【ドラムスティックの基本】材質・サイズ・形状による違い
材質・形状がドラムスティックに与える影響
初心者がドラムスティックの選ぶ時のポイントについては既に解説しましたが、今回はもう少し突っ込んで「 じゃあスティックは素材やサイズの違いでどう変わるの? 」というところについて解説します。
ドラムスティックはドラム演奏おいて最も使用頻度が高く、サウンドや演奏性にも関わる超重要な道具です。
ぜひ、素材やサイズ、チップの違いによる演奏性やサウンドの変化について理解しておきましょう。
初心者向けのドラムスティックの選び方については下記リンクよりご覧ください。
ドラムスティックの基本
具体的な違いの前に、ドラムスティックの基本的な傾向について簡単にまとめておきましょう。
・大きさと太さは全体の質量(重さ)に直結する要素。大きく太いほど質量があるため、パワフルな音になる。
・細く軽ければその分振りやすく、繊細な音になる。
・叩いた際、スティックとドラムのヘッドやシンバルとの接地面積が大きければ大きいほど音量が出る。
以下、素材やチップの形状などによる具体的な違いについて解説していきます。以上のことを念頭に読み進めていってください。
ドラムスティックの材質と特徴
まず、ドラムスティックの材質についてです。
ドラムスティックに主に使われる木材として、ヒッコリー、オーク、メイプルの三種類が挙げられます。
ヒッコリー
ヒッコリーはドラムスティックの素材の中で最もポピュラーで、製品のバリエーションも最も多い木材です。
程よい重量と硬さで、クセがなく使いやすいのが特徴。
どの木材のスティックが良いかよくわからない、特にこだわりがない、という場合はヒッコリーが無難。
オーク
オークはドラムスティックに使われる三種の内、最も重量があり、硬い木材です。
質量が大きい分音量・音圧を得やすいのが特徴。
ロックなどでパワフルなサウンドを出したい、という場合はオークを使うと良いでしょう。
耐久性の高さも魅力の一つ。
メイプル
軽量で振りやすく、手数の多いプレイに適しています。
特にジャズドラマーに好まれています。
比較的折れやすく、耐久性は高いとは言えません。
チップの材質
チップは小さい部分ですが、スティックの最先端でドラムのヘッドやシンバルに直接触れる部分。
そのため、サウンドや打感への影響が大きいパーツです。
スティックの先を削ってチップを成形するウッドチップと、ナイロン製のチップをつけたナイロンチップの二種類が一般的。
どちらかといえばウッドチップの方が一般的ではありますが、サウンドの傾向がハッキリと違うのでナイロンチップとウッドチップのスティックを使い分けられるようになるのがベストといえるでしょう。
(今回は特にご紹介はしませんが、チップがなく両側ともグリップと同じ形状のチップレスタイプのスティックもあります)
ウッドチップ
丸みのある柔らかいサウンドになります。
ウッドチップはナイロンチップに比べ耐久性が低く、使用しているうちに欠けてしまうことがあります。
チップが欠けてしまうとドラムを叩いた際のリバウンドの角度が狂って使いづらくなるため、チップが欠けたタイミングでそのスティックは寿命とみなすのが一般的です。
ナイロンチップ
アタック感のある、ハッキリとした硬い音になります。
打感もウッドチップに比べ若干硬質。
特にシンバルを叩いた時に独特な硬質な音になるのを狙って使う方が多いですね。
チップの形状
チップの形状は叩いた際にスティックの接地面積に密に関わる要素です。
これから解説していきますが、
・真ん丸に近いほど音のバラつきがすくなく、扱いやすい。ロックでよく使われる。
・楕円形、三角形など先が尖っていくほど音の変化をつけられるようになるが、熟練が必要。ジャズなど繊細な音のコントロールが必要なジャンルで好まれる。
という傾向があります。なお、チップ形状についてはメーカー・ブランドによって名称がバラバラ。
ここで紹介する名称はあくまでも一例として、柔軟に捉えてください。
丸型
そのまんまですが、チップが丸いタイプ。ボール型とも呼ばれます。
チップが丸いことにより、どんな角度で叩いてもベッドやシンバルの打面への接地面が一定になるため、音のバラつき出にくいのが特徴。
その分、初心者にも使いやすいタイプです。ジャンルとしてはロックでよく使われます。
樽型(四角型)
全体的には丸いのですが、チップの側面が少し平面っぽくなり、樽や俵に近い形をしたタイプです。
丸型同様音のバラつきが少なく、もう少し音量が出やすいのが特徴。
ロックでよく使われます。
卵型
楕円形のチップ。メーカーによってはティアドロップ型として扱われることも。
後述のティアドロップ型やトライアングル型程ではありませんが、叩く際の打面への角度の違いにより音の変化をつけることも可能。
叩く角度による接地面積の変化はそこまで大きくなく、音の変化も大きくはなりませんが、その分音のバラつきも出にくい特徴があります。
涙型(ティアドロップ型)
卵型に似た形ですが、先の方が少し平たくなっており、より角度による音の変化をつけられるチップです。
逆にいえばきちんとコントロールできないと、音のバラつきにつながるチップ形状です。
接地面の角度により細かいニュアンスを使い分けるジャズなどのジャンルに好まれます。
(こっちの方が卵の形に近いような気もしないでもありませんが、実を言うとこの辺りはメーカーや人によっても多少認識が違います)
円錐型(三角・トライアングル型)
角度によって接地面積が大きく変わるので、叩く際の角度でかなり大きく音を変化させることが可能。
扱いが難しくきちんとコントロールできなければ音のバラつきがひどくなるため、初心者にはオススメできません。
ティアドロップ同様ジャズによく使われています。
もう一つ大事な要素 ペアの重さと木目
好みのスティックの形状・素材が決まったら、後は二本の重量にバラつきがないペアを選ぶこと、木目が均一で真っ直ぐに揃ったものを選ぶことを心がけましょう。
ドラムスティックの素材は天然の木材なので木目の走り方や重さが一本一本違います。
重さは振った時のバランスに関わり、木目はキレイに揃っているほど折れにくいというメリットがあります。
大抵の楽器店では量りを用意しているので利用しましょう。
量りがない場合、自分の頭をスティックでコンコンと叩くという裏ワザもあります。
スティックの重さによって叩いた時の音が結構違うので、同じ音がするものであれば重さは大体合っているはずです。
(ただし、変な人だと思われないように注意)
まとめ
スティックの材質・サイズ・形状による違いはコレでほぼ全部。意外と簡単ですよね?
ただ、最終的に理想のスティックは本人の好みによります。
ロックは丸いチップを使わなければならないとか、ジャズでオークを使ってはいけないというわけではありません。
スティックはドラム関連において特に問い合わせの多い商材です。
楽器店員志望の方も、ドラマーのみなさんがベストなスティックを選ぶ手助けができるようぜひ憶えておきましょう。
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