メタルシェルスネアドラム 金属ごとの特徴と音の違い
ブラス、スチール、カッパーetc……色々あるメタルシェルの種類
スネアドラムのシェルは大きく分けて木製のウッドシェル(木胴)と、金属製のメタルシェル(金属胴)の二つに分かれます。
両者の違いは割と一般的なイメージ通りで、
ウッドシェルは柔らかく暖かみがあり、まとまりの良いサウンド。
メタルシェルは、全体的にレスポンスが良く、アタック感の強いパワフルで硬質なサウンドです。
そして、メタルシェルでも金属の種類によっても音に違いが出てきます。
今回はそんなメタルシェルの素材ごとの特徴と違いについて解説します。
スティール(Steel / 鉄)
スティール、つまり鉄です。ザ・金属のあの鉄です。
鉄は金属としては比較的重量のある硬い素材で、メタルシェルらしい音量のある、パワフルでストレートなサウンドが特徴です。
また、スティールは素材としての価格が安いのでスティールシェルのスネアドラムは販売価格が安い傾向にあるのも特徴の一つ。
ただ、安いからといって音が悪いというワケではないので誤解無きよう。
スネアドラムに限ったことではなく、価格の安い高いが必ずしも音の良さとイコールではつながらないということは憶えておきましょう。
ブラス(Brass / 真鍮)
ブラスは銅に亜鉛を加えた合金で、真鍮とも呼ばれる金属です。黄味の強い明るい金色が特徴。
金属製の管楽器でよく使われる素材で、金管楽器主体で編成された楽団をブラスバンドと呼ぶほど。
硬度としては銅より若干硬く、スティールよりは柔らかい程度。
金属らしい芯がありながらもスティールよりも柔らかくまろやかで、倍音が多く華やかな音が特徴。
この倍音をいかにまとめて活かすかが音作りの肝になるので、その辺りを意識したチューニングが必要です。
Ludwig BlackBeautyなど、ブラスにブラックニッケル加工を施したシェルもあり、通常のブラスに比べシャープさが増すなどの違いが出ます。
カッパー(Copper / 銅)
銅自体は導電線やら何やら、とにかくよく使われる金属です。コッパーないしコパーとも呼ばれます。
音は太いのですが、高音域があまりなく華やかなサウンドの他の金属シェルに比べ素朴で控えめな印象で、金属特有の耳に痛い響きがあまりないのが特徴。
その金属シェルらしからぬ特徴のためか金属シェルの素材としてはあまりメジャーではありませんが、その素朴な味わいの愛好家も少なくありません。
ブロンズ(Bronze / 青銅)
ブロンズは前述のカッパー(銅)にスズを混ぜた合金です。銅に比べ若干硬めの性質を持ちます。
身近なところでは10円玉なんかも銅に若干のスズを混ぜたブロンズですね。
傾向としては銅に似た太めのサウンドですが、若干硬質な響きが加わっていることが特徴的です。
アルミニウム(Aluminium)
みなさんご存知のアルミです。身近なところでは缶や1円玉に使われていますね。
柔らかく非常に軽いという特徴をもった、比較的最近発見された金属素材です。
他の硬化と1円玉を手に載せて比べてみれば、アルミがいかに軽量かおわかり頂けるでしょう。
比較的音量は出づらく余韻も短いのですが、細かいタッチに対する反応と音切れの良い軽快なサウンドが特徴。
よくクリスピーと形容されるサウンドで、歯切れの良いスピード感のあるテクニカルなフレーズによくあいそうな印象。
なんとも言葉にしにくい独特な感触ではありますが、もし今手元に1円玉があれば一度机の上にでも落としてみてください。
その時の音や跳ねる感じで、アルミの音の傾向がなんとなくつかめるのではないかと思います。
(ブロンズの10円玉と比べてみればよりわかりやすいかも)
アルミは基本的に錆びない金属なので他の金属に比べ気を遣わずに済み、また軽いため持ち運びが比較的楽という特徴もあります。
価格が若干お高いというのが難点。
チタン(Titanium)
チタンもまた比較的新しく、腐食に強い合金です。
非常にパワフルで重厚感と音量があり、強烈な存在感を持ったサウンドが特徴です。
原価・製造コストが高いため、販売価格が高価になりがちなのが難点。
まとめ
繰り返しになりますが、メタルシェルはウッドシェルに比べ全体的に立ち上がりが早く、アタックの強い硬質なサウンドが特徴です。
が、上記のように金属によってもかなり違った特性を見せてくれます。
素材の違いの他にも、ベルブラスやベルブロンズといったシェルに厚みを持たせてパワーと重厚感を増したモデルや、ハンマーで叩いて細かいヘコミをつけ、音に深みを持たせるハンマリングなど金属ならではの加工がなされたものもあります。
ヘッドやスナッピーは後から変えることもできますが、シェルは後で変えることができませんから、特に慎重に選びましょう。
ちなみに、初心者ドラマーの初めてのスネアドラムには、ウッドシェルよりもメタルシェル、更に言えばスティールシェルが無難です。
スティールシェルはオールマイティーに使え扱いやすく、価格も手ごろな点がオススメポイント。
特に多くのスネアドラムに影響を与え、ベースとなった名機Ludwig LM400か、深胴バージョンのLM402がオススメ。
(胴の深さによるサウンドの違いについては本記事最後の関連記事を参照)
もちろん初心者・上級者に 関わらず本人のフィーリング、欲しているサウンドと打感がマッチングしたものがベストですから、あくまでも選ぶ上での目安ではありますが、参考になれば幸いです。
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