【ハーモニカの種類】よく使われるジャンルと特徴

2015年3月30日

メジャーなハーモニカの特徴・違いと使用ジャンル・選び方

楽器店にいると「 ハーモニカを始めたいんだけど…… 」という問い合わせは頻繁に受けます。

が、ジャンルによってもよく使うハーモニカは違いますし、どんな曲を吹きたいのか、どんな風に使いたいのかある程度わかっていないと選びようがないんですよね。

今回はそういった方や楽器店になりたい方向けに、ハーモニカの中でも一般的に使われる

10ホールズハーモニカ / 複音ハーモニカ / クロマチックハーモニカ

の三種類に絞って、その特徴や種類ごとの違い、そしてよく使われるジャンルについて解説します。

これから始める方のハーモニカの選び方にもお役立てれば幸いです。

10ホールズハーモニカ(ダイアトニックハーモニカ)

HOHNER社の10ホールズハーモニカ Blues Harp

HOHNER社の10ホールズハーモニカ “ブルースハープ"

10ホールズハーモニカ10穴ハーモニカなどと呼ばれるこのハーモニカは、その名の通り10個の音孔を持つシンプルな構造のハーモニカです。

日本ではあまり馴染みのない呼び名ですが、ダイアトニックハーモニカとも。

主にブルースやロック、フォークソングなどのジャンルで使われます。

決まったキーの音しか出すことができないので、曲のキーに合わせてハーモニカを用意する必要があります。

ケースやハーモニカ本体にCだとかAmだとかシールが貼ってあったりしますが、これがキーを表しています。

逆に言えばそのキーの音しか出ないので、キーのあった曲の中であれば、何も考えず吹いても音は外れたように聞こえません。

本格的にやるには使うキーの物を一通り揃えなければなりませんが、他のハーモニカに比べ安価で手に入れやすいハーモニカでもあります。

演奏どうこうよりもとりあえず吹いてみたい、という初心者にも扱いやすいハーモニカです。

販売数が多く、製品バリエーションがかなり多いので代表的なモデルを下記に挙げておきます。

なんとなくでもいいので目を通しておくと良いでしょう。

10ホールズハーモニカのブランド・代表モデル例

・HOHNER BLUES HARPシリーズ、Marine Bandシリーズ

・TOMBO MajorBoy / MinorBoyシリーズ、Aero Reedシリーズ

・SUZUKI Manjiシリーズ、Hammondシリーズ

10穴ハーモニカを総称してブルースハープと呼ぶ方もいらっしゃいますが、上記の通りブルースハープはHOHNER社のハーモニカの商品名です。

携帯音楽プレイヤーを全部ウォークマンと言ったり、宅配便を宅急便と言っているような感覚でしょうが、楽器店では混乱の元なのでブルースハープと呼ぶのはあまりオススメしません。

複音ハーモニカ

TOMBO複音ハーモニカ トンボバンド3121

TONBO社を代表する複音ハーモニカ トンボバンドシリーズ

複音ハーモニカは主に童謡や演歌、懐メロなどを吹く際に使用されるハーモニカです。

各ホールが横に二列ずつ並んだ構造で、上下の対同士のホールは同じ音程になっていますが、あえてこの二音のピッチを微妙にズラして調整し、音が揺れているようなビブラート・トレモロ効果を得ています。

その特徴的なサウンドからトレモロハーモニカとも呼ばれます。

10ホールズハーモニカ同様キーが決まっているため、演奏の際には演奏曲に合わせたキーの物を用意する必要があります。

ダイアトニックハーモニカよりも音域が広い21穴、23穴3オクターブのものが主流。

もともとはドイツで考案されたハーモニカでリヒター方式と呼ばれる音の並びが主流でしたが、その後日本のアーティスト川口章吾氏が日本式配列と呼ばれる新しい配列を考案しました。

この日本式配列が日本を含め東アジア固有の音楽に馴染みやすい音色だったこともあり、アジア圏では日本式配列が広く普及しています。

クロマチックハーモニカ(スライド式)

HOHNER社クロマチックハーモニカ chrometta-8

HOHNER社のクロマチックハーモニカ クロメッタ8

クロマチックとは、日本語に訳すと半音階という意味。

つまり、クロマチックハーモニカは半音ごと全ての音階の音が出せる"全音ハーモニカ"です。

主にジャズやクラシックなどで使用されます。

10ホールの様にキーは決まっていなく、ピアノの様に半音ずつすべての音が出すことができ、音域さえ不足していなければ一本でどんな曲でも演奏できます。

同じシリーズの中でも出せる音域によってバリエーションがあり、が広くなるにつれて横に大きくなっていきます。

現在クロマチックハーモニカとして一般的なのはスライド式と呼ばれるもので、本体の横にレバーがついており、これを操作した状態で吹くと♯した音、つまり普段より半音上がった音が出る構造になっています。

このレバーの操作も考える必要があるため演奏にはある程度熟練が必要です。

また、内部構造が複雑なため水分が溜まりすぎると音が出なくなるなど多少扱いづらい部分もあり、総合的に難易度の高いハーモニカとも言えます。

クロマチックハーモニカはスライド式の他に上下式のものもありますが、あまり一般的ではありません。

まとめ

・10ホールズハーモニカは主にブルースやロック、フォークソングなどで使う。小さくシンプルな構造のハーモニカ。

・複音ハーモニカは主に童謡や演歌、懐メロなどを吹く際に使う。上下に並んだ二つの音孔のピッチのズレによる独特なトレモロサウンドが特徴。

・クロマチックハーモニカは主にジャズやクラシックなどで使う。決まったキーはなく、固有の音域内で全ての音を出すことが可能。

今回はハーモニカの中でもメジャーな10ホールズハーモニカ、クロマチックハーモニカ、複音ハーモニカについて解説しました。

他にもコードハーモニカやバスハーモニカなどもありますが、これらはそこまで一般的ではないのでとりあえず今回ははずしておきました。

とりあえずアンサンブルに使われるものといった程度で頭の隅にでも入れて置けば大丈夫でしょう。

その代わり、10ホールズ、複音、クロマチックの三種は需要があるので扱っている楽器店も多いものです。

逆に言えば、楽器店の店員としては最低限、この三種類のハーモニカの特徴と主に使われるジャンルにある程度把握しておいた方が良いということです。

これらはさて置いても、最低限この三種類のハーモニカの特徴や違い、よく使われるジャンルは把握しておきましょう。