手指の障がいなどで動きが不自由な子どものための改造リコーダー&片手リコーダー
不慮の事故や先天性の障がいがあり、手指の動きに制限があるお子さんがいらっしゃる親御さん、普段からいろいろ苦慮されているのではないでしょうか。
小学校・中学校で必修で習うリコーダーも悩みの種かと思います。
しかしご安心ください。実は指の動きに制限があっても吹ける改造リコーダーがあります。
改造リコーダーとは?
トヤマ楽器製造 AULOS公式ページより ©Toyama Musical Instrument Co., Ltd.。
改造リコーダーとは、手指の可動範囲に合わせて改造し誰でも吹けるリコーダーです。
最初はリコーダーの輪切りみたいな状態になっており、指で押さえる音孔ごとに、指の動きに合わせて押さえやすいよう角度を変えることができる優れもの。
全く押さえられない穴がある場合は、付属のゴム栓でフタをしておくことでも対応可能です。
トヤマ楽器さんが製造するAULOSリコーダーから出ています。
いま親の世代も小学校・中学校のときお世話になった方、多いのではないでしょうか。大抵AULOSかYAMAHAかのどちらかですよね。小中学校で使うリコーダーって。
改造リコーダーといっても角度の調整だけでOK
改造リコーダーといっても難しいことはありません。指に合わせて各音孔の角度を変えるだけ。本人や親御さんなどご家族の方で簡単にできます。
音孔の角度を決めたら付属の接着剤で接着するのと、必要に応じて孔を付属のゴム栓でふさぐだけです。親子一緒に楽しめるかも?ってくらいのちょっとした工作レベル。
どういった状況でどの穴をふさぐべきかなど細かい改造の仕方も取り扱い説明書に細かく書いてあります。
分からない場合は説明書上にトヤマ楽器さんの問い合わせ番号が載っているので、電話すれば詳しく教えてくれるかと。
オーダーメイドでもないので、価格が高価にならない点もすばらしい。さすがトヤマ楽器さん、いい仕事をなさいます。
小学校用のソプラノリコーダーも中学校用のアルトリコーダー
小学校ではソプラノリコーダー、中学校ではアルトリコーダーを習うのが一般的。
ご安心ください。改造リコーダーにはソプラノリコーダーもアルトリコーダーも両方あります。
ソプラノ改造リコーダー
こちらが小学校で使うソプラノの改造リコーダー。
ソプラノの改造リコーダーはひとつしかないので、こちらをご購入されれば大丈夫。
ただ、アルトリコーダーにはバリエーションが3種類あり、指の状態に合わせて選ぶ必要がある点に注意。
アルト改造リコーダーには3種類のバリエーション
中学校で使うアルト音域のリコーダーには3つのバリエーションがあります。
運指がバロック式(イギリス式)の309AF-Eとジャーマン式(ドイツ式)の309AF-GL(左手優先)、309AF-GR(右手優先)の3種類です。
それぞれ次のような特徴を持っています。
- 309AF-E(バロック式):両手あわせて6つ以上、片手で2つ以上の音孔を操作できる方向け。
- 309AF-GL(ジャーマン式左手用):両手あわせて5つ以上の音孔を操作できる方向け。(左手優先仕様)
- 309AF-GR(ジャーマン式右手用):両手あわせて5つ以上の音孔を操作できる方向け。(右手優先仕様)
ただし、309AF-GLも309AF-GRも片手だけで5つ以上操作ができれば良いものではなく、両手使えてかつ5つ以上の音孔が操作できる必要があります。
基本的に中学校ではバロック式のリコーダーを使います。ちなみに小学校のときに使っていたのはジャーマン式。
小学校から中学校に上がるとリコーダーの運指が変わったのはジャーマン式からバロック式に変わったせい(私はいまでもバロック式を憎んでいます)。
なので、特に問題なければ309AF-Eを使えば良いでしょう。
309AF-GLや309AF-GRなら両手あわせて最低5つの音孔をふさげればいいので、6つは無理だけど5つなら、って場合は音楽の先生と相談し、309AF-GLや309AF-GRのどちらかと使うといいかと。
ジャーマン式は左手優先、右手優先がある
309AF-GLは左手の方が動く方向け、309AF-GRは右手の方が動く方向けです。どちらの手を優先させるかで選びます。
YAMAHAの片手リコーダー
YAMAHA公式ページより ©Yamaha Music Japan Co., Ltd. and Yamaha Corporation.
AULOS改造リコーダーは基本的に指の動きが不自由でも「 両手を使える 」ことが前提になっています。
しかし、YAMAHAから片手で吹くことができる片手リコーダーも出ています。
片手リコーダーにもソプラノ・アルト両方のバリエーションがあり、更に左手用、右手用があるので全部で4つのバリエーション。
例えばこちらはソプラノリコーダーの右手用。
改造リコーダーに比べるとかなり高価ですが、片手で全体を操作できるようキィという機構を搭載しているため。
キィはクラリネットやフルートといった木管楽器でも使われる機構で、指から離れている音孔の開閉を操作するためのパーツ。
製造や調整で手間とコストがかかるためどうしてもちょっと高くなってしまいます。
(YAMAHAが高いというよりは、キーなしで一通りの音域をカバーできるようにしたAULOSがスゴイってところですね)
キィを搭載したYAMAHAの片手リコーダーは調整面などデリケートな楽器でもあります。
特に小学校・中学校の教育用としては、可能であれば片手リコーダーよりもAULOSの方がオススメです。
まとめ:手や指に障がいがある人のための改造リコーダー
- 改造リコーダーとは、手や指が不自由な人のために造られているリコーダー。
- 本人の手指の状況に合わせて角度や音孔を調整し、使えるように改造できる。
- 片手しか使えない方向けにYAMAHAから片手リコーダーが出ている。
タイトルでは「 手指の障がいなどで動きが不自由な子どものため 」としていますが、もちろん子どもだけでなく大人の方でも楽しめます。
特に不自由のない方でも自分の指の長さにあわせて角度を変えられる、それこそ改造リコーダーとして使うのも面白いですね。
ともかく、こうしたバリアフリー商品まで造ってしまうAULOSリコーダー、ひいては製造元のトヤマ楽器さんの技術力と姿勢は本当に素晴らしい。
もちろん、片手で吹けるリコーダーまで作ったYAMAHAさんも。
改造リコーダーや片手リコーダーは楽器業界では有名な商品で、教育の現場でも割と知られているものです。
しかし、実際に障がいを持つお子さんがいらっしゃる親御さんたちでまだまだご存じのない方も多い。もっと広まってほしいと願うばかりです。
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