アンプの種類 ラックマウントアンプ
拡張性抜群のラックシステムを利用したアンプ
ラックマウントアンプとは、その名の通りラックシステムに組み込むタイプのアンプです。
略してラックアンプなどと呼ぶこともあります。
ラックシステムそのものについてまた別のお話ではありますが、全くわからない状態でラックアンプについて説明してもちんぷんかんぷんかと思いますので、軽く触れておきましょう。
そもそもラックシステムとはなんぞや
ラックシステムとは、簡単に言ってしまえばアンプやエフェクター等、ラックマウントの音響機材を一定間隔ごとにネジ穴が空いた箱状の棚に取り付ける、というものです。
ラック自体も各社様々なモデルを出してはいますが、基本的には画像のように前面と背面のを取ると吹き抜けになる形になっており、左右に機材を固定するためのネジ穴があります。
このネジ穴の間隔と内部のサイズは規格が決まっており、ラックマウントの機材であれば、縦のスペースさえ空いていればピッタリサイズで取り付けることができるというもの。
フタを閉じればそのまま収納・運搬が可能なケースであり、フタを開ければ中身を取り出さずにそのまま使える棚になる、というシステムです。
今回ご紹介するラックマウントアンプは、このラックシステムの規格に則って造られ、ラック内に組み込むことができるアンプを指すのです。
ラックマウントアンプのメリット
ラックアンプはスピーカーは内蔵されていないので自由にキャビネットを選べる点はスタックアンプと同様ですが、ラックタイプのアンプの場合、プリアンプとパワーアンプが別々になっている商品が多く、自由に組み合わせることができます。
(スタックアンプについて詳しくは前回の – アンプの種類 コンボアンプとスタックアンプ – をご覧ください)
オーディオアンプで言うところの、セパレート型のアンプということになります。
そのため、その拡張性の高さは色々なタイプのアンプの中でも随一。
プリアンプとパワーアンプの間にエフェクターを噛ませることも容易なので、センド / リターン端子も必要ありません。
また、ラック用のチューナーやエフェクター、電源供給用の機材もあるので、機材全てを一つのラック内にまとめることも可能です。
演奏する際には蓋の開け閉めと電源と楽器の接続・キャビネットへの接続のみで済むため、セッティングや撤収の際の時間短縮にもなります。
中にはラック型・ラックマウントのスピーカーも存在するので、その場合は楽器と電源の接続だけでセッティングが完了します。
ラックマウントアンプの現状
ラックマウントアンプは、その拡張性の高さと利便性も相まって、一時はプロのロックミュージシャンたちがこぞって使用していていました。
プロがこぞって使えば、アマチュアの間でも流行します。
プロのステージに、ぎっしりと機材が詰め込まれたラックの姿に憧れた個人のギタリスト・ベーシストたちも、こぞってラックシステムを組み上げ始め、90年代~2000年頃はラックマウントアンプ・ラックシステムの一大ブームでした。
しかし、ラックシステムは拡張性が高い分電気や音響の知識が必要で、価格も高いものが多く初心者がおいそれと手を出せるものではありません。
プロのミュージシャンでも自身では組まず、ラック内の配線や配置は音響技術者に委託することが多い程。
実際、ネット上でも音響技術者のブログなどで依頼を受けてプロミュージシャンのラックシステムを組んだという記事を見ることができます。
こういった配線の煩雑・高価であるということなど、近頃はラックアンプを使う方はあまり見かけなくなりました。
ラックに入れなければいけないほど大型だった高品位デジタルエフェクターが技術の進歩により小型化され、ラックシステムそのものの需要減少の要因の一つとして挙げられるでしょう。
こういった事情もあり楽器店でも取扱いは少なく、よほど品揃えの良いお店か専門店のようなところでもないと店頭にラック関連の商品を置いているところもほとんどありません。
ラックなんて聞いたことない、なんて言う方も多いでしょう。
楽器の演奏よりも 『 機材をラックシステムにキレイで理想的な配置や配線を行うこと 』 の方が趣味になっているような方もたくさんいらっしゃいますし、ラックシステム自体はPAシステムなど、ギターやベース関連以外の音響機材にも幅広く使われているのでラックシステムそのものが完全に廃れるということはないかとは思います。
が、ラックマウントアンプが再び脚光を浴びる、ということは難しそうです。
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