

昔から家具などによく使われてきた伝統的な塗装方法で、下地となる木の木目が活かされた独特な風合いと、被膜らしい被膜のない極薄の仕上がりが魅力です。

オイルフィニッシュとは?

みなさん、油は水とは混ざらず、はじくのはご存知ですよね。

その性質を利用して、木材に油を刷り込んで染み込ませ、水分を遮断してしまおうというのがオイルフィニッシュです。

一口でオイルフィニッシュと言っても酸素と結合して硬化する性質のある乾性油や、逆に固まらないタイプの不乾性油など色々な種類がありますが、基本的にはこのような性質を利用した塗装方法。

表面に被膜というような被膜はなく、ほとんど木の肌そのままの質感で、基本的には木目がそのまま活かされる仕上がりになります。

オイルフィニッシュのメリット

オイルフィニッシュのメリットですが、一番に言えるのはその被膜の薄さでしょう。

というか、前述の通りほとんど被膜を形成しないため、限りなく塗装をしていない生の状態に近い鳴りになります。

また、手塗りなので特別な用具も必要なく、オイルフィニッシュ用のオイル自体はホームセンターなどで入手可能。

ふきとる工程もあるためホコリや小さなゴミが入り込む心配がなく、また多少ムラになっても木目に紛れて目立たないため、キレイに仕上げる難易度が低いというのも利点です。

オイルフィニッシュは他の塗装方法に比べハードルが低いため、ギターやベースを自作する方にも人気のある塗装方法です。

オイルフィニッシュのデメリット

残念ながら、オイルフィニッシュにもデメリットがあります。

まず、水分や湿度の遮断が甘いこと。

ラッカー塗装やポリ塗装のように全面的に被膜でコーティングしてしまう塗装方法でも湿度などの影響を受けるのに、オイルを塗ったくらいでその影響から逃れられるわけはありません。

被膜がないので塗装のクラック等はありませんが、楽器本体が湿度変化による影響を受けやすいのがオイルフィニッシュの弱点。

また、木がほとんどむき出しの状態ですから、オイルフィニッシュ自体には耐衝撃性や耐摩耗性はほぼなく、キズやへこみ、塗装のハゲが起こりやすいのも弱点の一つ。

そういった変化を楽しめない方や、湿度管理に自信がないという方にはちょっとおすすめできません。

まとめ

・オイルフィニッシュは塗膜らしい塗膜がなく無塗装に近い状態のため、鳴りへの影響が小さい

・木材そのものに近く、独特の風合いとさらさらとした肌触り

・衝撃やキズから保護する力が弱く、また湿度変化による影響を受けやすい

・塗装そのものの難易度と用具を揃えるなどのハードルが低いため、ギター・ベース自作家にも人気がある塗装方法

自作される方に人気とは書きましたが、ラインナップは多くはないにせよオイルフィニッシュの楽器を出しているメーカーも結構あります。(冒頭の写真のバッカスさんとか)

実は管理人もオイルフィニッシュのギターを一本持っています。

本当にキズはつきやすいし確かにネックはすぐ反るような気はするしで扱いが面倒っちゃ面倒ですが、それでも他の塗装にはない独特の風合いが魅力的で愛着があります。

まだオイルフィニッシュの楽器を手にしたことがないと言う方は、どこかで見かけた際は、ぜひ一度手に取ってみてください。