輸入楽器の区別・・・直輸入品とは
直輸入
直輸入品とは、楽器店や卸問屋が独自のルートで海外から輸入したものを指します。
並行輸入品との違いが微妙なところ。
ある意味では並行輸入品もその業者による直輸入ということになります。
が、正規ルートがあるものを卸問屋が独自ルートで輸入した場合は並行輸入品と言うのが一般的で、直輸入とはあまり言いません。
卸問屋ではなく楽器店が独自のルートで商品を仕入れている場合は、正規輸入ルートが確立している商品でも並行輸入品とは言わず直輸入と言うのが一般的です。
・日本に正規輸入品があるブランドの商品を楽器店が輸入する=並行輸入品
・日本に正規輸入品があるブランドの商品を楽器店が輸入する=直輸入
・日本に正規輸入品がないブランドの場合=卸問屋や楽器店問わず直輸入
この辺りが直輸入品と並行輸入品の違いです。
但し、楽器店による仕入れの場合でも輸入の規模が大きかったりその後他へ卸している場合は並行輸入品という見方もできます。
この辺りは特にハッキリと定義付けはされておらず、そこまで細かく規定があるわけではありませんので、大体こういうイメージだという風に思っておいてください。
直輸入品の性質上メリット・デメリットについては並行輸入品と似通ったところがありますが、微妙に違うところもあります。
解説していきましょう。
ユーザーから見た直輸入品
ユーザーから見れば、直輸入品も並行輸入品もほとんど変わりません。
まず基本的に正規輸入品よりも安く販売されるため、ユーザーとしては海外ブランドの商品を安く手に入れられるというメリットがあります。
また、正規輸入品としては日本には入ってこない日本未発売モデルなんかを手に入れることが可能な場合もあり、この辺りは直輸入・並行輸入ならではのメリットと言えるでしょう。
ただし、並行輸入品同様正規のメーカー保証というものがないのが不安点としてあります。
この不安点を払拭すふため、販売店で独自の品質保証を付けるのが一般的ではありますが、その保証がどこまでなのかは販売店次第。
正規品であればメーカーの正規輸入代理店か日本現地法人などがアフターサービスの保証をしていますから、購入後は販売店がいい加減でもさほど問題にはなりませんが、直輸入品の場合は保証によるサービスはその販売店頼りとなるため、信頼にたるかどうかを判断する必要があります。
楽器店が直輸入品を扱うメリット
直輸入品は基本的に、その楽器店が独自に海外から直接買い付けてきたもの。
なので、独自の価格で販売することが可能で、仕入れの価格次第では大きな儲けを出すことが可能です。
ただし、仕入れの価格が高ければ儲けはほとんどなくなってしまう可能性もあります。
やはり非正規の輸入品なので、日本国内で正規輸入品が販売されている場合はより安く販売する必要がありますから、どれだけ安く仕入れることができるか、というところがポイント。
もう一つメリットとして挙げられるのは、お店に魅力が出来るというところでしょうか。
海外ブランドの商品が安く店にたくさん並んでいれば、「 あそこの店は輸入商品が安くて、品数も多い 」 と、ユーザーにとって魅力的な店になります。
楽器店が直輸入品を扱うデメリット
一番のデメリットは入荷した商品が不良だった場合の損害は全て楽器店が被る必要がある、ということですね。
仕入れのルートにもよりますが、メーカーや卸問屋などを通さずに海外から直接買い付けたもの。
仕入れ元に転嫁することも可能でしょうが、直輸入の場合は仕入れの取り引き相手は海外であることがほとんどですし、あまり現実的ではありません。
商品の品質保証やアフターサービスも同様です。
どちらも正規輸入品や国内の業者を通した並行輸入品などであればその仕入れ元に振ることもできるでしょうが、直輸入の場合は全て直輸入をした楽器店で面倒を見ることになります。
まとめ
・直輸入品とは、国内では販売されていない商品を海外から直接買い付けて国内で販売するものを指す。
前回の並行輸入品の記事もお読みいただいている方はもうお気づきかとは思います、直輸入品と並行輸入品は広義にはかなり似た性質のものです。
大体こういうイメージ、といったところではありますが、両者の違いについては冒頭で緑色の太字で述べたものがが楽器業界での一般的な認識ですので、頭の中に入れておくといいでしょう。
そして、直輸入品・並行輸入品ら非正規輸入品と正規輸入品の一番の違いは、正規ルートを通っていてメーカー保証がついているかどうか、というところ。
メーカー保証はないけどもある程度割安に手に入れられる正規輸入品と、メーカー保証はなく、保証内容は販売店次第になるが割安で楽器を手に入れることができる並行輸入品 / 直輸入品。
ユーザーはここを軸に、正規品 か 並行輸入品 / 直輸入品か を選ぶと良いでしょう。
そして、これらを扱う楽器店もどちらかに絞らなければいけないというわけではありません。
正規輸入品 / 並行輸入品 / 直輸入品のどれをどのように扱うかは販売店の戦略次第ですし、別に正規輸入品を置いているからって直輸入品を置いてはいけないということはありません。
正規輸入品を扱う特約店としての契約で制限があれば別ですが、そういった制限が特にない場合は、正規輸入の商品を仕入れて販売しつつ、別で買い付けてきた直輸入も店頭に置く、というのも有りです。
正規の業者はあまりいい顔はしないかもしれませんが、普段から良好な関係を築いていれば、数本程度であればたまたま状態の良い物が海外にあったから買い付けた、で済むのではないでしょうか。
実際、管理人が務めていた楽器店ではそんな具合でした。
よほど恒常的に直輸入品を扱うのでもない限り、それほどきつく言われることもそうそうないかと思います。
もちろんケースバイケースなので 「 ダメ!絶対! 」 なんていう場合もあるかも知れませんが・・・
どこまでがセーフでどこまでがアウトかはその業者や業者の担当者との関係次第なので、折衝を行う店舗側担当者の腕の見せどころでしょう。
なんだか最近この担当者の腕の見せ所、という言葉よく使っているような気がしますが、輸入がどうとかメーカーとの折衝がどうとかを抜きに担当者の交渉の腕前というのは結構大事なことです。
楽器業界内の取り引きって結局、企業と企業の担当者同士、つまり人と人との折衝なので。
楽器店の店員になっても新米の内はそんなに関係ないかも知れませんが、業界内の人と人とのつながり、いわゆるコネというのはかなり重要です。
今回のテーマとはちょっとズレてしまいましたが、この辺りも頭の片隅に入れておいてください。
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