クラリネット・サックス用マウスピース 各部サイズと音の違い

2016年1月9日

音色と吹奏感に多大なる影響を与えるマウスピース

特に初心者の方には楽器の付属品ぐらいにしか思われないことも多いのですが、実はマウスピースは楽器本体と同じくらい、音や吹奏感そのものに大きな影響を与える超大事なパーツです。

安い管楽器でもマウスピースを付け替えてやるだけで全然音が変わるほどで、実際クラリネットやサックスのマウスピース自体も同じ型番の中で個体を選ぶ選定がよくなされています。

今回はこれらマウスピースの各部の大きさの違いが音や吹奏感にどのような影響を与えかを解説します。

マウスピース各部名称

クラリネット用・サックス用マウスピースの各部名称

クラリネット・サックス用マウスピースの各部名称

マウスピースの中でも特に大きな影響を与えるのが、ティップオープニングの開きフェイシングの長さ(画像赤文字部分)

他にもチェンバーやパッフル、ウィンドウなど様々な部位の大きさの違いなどが音や吹奏感に影響します。

ティップオープニングの開きによる違い

マウスピース_フェイシングの長さとティップオープニング

マウスピースのティップオープニングの開き

ティップオープニングの開きとは、リードの先端からマウスピースの先端までの幅を指します。

この幅が広ければ開きが大きいといい、反対に狭ければ開きが小さいといいます。

開きが大きいマウスピースの特徴

ティップオープニングの開きが大きいマウスピースは息を入れる必要があるため音量が出やすく柔らかい音になる特徴があります。

選び方として、息をたくさん入れたい場合に開きの大きいマウスピースを選ぶとが良いでしょう。

開きが小さいマウスピースの特徴

ティップオープニングの開きが小さいマウスピースは音が硬質になり、息を入れやすくコントロールが簡単で楽に吹きやすい特徴があります。

ただし、必ずしも開きが小さい=コントロールが簡単=初心者向けではない点に注意。

確かに楽に吹きやすい傾向はありますが、息の量うまくコントロールできずたくさん入れてしまう人には逆に吹きづらくなる側面も。

この辺は完全に個人の好みなのでいろいろ吹き比べて見た方が良いでしょう。

フェイシングの長さ

フェイシングの長さとは、マウスピースの先端からリードがマウスピースと接する部分までの長さを指します。

この長さが長いものをロングフェイシング、短いものをショートフェイシングと呼びます。

フェイシングの短いショートフェイシングの特徴

ショートフェイシングの場合、比較的明るめでクリアな音色に仕上がります。

また、フェイシング短ければ短いほどコントロールしやすい利点もあります。

フェイシングの長いロングフェイシングの特徴

フェイシングが長いほどダークで柔らかい音色になる特徴があります。

ただし、長さに比例してコントロールが難しくなるため、フェイシングが長くなるほど熟練が必要となります。

チェンバーとバッフル

バッフルとは、マウスピース先端近のカット部分を指します。

バッフルが厚いと力強い音色になり、薄ければよく締まったレスポンスの良いサウンドになります。

チェンバーとはバッフルの奥にある息が入って最初に音が共鳴するマウスピース内の空洞部分を指します。

この空間が広いマウスピースはダークでしっとりとした音になり、狭い場合は明るく華やかなサウンドになります。

チェンバーとバッフルのバランスの取り方もマウスピースのキャラクターに大きな影響を与えます。

その他の要素

マウスピースとしての個性は上記のティップオープニングとフェイシング、そしてチェンバーとバッフルのバランスの取り方で大部分決まりますが、ウィンドウなど他の要素も音色・吹奏感に多少なりとも影響を与えるものを少し挙げておきます。

ウィンドウ

ウィンドウとは字のごとくマウスピースの窓の部分を指します。

ウィンドウが大きければその分息の抜けがよくなり、小さいものではまとまりのある音になります。

マウスピースをくわえる部分の角度と面積

マウスピースそのものの径やくわえる部分の角度・面積は特に吹奏感に大きな影響を与えます。

商品としては径そのものが細い特徴を持つVandorenクラリネット用マウスピースのプロファイルシリーズなんかがありますね。

例えば通常の5RVと5RV プロファイルとではティップオープニングの開きとフェイシングの長さは全く一緒ですが、マウスピースの径そのものが少し細く口にくわえる部分の角度が緩やかなため、口の小さい方にも噛みやすくなります。

口の小さい方はマウスピースをくわえる部分の角度や面積にも注意すると良いでしょう。

マウスピースのサイズによる違い まとめ

・ティップオープニングの開きが大きいマウスピースは音が柔らかくなり、息をたくさん入れる必要があるため音量が大きくなる

・反対に開きが小さい場合は音が硬質になり、息を入れやすくコントロールしやすい

・ショートフェイシングは比較的明るめでクリアなサウンドになり、コントロールしやすい

・ロングフェイシングはダークで柔らかい音色になる傾向があるが、コントロールしにくい難点がある

・その他、バッフルやチェンバー、ウィンドウやマウスピースそのものの径など、多くの要素がマウスピースのキャラクターに影響する

繰り返しになりますが、クラリネット・サックスのマウスピースはサウンドと吹奏感においてかなり重要なパーツです。

(金管楽器のマウスピースもかなり重要ですけど)

なにせリード・リガチャーと組んで発音体となる部分で、エレキギターで言うところのピックアップマイクのようなもの。

音そのものを発生させる部分ですから、音への影響・貢献度はかなり高くなります。

中でも音や吹奏感に最も大きく影響を与える部分はティップオープニングの開きとフェイシングの長さの二点。

マウスピース自体も楽器屋での売値で1万円~数万円程度で安いものではありませんが、楽器本体と違って割と気軽に替えられる部分です。

だまされたと思って一度試してみてください。

特に安い楽器を買ってついてきたマウスピースを使っている方ほど、「マウスピースだけでこんなに変わるのか!」と実感していただけることでしょう。