楽器業界の卸問屋とは

2015年1月10日

メーカーと販売店と、卸問屋の役割

楽器業界における卸問屋とは何か

楽器業界における卸問屋とは

ブランドとメーカーがどういったものであるか、というところは前回解説致しました。

すごく簡単に要約してしまうと、ブランド=商品でその商品を造ったり流通させる会社=メーカーということになります。

後から思えばこんな簡単に済むことを、毎度こうもグダグダ長くなってしまうのか自分でも不思議。ゴメンナサイ。

そのメーカーが商品を造って楽器店に卸し、楽器店がお客様へ販売をする、というのが商売の基本ではありますが、全ての楽器店と全てのメーカーが直接商品の取り引きをしているわけではありません。

この間に入り、メーカーから商品を仕入れ、楽器店へ卸す卸問屋という存在があります。

今回はこの卸問屋について解説します。

 

卸問屋とは

卸問屋は、卸業者、卸(おろし)などと呼ばれています。

楽器業界では漢字一文字で卸という呼び方が最も一般的ですが、文面では見づらいので便宜上卸問屋と記載します。

さて、またグダグダと長くなってしまっては申し訳ないので、一言で端的に申し上げますと・・・

卸業者の役割は、売り手(メーカー)と買い手(販売店)の間に立って繋ぐことです。

もちろんメーカーと楽器店が直接取り引きをして商品の卸し・仕入れをするのが基本形ではありますが、その間に卸問屋が入って仲介する場合も少なくありません。

直接でもいいのにわざわざ間に卸問屋を入れて取り引きをするということは、それだけのメリットがあるということです。

実際に卸問屋が持つ役割について、例を挙げて見ましょう。

卸問屋が楽器業界で担う役割

メーカーから仕入れるよりも安く、良い条件で仕入れられるかも!?

例えば同じ商品でも、メーカーから直で仕入れるよりも卸問屋安く商品を仕入れることができる可能性すらあります。

いきなり、メリットどころの騒ぎじゃない感じですが、全然あり得る話です。

例えばメーカーA社が卸している商品で一度に10個仕入れると1個当たり100円、50個仕入れると単価が90円、100個仕入れると単価80円になる商品があったとします。
(※例なので数字はかなりデタラメです)

とある楽器店は、この商品を1日10個売ることができます。

もちろん一度に100個仕入れて20日に分けて売った方が儲けは大きくなりますが、そうすると残った商品を保管するために倉庫を借りるなどの保管コストが必要になってしまい逆に損をするので、メーカーからはその都度10個ずつ単価100円で仕入れていました。

ここで卸問屋の出番です。

卸問屋はこの楽器店に同じ商品を10個単位で単価90円で卸すと言うのです。

実は卸問屋はメーカーから一度に商品を100個、単価80円で仕入れていました。

楽器店は同じ商品を同じ10個仕入れているのに、メーカーではなく卸問屋経由で発注するだけで単価90円で仕入れられてラッキーです。

この場合卸問屋には商品が90個残りますが、この楽器店と同じような楽器店が他にもいてくれれば商品はすぐにはけるので、在庫も残らず、倉庫を借りる保管コストも必要ありません。

こうして卸問屋は、メーカーから100個を単価80円、8,000円で仕入れて単価90円で卸したので、9,000円の売り上げ。

メーカーから仕入れて楽器店へ卸すだけで、1,000円儲けました。

以上、少し乱暴な例ですが、こういったこともあり得るというお話。

ただ、卸問屋がメーカーよりも安い価格で商品を卸すということはさすがにそうそうありません。

実質メーカーが損をしてしまいますし、価格崩壊にもつながってしまい長期的に見れば業界全体にとってマイナスに繋がるため、実際には楽器業界の各社そうならないよううまく立ち回っています。

しかし卸問屋の方が安いということはないにしても、同じ商品なのに製造元のメーカーでも卸問屋を経由しても同じ価格というのはよくあることです。

ここで、同じ価格なら卸問屋は不要なようにも感じる方もいらっしゃるでしょう。

ですが、例えば卸問屋の方が楽器店への商品の配送が早いとか、営業マンが毎日楽器店に来て店頭の在庫数を見てくれるとか、メーカーは10個単位でしか卸してくれない商品でも、卸問屋であれば1個単位で卸してくれるとか、同じ価格でも何かしらメリットがあれば、楽器店はメーカーではなく卸問屋を利用するのが道理。

こうして卸問屋は楽器店へもメリットを提供しつつ、利益を得ることができるのです。

まとめ

なんだか途中、ちょっと釣りっぽい見出しを使ってしまい申し訳ありませんが、実際に諸々の条件上、メーカーから直に仕入れるよりも卸問屋から商品を仕入れた方がメリットがあるという例はよくあります。

実際に管理人が務めていた楽器店では、某有名メーカーY社の商品は楽器本体はY社から直接仕入れ、チューナーなどの小物は即日配達してくれる卸問屋から仕入れていました。(それでも仕入れ価格はY社からの直接仕入れ価格と同じ)

ちなみに、卸問屋と言っても卸を専門にやっている会社ばかりではありません。

自社のブランド製品を持ち、運営している傍ら、他の商品の卸しもやっている、という場合もあります。

一言で卸問屋とかメーカーとか言っても、各社業務のスタイルは各社さまざま、色々なパターンがあるということは頭の片隅にでも入れておいてください。

さて、今のところ卸問屋の存在は楽器店にとってはメリットはあれど、メーカーにとってはなんらメリットのないような感じですが、実はメーカーも卸問屋のメリットを享受できる例もたくさんあります。

その辺りについては、具体例も交えてその辺りをまとめました。

いずれ楽器店やメーカーなど、楽器業界で働きたいと言う方にとっては楽器業界を知る参考程度にはなると思います。

下記リンクよりご覧いただけますので、ぜひお読みになってください。