憶えておくべきアコースティックギター弦 4つの素材・タイプと特徴

2014年8月7日

アコースティックギター弦の素材やタイプ色々

アコースティックギター弦色々

アコースティックギター弦って結構種類が多いですよね。

自分は楽器屋に入社した当初エレキギターは経験があったのですが、アコースティックギターは経験が無くて結構戸惑った記憶があります。

実際初心者の方も何がなにやら、で困っていらっしゃる方も多いですね。

結局あれこれあるけど、何が違うの、と。そんなわけで、今回はアコースティックギターの弦を素材やタイプ別に4つに分けて、その特徴について解説します。

※ちなみにアコースティックギター弦と称していますが、今回はスティール弦のギター、いわゆるフォークギターを指しています。

アコースティックギター弦 4つの種類

80/20 ブロンズ弦

通常、80/20の部分は略されてブロンズ弦と呼ばれます。

ただ ブロンズ弦 と言われたらこの80/20 ブロンズ弦だと思ってまず間違いはありません。

80/20というのは主原料の銅とスズを8:2の割合で混ぜた、という意味。

フォスファーブロンズと比較すると音の輪郭がハッキリせず、低音よりなイメージ。

それで音質・サウンド的には落ち着いたサウンドになりやすいという特徴があります。

ちなみに、フォスファーブロンズ弦とブロンズ弦が違うというのは、巻弦(3弦~6弦)に巻いてある巻き線部分の素材のお話。

巻き線の下の芯線はどちらも同じ素材でできていて、どちらのパッケージの場合でも1,2弦は同じものを使われています。

ライバルともいえるフォスファーブロンズ弦に比べ若干安価なのも特徴ですが、とは言っても数十円~百円・二百円程度の違いなので、節約どうこうよりも音の好みで選ぶのがいいと思います。

フォスファーブロンズ弦

主原料である銅に少量のリンを加えられた素材です。

これによってサビ等への耐性が若干高くなり、通常の80/20 ブロンズ弦に比べ総合的に耐久性が少しよくなるというもの。

少し赤みがかった色味になっています。

音質・サウンド的には高音がキレイに出て、きらびやかてブライトな音色、といった特徴があります。

今回紹介する中では先に紹介・解説した80/20 ブロンズ弦とフォスファーブロンズがアコースティックギターではよく使われる主流の弦です。

先に書いた通りフォスファーブロンズ弦の方がブロンズ弦よりも少し高価にはなりますが、高級だからといって必ずしも音がいい、というわけではありません。

どちらも一度試してみて、自分に合った方を選ぶのがいいでしょう。

とか言いつつ私はフォスファーブロンズ弦派です。

私の弾き方の問題でしょうが、ブロンズ弦ではどうしても鈍重なサウンドになってしまい、フォスファーブロンズ弦の方が弾いていて素直に反応してくれているようで気持ちがいいというだけの理由です。

あくまで参考にもならん参考までにですが……

コーティング弦

アコースティックギター用コーティング弦一例

アコギのコーティング弦の一例。エリクサー以外にも各社ラインアップが出揃ってきています。

弦の上から薄い膜でコーティングをかけた弦です。

1、2で紹介したフォスファーブロンズ弦や80/20 ブロンズのバージョンで分けられていることが多いですね。

知名度的にはエリクサー(上記画像の真ん中のパッケージのもの)が有名ですが、最近ではマーチン社やアーニーボール、ダダリオなど主たる弦ブランドでは一通りラインナップを揃えてきています。

やはり錆びにくく長持ち、と言うのが最大の特徴ですね。

弦全体をおおっているコーティングの被膜が酸化の原因である汗や湿気から守ってくれているのです。

フィンガリングノイズが出にくいのも特徴の一つ。

(フィンガリングノイズとは、巻き弦の部分と指がこすれてなるキュッキュッって音)

コーティング弦にはデメリットがあり、コーティングの厚みによっては少し輪郭がぼやけたブワブワとした音になる傾向があります。

この点については技術の進歩もありコーティング自体がどんどん薄くなることによってかなり改善されてきています。

特にコーティング弦の出始めのころのアコースティックギター界ではコーティング弦は輪郭のぼやけた音になるという印象が強く、嫌厭されがちだったのですが、最近はそこまで気にならない程度にまで薄くなっていますね。

ちなみに、通常の80/20 ブロンズ弦やフォスファーブロンズ弦に比べるとコーティングがなされている分価格的には高価で、販売価格が倍近かったりします。(もちろん商品やお店にもよりますが)

経済的かどうかは結局は使い方次第。

使い方次第では通常の弦の倍は持ちますし、逆にヘビーに弾くようであれば倍まではいかない場合もあります。

ピックを使うと弾いた部分のコーティングがはがれてボロボロになってきたりするのですが、これが嫌で張り返すという方もいらっしゃいますし。

たまにしか弾かないギターがあって、久々に弾くという時に弦が錆びていて毎回毎回張り替えるのが面倒、という人であればピッタリですかね。

コンパウンド弦

コンパウンド弦Martin M130

コンパウンド弦の代表例 Martin M130 SILK & STEEL

コンパウンド弦とは、巻き弦の芯線にシルクを使った特殊な弦です。

弦の素材そのものが柔らかいので押さえる力が少なくて済むというのが最大の特徴です。

音色もかなり独特で、柔らかくメロウなサウンド。但し、サスティーンはあまりないのも特徴の一つ。

どちらかというとナイロン弦のクラシックギターに近い感じですね。

ピックでガシガシ、というよりはフィンガーピッキングでポロポロ弾く方が合っています。

一度接客させて頂いた方がかなりお歳を召しており「病気の後遺症で指に力があまり入らなくなってしまったが、リハビリも兼ねて趣味のギターは続けたいので柔らかい弦がいい」ということでコンパウンド弦を紹介したことがあります。

どうやら大当たりだったらしく後日お礼の電話を頂き、こういう需要もあるのか、と印象的でした。

しかしながらやはり普通のスティール弦に比べ需要も少なく、余りラインナップも多くありません。

代表例ではマーチン社のM130でしょうか。(画像の物)

何か狙いがあってあえて使うという方以外はあまり縁のない弦でしょう。