Gibsonの歴史 – 幻のリイシューシリーズと5桁シリアルナンバーの見方・読み方 –
そもそもGibsonのリイシューモデルとは?
リイシューとは、「 再発売・復刻 」といった意味あいを持ちます。
広義に捉えると、1961年に一度発売中止が行われ、人気再燃により1968年に再度登場したレスポールはある意味全てリイシューとも言えます。
(正確には販売中止ではなくSGへのモデルチェンジ)
が、Gibsonに限らず、ギター界隈でリイシューと呼ばれるのはただ再販になったものではなく、「 当時の仕様を再現したモデル 」を指すのが一般的です。
実際Gibsonでリイシューモデルと呼ばれているのは1993年にカスタムショップとともに立ち上げられたヒストリックコレクションと、2015年にヒスコレから名前が変わったTrue Histric(トゥルーヒストリック)シリーズ、そしてヒスコレの前身となったリイシューシリーズに属するギター群です。
リイシューシリーズのシリアルナンバーに限らず、Gibsonのシリアルナンバーについて全体的にまとめた記事もあります。下記リンクよりご覧ください。
レスポール リイシューモデルの歴史
まずなぜGibsonでリイシューが行われるようになったかの歴史かか。
1960年代初めにSGへの移行によって廃番となったレスポールは、多くのユーザーの熱望により1968年に再登場しました。
しかし、再登場したレスポールは発売された1968年以降、1952年 ~ 1961年に販売されていたいわゆるオリジナルレスポールの仕様とどんどんかけ離れていきました。
1968年以降に再版されたモデルのなかでも生産年によって仕様は異なりますが、具体的に不評だった仕様変更をあげると、
- ラージヘッドと呼ばれる大きめヘッドの採用。
- 薄いマホガニーでメイプルを挟んだバック材+トップ材にメイプルを使った、通称パンケーキ構造のボディー。
- 1969年にはネック材が1ピースから3ピースマホガニーになり、1975年には3ピースのメイプルネックに。
- 再生産スタート時の1968年にはディープジョイントだったのが、わずか1年経った1969年にはショートジョイントに。
こまごまとした仕様変更は他にもありますが、代表例はこんなところ。
再販されたばかりの1968年時はまだ造りとしてはしっかりしていたのが、1年を経るごとに楽器としての造りに深く関わる部分の仕様が変わってしまいました。
もともと復刻を望まれるほどレスポール人気が沸騰したのは、エリック・クラプトンなど多くのギタリストがオリジナルレスポールを愛用したことから。
なのにせっかく再発売したレスポールの仕様がオリジナルとは変わりまくったもんだから「 考えてたのと違う! 」となってしまったのでしょう。
かくして1970年代のギブソンのレスポールはあまり人気があまりありません。
(奇遇なことに、Gibsonの最大のライバルであるFenderも1970年代はいろいろ不評)
そうして暗黒時代が続いたのち、1980年代後半に1950年代のレスポールを含むエレキギターの仕様を再現した初の「 リイシューシリーズ 」が発売されました。
なにを隠そう、カスタムショップのヒストリックコレクションの前身になったのがこのリイシューシリーズです。
再評価されるリイシューシリーズ
リイシューシリーズは当時結構高価ではありながら一定以上の人気を博していましたが、その後発売となったカスタムショップ製のヒスコレと比べると再現や造りが甘く人気に陰りが出始めます。
しかし、今やリイシューシリーズも発売から数十年が経ちビンテージとして扱われ始める時代に。当時は今よりも質のよい木材が多く使用されていた&生産数もそうは多くなかったことから再評価される向きもあります。
特にシリアルナンバーは製造年代を知るにあたって重要な要因ですので、その読み方は憶えておくとよいでしょう。
リイシューシリーズ以前に再販売されたレスポールも意外と人気
Gibsonの名誉のためにも一応書いておきますと……
再発売後の特に1970年代のレスポールはあまり評判がよろしくないと書きましたが、なかでも1968年のものは造りもしっかりしており、その後カスタムショップでリイシューされるほど人気だったりします。
また1970年代の一部はネック折れ対策にボリュート(※)を仕込んだりと、色々と考えられています。
(ネック・ヘッド感のもろい部分に山なりの盛り上がりをつけて補強したもの)
ギブソンが迷走した感じはありますが、決して再発売後のレスポールがただ劣化したわけではありません。誤解なきよう。
リイシューシリーズ5桁(1桁+4桁)シリアルナンバーの見方
年番番番番
1980年代後半(1985年頃?)に発売されたリイシューモデルのナンバーは、1桁目の数字で製造年の一の位になります。
続く4桁の数字は製造順につけられる製造番号です。
例えば、80214 なら1988年製で214番目の製造と解読できます。
なお、このリイシューシリーズが前身となってスタートしたカスタムショップのヒスコレも同じく1桁+4桁形式の5桁数字のシリアルナンバーを持っていますが、見方が少し違います。
詳しくは下記リンクよりご覧ください。
Gibson リイシューシリーズの歴史とシリアルナンバーの見方・読み方まとめ
- 1980年代後半に発売となったギブソン初のリイシューモデル群を一般的にリイシューシリーズと呼ぶ。
- リイシューシリーズの人気に後押しされるようにして、より忠実に当時の仕様を再現するためのカスタムショップ・ヒスコレシリーズが立ち上げられた。
- リイシューシリーズは x xxxx 形式の1桁+4桁の5桁のシリアルナンバーを持つ。
- 1桁目の数字が製造年の一の位を表し、残る4桁の数字が製造順に付与される。