正しいギターの分類 その2 アコースティックギターの定義と分類

2014年10月18日

じゃあアコースティックギターってなにもの?

アコースティックギター代表 フォークギターとクラシックギター

前回、ギター(ベースも)の分類はまずソリッドギター・アコースティックギターの二つに分けられることを説明しました。

(そもそもソリッドギターが何なのかは前回 『 正しいギターの分類 その1 身近なのにあまり知られていないソリッドギター 』 参照)

それではアコースティックギターについてご説明しましょう。

勘違いされがちなアコースティックギターの定義

特に、前々回の 『 9割の人が間違えているギターの分類 』 の記事でも出たQ1に答えられなかった方は特によく読んでおくようにしましょう。

(本記事冒頭の画像の右側のギターが『 アコースティックギターか、クラシックギターか 』)

結論から言えば、この問いは『 アコースティックギターでもあり、クラシックギターでもある 』

が正解です。

この質問が『 フォークギターか、クラシックギターか 』であればクラシックギターが正解になりますが。

ややこしいのは鉄弦のギターの名前のせい

結論から言うと、鉄弦のアコースティックギターは、本当はフォークギターと言います。

先の問いの間違いの多くは、アコースティックギター=鉄弦のアコースティックギターと混同していることが原因。

この思い込みを訂正しないことにはどんどんややこしくなるのでしつこくいいますが、よく言われるアコースティックギター=鉄弦のフォークギターではありません。(画像左のもの)

鉄弦のギターがフォークギター、ナイロン弦のものがクラシックギターと分類される、アコースティックギターの種類の一つなのです。

フォークギターがいつの間にかアコースティックギターと呼ばれるようになったのがややこしい。

フォークギターはアコースティックギターの中の一つの種類ですが、アコースティックギター=鉄弦のギターも間違いではありません。

日本のフォークブームで圧倒的にフォークギターが売れたことで、アコースティックギター=フォークギターと認識されたことが原因ではないかと管理人は勝手に推察しています。

(更にフォークギターのシェイプやサイズの俗称でフォークシェイプ、フォークサイズという言葉もあり更にややこしいのですが、今は関係ないので切り離して考えましょう)

ともかく、ここまでで大事なのは

鉄弦のフォークギターもナイロン弦のクラシックギターもアコースティックギターの中の一つの種類である点です。

これだけわかっていれば、冒頭で挙げた問題の答えの意味もわかるはず。

さて、ここで終わりではありませんよ。ここからが本題です。

アコースティックギターの定義

上でも説明した通り、

・ナイロン弦のアコギ=クラシックギター

・鉄弦のギター=フォークギター

以上はもうお分かりいただけたかと思います。

アコースティックギターの定義はクラシックギターも含むため、厳密に鉄弦のみをさしたいときはフォークギターという言葉が正解です。

この誤解が解けてようやく、タイトルの『 じゃあアコースティックギターって何? 』ってお話に入っていけるわけです。

アコースティックとは、そもそも音響という意味です。

wikipediaでは『 アコギ=電気的な増幅なしに演奏するギター 』 と書かれています。

wikipedia先生に逆らうのは勇気がいりますが、管理人これには異議有り。

実際にはエレアコやセミアコなどの電気的に増幅しつつもアコースティック構造を持つギターが存在しています。

厳密に分類するにあたっては、アコースティックギターが全て『 電気的な増幅なしに演奏するギター 』であるとは言えません。

(かと言ってwikipediaの記事に直接物言いをつけたり修正する勇気はない意気地なしの管理人)

じゃあレスポールのピックアップを抜いたらそれはアコギなのか?なんて話になってきてしまいますし。

(それはただのジャンクかナニカ)

実際に楽器業界の現場では、
『 ボディー内の空洞で音を反響させる 』構造を持つこと=アコースティックギターの定義
として認識されています。

※ホールがなければアコースティック構造とは言えないと定義する向きもありますが、ホールの有無の是非については若干曖昧で、ホールのないアコースティックギターも存在します。ややこしい。

よく立派な公共の施設を指してハコモノなんて言ったりしますが、楽器業界で言えばこのように『 ボディー内の空洞で音が反響させる 』構造=アコースティック構造を持つ楽器を箱物と呼んだりします。

ある意味、アンプなどで音を増幅するギター=エレキギターなことと同じように、空洞で音を反響させて増幅させるギター=アコースティックギター、と属性のように考えてもいいでしょう。

あくまで属性なので、エレクトリック構造も持ちつつ更にアコースティック構造も持っているなんてこともありえるワケです。(エレアコやらセミアコやら)

アコースティックギターとは何か?まとめ

・アコースティックギターとは、ボディー内の空洞で音を反響させることによって音を大きくするアコースティック構造を持つギターの分類。

・あくまでもアコースティック構造を持つギター全般を指す言葉であり、特定のギター(フォークギターやクラシックギターなど)そのものを指しているわけではない。

もちろん、フォークギターを話の流れとしてアコースティックギターと呼んでも、話は通じるでしょう。

(逆にクラシックギターをアコースティックギターを呼ぶのは一般的ではありませんが)

別段管理人も『 それはフォークギターって言えよ! 』などと細かいところに目くじらを立てたいわけではありません。

あくまでも、このギターはどういう種類のギターなのか、正しい知識がなければきちんとお客様へ答えることもできません。

以前にも書いた通り、ただ趣味としてギターを扱う分にはこの辺りの知識はほとんど不要。

ですが、詳しいお客様や同僚と話す時に話が通じなくてはそのまんま話になりませんので、基礎知識として憶えておきましょう。

【続き】 正しい楽器の分類 その3 意外とシンプルなエレキギターの定義