アイバニーズ? イバニーズ? Ibanezの正しい読み方は?

Ibanezの読み方はアイバニーズ?イバニーズ?

スタイリッシュなデザインと弾きやすいスタイルのギター・ベースと、斬新でモダンな仕様のアンプ・エフェクターで人気のIbanezブランド。

そんなIbanezにも、きのこたけのこ抗争よろしくIbanezの読み方が「 イバニーズ 」か「 アイバニーズ 」かの派閥に別れ、血で血を争う苛烈な戦いが繰り広げられています。

幸いコロニーはまだ落ちてきていませんが、人類の半分を死に至らしめられても困るので決着をつけましょう。

正解は英語風の発音「 アイバニーズ 」

実のところIbanezの読み方若者たちに馴染みの深い「 アイバニーズ 」が正解です。

が、「 イバニーズ 」と言っても間違いではないのです。

もともと星野楽器自身がカタカナで「 イバニーズ 」と表記していたのをあとで「 アイバニーズ 」に変更したからです。

ではなぜ星野楽器が「 イバニーズ 」を「 アイバニーズ 」と改めたか。この辺りの事情は、Ibanezブランドの歴史に深くかかわりがあります。

星野楽器とIbanezの歴史

今ではあまり想像もつかないことですが、星野楽器はもともと星野書店の楽器部門としてスタートしています。

その星野楽器が世界第二次大戦よりも前から輸入、販売していたのがスペインのギター製作家サルバドール・イバニェス(Salvador Ibanez)のギターでした。

しかし、サルバドール・イバニェス氏の工房が1936年~1939年頃起きたフランス内戦により閉鎖され、廃業。

Salvador Ibanezのブランド商標権は星野楽器が買い取り、Ibanez Salvador(イバニェス・サルバドール)ブランドとして販売し始めました。

その後Salvadorを取り、ブランド名をシンプルにIbanezとします。

そしてIbanezのスペイン語発音である「 イバニェス 」が日本人には馴染みがなかったため、星野楽器はカタカナでの表記を「 イバニーズ 」としました。

大きな転機とアイバニーズ表記への転換

1980年の後半になり、星野楽器は海外でもスティーヴ・ヴァイのシグネチュア・モデル JEMを発表。同時にJEMをベースにしたRGも発表しました。

他にもポール・ギルバートや日本では「 ジョー・さとる兄 」との異名で親しまれているジョー・サトリアーニなど著名なギタリストらとも積極的にエンドースメント契約を進めます。

こうしてアメリカ出身の超人気プロミュージシャンを抱き込んでいき、Ibanezの米国内での知名度は急上昇。

Ibanezは英語風に 最初の I を アイ と発音すると「 アイバニーズ 」だったため、諸外国では「 アイバニーズ 」との呼称が定着していきます。

そしてスティーブ・ヴァイ、ポール・ギルバート、ジョー・サトリアーニらは当時日本でも大変な人気だったため、彼らが使っていたIbanezの知名度・人気は日本でも急速に高まっていきます。

もともとIbanezは1970年代後半~1980年代末頃に超絶な人気を誇ったフォークグループ オフコースの鈴木康博氏にArtistシリーズのARモデルを提供し使ってもらうなど、日本でもすでにIbanezの認知度は高まっていたころ。

(若い人にはピンと来ないかもしれないが、オフコースといえばあの小田和正氏ソロ活動をする前、鈴木氏とともに立ち上げたフォークグループです)

こうして半分は逆輸入するような形でIbanezの人気は爆発。

そして1980年代末頃、星野楽器が公式にIbanezのカタカナ表記を「 アイバニーズ 」に改めました。

アイバニーズと呼ぶかイバニーズと呼ぶかで年がバレる

そんなこともあって1980年代以前からIbanezを知る方はイバニーズと呼び、それ以降の世代なアイバニーズと呼ぶ傾向があります。

歳がバレるヤツです。CDのことをシーデーとかリポビタンDをリポビタンデーと読むみたいな話しです。

特に楽器業界に長くいる経営陣や営業さん、店員さんは顕著です。

その気持ち、なんとなくわかるっちゃわかります。私自身はまだ若者のつもりですが、もしいまさらフェンダーをフェンデルと呼べと言われてもなかなか改められないでしょう。

まとめ:Ibanezの読み方はイバニーズかアイバニーズか

  • Ibanezの読み方は現在、英語風の発音である「 アイバニーズ 」が正解。
  • ただし昔は「 イバニーズ 」と表記されており、イバニーズでも間違いではない。
  • 星野楽器が公式にIbanezのカタカナ表記を「 アイバニーズ 」としたのは1980年代末頃。

さぁ、これで手打ちです。人類の半数を死に至らしめるほど恐ろしい「 Ibanez戦争 」は回避されました。これで人々も安心して眠れることでしょう。

ちなみに途中、Dをデーと読むとおっさんみたいな話がありました。が、実は楽器業界にいる人は、老若男女問わず基本的にDをデーと読みます。

これ、音楽用語でドイツ語発音なんです。この辺りについて詳しくは下記リンクよりどうぞ。(かなり前の記事なので見苦し)