木製楽器が割れてしまう3つのNG行為!(2/2)

2014年12月15日

木製楽器を持つ人が保管時に気をつけるべきこと

前回、『 木製楽器が割れる3つのNG行為! 』のその1として『 室外などで冷えた楽器ケースを暖かい室内でいきなり開けるのはNG 』ということを解説しました。

割れてぎゃああ!ってなってからじゃ遅いですから、まだお読みでない方は今回と併せてお読みになっておいてください。

前の記事で3つのうち1つ解説しておりますが、今回は残り2つを一挙にお送りします。

今回解説する2つは主に楽器を保管している際のNG行為ですが、どれも前回同様知らず知らずのうちににやってしまいがちな木製楽器にとって優しくない、むしろ厳しい行為です。

本記事で主に対象となるのは、引き続き下記の木製の楽器。

ギター(特にアコギ)・ベース・ウクレレ・バイオリン・ビオラ・チェロ などの弦楽器

木製リコーダー・ピッコロ・木製フルート・クラリネット・オーボエ・ファゴット などの木製管楽器

この辺りの楽器の場合、主に木部割れや、塗装のクラックなどの深刻な症状が出ますので、心当たりがある方は是非改めましょう。

NGケースその2 窓から直射日光に注意

楽器の保管に適した条件は色々ありますが、要約していくと 『 人間にとって快適な場所が楽器の保管にも適した場所 』 というところに落ち着きます。

これはみなさんある程度おわかりで、室内で保管しているところに置いている、という方が多いと思います。

が、室内であればどこでもいいというわけではありません。

室内での盲点の一つが、直射日光。

日光浴も多少ならいいんでしょうが、何時間もずっと直射日光にあたると場所ともなると、環境として快適とは程遠い。

たとえ窓越しだとしても、直接日が当たる場所で放置というのは、人が想像している以上に熱を帯びる過酷な環境です。

想像してみてください。魚だったら一晩置いただけでおいしい一夜干しになる場所に楽器を放置しているのです。

特に冬場は空気自体が乾燥しているので、当然割れが起こりやすい状況です。

割れるまではいかずとも、日焼けによる変色などの症状も起こります。

ケースに入れた状態だとしても、ずっと日が当たっていれば熱がこもることも考えられます。

また、ケース外装の変色やはがれ等の原因になるので、やはり避けた方が良いでしょう。

NGケースその3 冷房・暖房の風が当たる場所に放置。

直射日光に続き、室内保管の盲点になるのが冷房・暖房の風です。

冬場で空気が乾燥している中暖房で更に空気を乾燥させ、しかも直に風を当てるというのは、むしろ積極的に楽器を割りにいっているようなものです。

アナタのお肌がカサカサになるくらいならクリームでも塗れば済みますが、楽器の場合は割れます。

自分で場所を変えることもリモコンで風向きを変えることもできない物言わぬ楽器は、ただその場でじっと耐えるしかありません。

「 私はアバンギャルド!普通なんてつまらない!楽器は割って使いたい! 」ということなら止めませんが、そうでなければ避けるべきです。

室内で楽器をケースから出しておく場合、冷房・暖房の風が直に当たっていないか確認しましょう。

夏場はもともと湿度がが多いため、冬場の暖房程ではありませんが、やはり冷房の風が直に当たるのも危険です。

扇風機程度の風ならまだしも、室温とかけ離れた風を当てるというのは楽器へのストレスが大きいので、注意しましょう。

冬場の楽器の取扱い注意 まとめ

・楽器をケースから出す際など、室内 / 室外間での温度差に注意すべし。

・室内でも暖房のすぐそばや、直射日光に当たる場所に気をつけるべし。

しかし悲しいかな、気をつけているつもりでも割れる時は割れてしまうのが木製の楽器です。

実際に管理人の友人の身、というかウクレレに起こったケースですが、自室にスタンドを置いてウクレレを立てておいたところ、しばらくしてボディートップと指板が割れてしまったそうです。

話を聞けば特に冷暖房の風が当たる様な場所でもなく、窓の近くでもなかったので直射日光ということもなさそうだし、冬場のことで空気は多少乾燥していたとはいえ、楽器が割れる程ではないようでした。

で、実際に現場を見てみたら、ウクレレを立ててあった場所がゲーム機のすぐ後ろだったのがいけなかった。

ゲーム機の排気がウクレレに当たるという環境が続いて、その熱でダメージを受けていたのです。

ちなみに彼は当時、PS3でスカイリムというゲームをやっていました。

知っている人は知っていると思いますが、ゲーム機の性能をフルに使うためゲーム機自体がかなり熱を持ち、ファンがまわりっぱなしになることでも有名なゲームです。

しかしゲーム機の排熱とは、正直なところ、そこまで気をつけるという発想はなかったですね。

もはや事故としか慰めようがありませんでした。

これはちょっとレアなケースではありますが、このように知らず知らずの内に楽器にとってよくないことをしていることは多いです。

クラリネットやオーボエなんかは木製の楽器の中でもかなりデリケートで、普段より長時間練習するだけで割れてしまうこともある程。

繰り返しになりますが、木でできた楽器はどんなに気をつけていても割れる時は割れます。

しかし、意識を変えることによって、その確率を下げることはできます。

楽器の割れなんて、メーカーの保証期間内であっても保証が効かないという場合がほとんど。

『 あらゆるものが私の楽器を割りに来ているわ! 』 なんて神経質になり過ぎるのも良くはありませんが、大切な楽器のためにできることはしてあげたいものです。