【アンプの構造】バスレフ型とバックロードホーン型スピーカーキャビネットの特徴とサウンド

2017年8月23日

バスレフ型とバックロードホーン型スピーカーキャビネットの特徴とは?

アンプはスピーカーキャビネットによっても音が変わる。

エレキギターやベースの出音を大きく左右する、スピーカーエンクロージャー。(スピーカーエンクロージャー=スピーカーキャビネットの構造)

スピーカーエンクロージャーには大きく分けて密閉型(クローズドバック)と背面解放型(オープンバック)に二つがあり、それぞれサウンドキャラクターや扱い方が変わってきます。

今回はこのうち密閉型をベースに改良されたバスレフ型とバックロードホーン型の特徴とサウンドについて解説します。

この記事のポイント!

ポイント1
バスレフ型は低音重視でベースアンプによく使われる
ポイント2
バックロードホーン型はギター、ベースアンプではなく小型のオーディオ用でよく使われる

バスレフ型スピーカーキャビネットの特徴、音響特性

バスレフ型のアンプ 出典:Markbass公式サイト

バスレフ型とは密閉型のフロント面にダクト穴を開けてあるタイプのスピーカーエンクロージャーを意味します。

上記キャビネット画像のスピーカー右上辺りに見える丸い穴がバスレフのダクト。

ベーシストの方は見覚えのある方が多いのではないでしょうか。

バスレフ型のスピーカーキャビネットの構造。

構造としてはスピーカーエンクロージャーの表にパイプ型のダクトをぶっ刺して穴を作っているようなイメージです。

密閉型の場合はスピーカーの裏側から出た音は封殺します。

が、バスレフ型はスピーカーの裏側から出た音をダクトから出すのが特徴。

本来スピーカーの裏側から出た音は表側の音の位相が逆なのでそのまま混ぜると打ち消しあってしまいます。

しかし、バスレフ型の場合ダクトから出す際に位相を反転させて同位相に変換しているので打ち消し合わず、倍増される設計です。

バスレフとはBass Reflex(バスレフレックス)の略で、つまり低音を反射させているという意味。

その名の通りバスレフ型は低音や音圧を強化し迫力を出すことができる特徴があるため、特にベースアンプでよく使われます

また、裏側から出た音をただそのまま出すのではなく、ダクト部分でホルムヘルツ共鳴を起こしています。

平たく言えば牛乳瓶笛のような仕組みでダクトのパイプを利用して共鳴を起こしています。

構造上厳密には違いますが、バスレフのダクトがウーファーのような役割を果たしていると考えるとわかりやすいでしょう。

なお、バスレフ型はダクトの配置やパイプの太さ、長さによってもホルムヘルツ共鳴の具合が変わってサウンドがガラッと変わります。

高度な計算や試行錯誤が必要なため、密閉型のスピーカーボックスにただパイプをぶっ刺せばバスレフポート型になるものではありません。

バックロードホーン型の特徴と音響特性

バックロードホーン型スピーカーエンクロージャーの断面。

バックロードホーン型のスピーカーエンクロージャーもスピーカーの裏側からの音を表から出すことを目的とした構造です。

やっていること自体はバスレフ型と同じようですが、構造はより複雑。

バスレフ型のように共鳴現象を起こしてサウンドをコントロールするのではなく、スピーカーの裏側からの音を複雑かつ長い道を通らせることでコントロールすることを目的としています。

この部分の設計によってサウンドが全然変わるので、各社さまざまな工夫をしています。

バックロードホーン型のメリットはスピーカーのエネルギーを効率よく利用し、小型のアンプ、スピーカーでも十分な音圧・音量、パワーを得ることが可能な点。

バックロードホーン型のスピーカーキャビネットの構造。

また、ダイナミックレンジが非常に広いため細かい信号の再生も可能です。

もともとは出力の小さい小型の用真空管アンプ・スピーカーユニットでも十分な音量や音圧、そしてダイナミックレンジを得るために造られたタイプのスピーカーエンクロージャーです。

大型のアンプでは密閉型やバスレフ型の方がメリットが大きいため、バックロードホーン型はあまり大型のアンプ・スピーカーキャビネットでは使われません。

そもそもギターアンプやベースアンプではほとんどみかけることはなく、主にオーディオ用のスピーカーキャビネットによく使わられる構造です。

バスレフ型 / バックロードホーン型スピーカーキャビネットの特徴とサウンド、音響特性 まとめ

・バスレフ型はキャビネット前面にパイプ型のダクト穴をつけてスピーカーの裏側から出た音を前に出す構造。

・低音がよく出るメリットがあり、ギターアンプよりもベースアンプでよく使われる。

・バックロードホーン型はバスレフ型と同じくスピーカーの裏側から出た音をダクトから出すことを目的としているが、その経路、構造が異なる。

・どちらかといえば小型のオーディオ用スピーカーなどによく使われる構造で、ギターアンプやベースアンプではあまり見かけない。

今回解説したバスレフ型もバックロードホーン型も密閉型のスピーカーキャビネットの弱点を克服するための工夫。

設計には複雑な計算が必要な応用的なスピーカーエンクロージャーです。

その基本となる密閉型(クローズドバック型)や背面開放型(オープンバック型)についても別途詳しく解説しています。

特にRolandのJC-120(通称ジャズ子)やVOX AC30、Fender Twin Reverbなどに代表される背面開放型はギターアンプのスピーカーキャビネット部分によく使われており、扱い方によって音が全然変わります。

その辺りも詳しく解説していますので、 ぜひ併せてご覧になってください。