管楽器5種のメッキ仕上げ 特徴と違い・お手入れ方法を徹底解剖!
特にトランペットなどで人気のメッキ仕上げ
今回は管楽器の仕上げの方法の中でも、ラッカーに並んで人気のあるメッキ仕上げについて解説します。
なお、メッキについてはその厚みや下地の仕上げによってサウンドや耐久性が大きく変わり、各社独自の工夫をしている部分でもあります。
そのため一概に言えない部分も大きいところではありますので、一つの傾向としては参考になればと思います。
銀メッキ仕上げ(シルバープレート)の特徴
ゴールドラッカー仕上げと並んで管楽器の仕上げの中でも最もメジャーな仕上げ方の一つです。
特にトランペットやユーフォニアムなど金管楽器でよく見かけます。
他にトランペットなど金管楽器のみならず、サックスでも一般的。
型番やモデル名につく場合は慣例的に末尾に SP や S と表記されること多いです。
銀色の管楽器はほぼ全てこの銀メッキ仕上げといっても過言ではありません。
(フルートの高級モデルなど、一部管体そのものが純銀製の管楽器もあります)
手入れの難しさから今日ではあまり見かけなくなりましたが、サテンシルバープレートと呼ばれる艶消しの銀メッキ仕上げの楽器も存在しています。
銀メッキ仕上げの音色
管楽器の管体を銀メッキで仕上げた場合は基本的にラッカー仕上げよりも被膜の厚みが薄いため、柔らかくクリアな音響特性を持ちます。
やや抵抗感が強くなる傾向もあり、吹き込む息の量を調整して強弱をつけることもできるのも特徴。
銀メッキ仕上げの手入れ
銀メッキ仕上げはキレイな銀色で見た目も美しいのですが、銀は酸化により色が変わりやすい弱点があります。
軽い酸化であればクロスなど柔らかい布で拭くかシルバーポリッシュを使えばすぐに元通りキレイになるため手入れ自体はそう手間のかかるものではありません。
しかし経年変化でメッキがポツポツと点状に浮いて来たり、ひどくなると剥離が起こる場合があります。
汗など水分はこまめに拭き取ってあげることがシルバーメッキの楽器をキレイに保ち、長く使う秘訣です。
普段のお手入れにはシルバーポリッシュを含んだ銀用のクロスが便利。ちょっとした黒ずみや白濁くらいであればささっと拭くだけでキレイになります。
代表例ではYAMAHA シルバークロスなどがありますが、東急ハンズなどでも販売されている銀磨き用品クロスでも可。
なお、銀メッキを艶消しに仕上げたサテンシルバープレートの場合、ポリッシュや磨く力の強いクロスを使うと艶が出てしまい、艶消しの具合にムラが出てしまいます。
かといって磨かないと酸化で黒ずんでしまったり……
どちらにしても使っている内に手で触る部分から徐々に艶がでてしまいますし、光りの反射でごまかされない分細かい傷も目立ちやすいもの。
サテンシルバープレートはそういうものであると割り切っておいた方が良いでしょう。
金メッキ仕上げ(ゴールドプレート)の特徴
金メッキはその名の通り、最終仕上げとして金でメッキをかける仕上げ法です。
ただ地金に金メッキをかけるのではなく、薄く銀メッキをかけた下地の上から金メッキを施すことが一般的です。
型番・モデル名にはゴールドプレートを略しGPなどと表記されることが多いです。
主にはサックスでよく使われる仕上げ方法ですが、素材として金が高価なため金メッキを施したモデルは高価になる傾向にあります。
見た目はゴールドラッカーと似ていますが、若干暗めの色合いで高級感があります。
金メッキ仕上げの音色
銀メッキ同様抵抗感が強いため息を吹き込む必要があり、その分パワーがありますが、初心者には少し扱いが難しい傾向があります。
音は割れにくく、柔らかい音でありながら埋もれない華やかでハッキリとしたサウンドで、アンサンブルよりも特に小編成のバンドやソリストに向いていると言われています。
金メッキの手入れ方法
金メッキは膜が非常に薄く、ポリッシュなどを使うとすぐに剥がれてしまうので、ポリッシュなど金属磨きは原則使用厳禁です。
黒ずみや汚れがついてどうしても乾拭きでは取れなくなってしまった場合、シルバーポリッシュなどを使いごく軽く拭いて対処するしかありません。
しかし、金メッキが剥げてしまいせっかくの高級モデルが台無しになることも。
ある程度であればリペアに出すことで補修も可能ですが、やはり完璧に元通りは難しくなります。
キレイに保つためにはこまめに水分、汗を拭き取る必要があります。
ニッケルメッキ(ニッケルプレート)の特徴
仕上げ方法としてはコストが安いため、初心者向けの安価な楽器に銀メッキの代替として使われることの多い仕上げ方法です。
特にトランペットでよく見かけます。
外観上は銀メッキに比べ若干暗く、プラチナメッキに近い色合いになります。
また、銀メッキに比べ滑りやすい特徴があり、特に手汗をかくと滑りやすくなる演奏性のデメリットもあります。
なお、安い金管楽器用マウスピースでニッケルメッキ仕上げになっているものを時折みかけます。
しかしニッケル自体、安全性の高い銀や金とは違い多少なりとも健康上のリスクがあるとされています。
なので口に直接つけるマウスピースでニッケルメッキ仕上げのものを使用することはあまりオススメしません。
金管楽器のマウスピースの定番ともいえるV.BachやYAMAHAの銀メッキ仕上げのマウスピースでも5000円程度で購入できますので、買い直すことをオススメします。
ニッケルメッキの音色
硬い金属であるニッケルの特徴を反映してか、他のメッキ仕上げに比べ硬く鋭い音になる傾向があります。
ニッケルメッキの手入れ
ニッケルプレート自体はそう繊細なものではないので、ポリッシュを使って手入れをすればOK。
初心者でも扱いやすいと言えるでしょう。
ただし、ニッケルメッキは手入れを怠ると最悪剥がれてしまい地金が露出してしまうこともあります。
経年劣化でどうしても多少の剥離は起きてしまうため多少は仕方のないところではありますが、長くキレイ使いたい場合はやはりこまめに手入れをした方がいいでしょう。
ブラックニッケルメッキ仕上げ(ブラックニッケルプレート)
その名の通り、黒いです。
ブラックニッケルの名に恥じない黒い見た目がことが一番の特徴といえます。
ニッケルにスズを混ぜた合金でメッキをかけることで黒くしています。
ニッケルとスズの比率によって色合いは変わりますが、ただ真っ黒ないわゆるブラッククロームとは違い、車やギターではガンメタリックブラックなどといわれるような濃いグレーがかったような黒に仕上がります。
そこまでメジャーな仕上げ方法ではなく、主にはサックスに使われます。
ブラックニッケルメッキの上からクリア塗装を行うこともあります。
ブラックニッケルメッキの手入れ
基本的な特徴はニッケルメッキと同じなので、金メッキほど気をつかわずとも問題ありません。
ただし、ポリッシュには金属用とラッカー用のものがあるので、上からラッカーをかけている場合はラッカーポリッシュを使用するとよいでしょう。
プラチナメッキ仕上げ(プラチナプレート)
プラチナプレートはその名の通りプラチナメッキでの仕上げです。
表記上はPTPと略されることが多いですね。
外観上では少し暗めの銀色でニッケルメッキに近いのですが、より高級感のある渋い輝きが魅力的です。
サックスのネックや木管楽器のリガチャーなどではよく見かけますが、かなり高価なため、プラチナ自体管楽器本体では一部のフルート以外ではほとんど使用されません。
プラチナメッキ仕上げの音色
全体的に金メッキに近い音響特性を持ち、パワーは素晴らしいものがありますが、抵抗感が強いため初心者には扱いが難しいでしょう。
管体にプラチナそのものを使用した楽器に近い、ダークなサウンドが特徴的です。
プラチナメッキの手入れ方法
プラチナ自体酸化への耐性が強く、経年変化の少なさから永遠の愛の証として結婚指輪によく使われる素材。
(いわゆる永遠の輝きってヤツ)
楽器に使った場合でも同様で劣化に対し非常に強い耐性を持っています。
多少黒ずみのようなものが出ることはあっても大抵はさっと拭くだけで済む場合がほとんどです。
ピンクゴールドメッキ仕上げ(ピンクゴールドプレート)の特徴
金メッキをベースに銅を混ぜることにより色をピンクっぽくしています。
可愛らしい見た目で女性に人気のある楽器ですが、金メッキ同様高価な上に色物と言うこともあり全体としてそれ程数も出回らず、使われるのは一部のサックスに留まっています。
ちなみに画像は素材がなかったため金メッキ仕上げのトランペットの画像の色をPhotoshopでちょちょいとしています。
楽器本体よりもリガチャーなど周辺機器でよく使われる仕上げ方法です。
ピンクゴールドメッキ仕上げの音色
ゴールドプレートと似た特性を持ちますが、含まれた銅の量に応じてサウンドが柔らかくなる傾向にあります。
ピンクゴールドメッキ仕上げの手入れ方法
基本的にはゴールドプレートの特徴そのままで、同様被膜が薄く剥がれやすいためこまめに手入れをしてキレイな状態を保つことが大事です。
ポリッシュなどは絶対に使わないようにしましょう。
管楽器のメッキ仕上げの特徴 まとめ
一言でメッキ仕上げとは言っても、上記のようにかなり多くのバリエーションがあります。
しかし良く見かけるものは
- 初心者向けの安価なモデルに多いニッケルプレート
- 扱いやすく人気度の高いシルバープレート
- 高価なゴールドプレート
の三種類に限られその他のモデルは特殊な部類と言えるでしょう。
サックスやトランペットで人気の金メッキですら結構な高級モデルでそれ程数を見かけることはありません。
金色の楽器のほとんどは金メッキ仕上げではなくゴールドラッカー仕上げだったりします。
どのメッキにも言えることではありますが、やはり金属は汗など水分に弱い面があるので、こまめな手入れが楽器を長くキレイに保つ一番の秘訣です。
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