ラッカーとポリウレタンの違い【ギター・ベースの塗装】

ラッカー塗装のエレキギター

ギター・ベースの塗装でよく使われるラッカー塗装とポリウレタン塗装

高級ギター=ラッカー塗装、それ以外=ポリ系塗装というイメージが一般的です。

概ねその通りですが、きちんと考えて選ばないと「 ああ、やっぱりラッカーがよかった 」「 めんどくさいしポリウレタンでよかったな 」と後悔することに。

今回はギター・ベース選び方において一つの指標となるラッカー塗装とポリウレタン塗装の違いとそれぞれのメリット・デメリットを解説します。

それぞれの特徴と違いまとめ

まずは結論から。

ラッカー塗装とポリウレタン塗装の特徴をざっくりまとめておきます。

ラッカー塗装の特徴

  • ラッカー塗装は完成後も経年変化が見られる。
  • 塗膜が柔らかくデリケートで扱いが難しい。
  • 総合的に鳴りがよくなる傾向。
  • 製造コストがかかるため高価なギター・ベースに使われる。

ポリウレタン塗装の特徴

  • ポリウレタン塗装は一度硬化したら基本的に変化せず、硬度が高いため傷に強い。
  • 温度、湿度などの環境変化にも強いので初心者でも扱いが簡単。
  • 塗膜が硬いため細かいキズはつきにくいが、衝撃により割れてしまうことがある。
  • 生産性が高いため価格を抑えられる。

初心者でも扱いやすいポリウレタンとデリケートなラッカー

すごくザックリいうと、ラッカーは非常にデリケートで扱いが難しい塗装方法です。

一方ポリウレタンは扱いやすい特徴があります。

ラッカー塗装は年月によってどんどん変化します。また塗膜が柔らかく、キズや打痕(ヘコミ)がつきやすい特徴があります。

ポリウレタン塗装は年月が経っても変化や劣化は少なく、ラッカーよりも塗膜が硬いためキズや打痕がつきにくい特徴があります。

(実は十分に硬化すればポリウレタンよりもキズがつきにくくなりますが、それは後述)

ラッカーは環境変化やゴム質に弱い

さらに、ラッカー塗装は極端の温度・湿度変化に弱いデメリットもあります。

環境変化のストレスによりウェザーチェックと呼ばれるび割れを起こすことも。

(ウェザーチェック自体はヴィンテージの風格が出るので歓迎される向きもあります)

また、ラッカーはゴム系の素材に反応し、溶けてくっついてしまう特性があります。

特にギタースタンドやギターハンガーに注意が必要。

ギター・ベースに直接触れる部分がゴム素材のものがほとんどで、立てて置くと触れていた場所が変質してしまいます。

ラッカー塗装のギター・ベースをスタンドに立てるかハンガーに吊るす場合は、そのままでは使わずクロスなど布で覆った状態で使いましょう。

ギタースタンド、ハンガーのゴム部分を覆う専用のスタンドブラジャーなるパーツもあるので、活用すると良いでしょう。安いですし。

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他にも長時間弾いていたらボディーの裏側にTシャツの印刷が移ってしまった事例もあります。

一度変質してしまうと補修には大がかりな修理が必要になり、しかも完全に元に戻すのは困難です。

対してポリウレタンは非常に安定した塗膜を持ち、そう簡単に変質することはありません。ギタースタンドやハンガーに気を遣わずとも大丈夫です。

キズのつきやすさ

塗装にはキズからギター・ベースを守る役割もあります。

しかしラッカー塗装は比較的柔らかいため、細かいキズや打痕などがつきやすい特徴があります。

一方ポリウレタン塗装はラッカー塗装に比べ塗膜の硬度が高く、細かいキズや打痕に耐性があります。

ただし、硬いため割れやすく、強い衝撃を与えるとパリッとヒビが入ったりはがれてしまうことがあるので注意。

なお、ラッカー塗装は硬化の仕方の特性により年月を経ることで塗膜の硬度が上がる特性があります。

十分に硬化が進むと最終的にはポリウレタンよりも硬くなり、キズに強くなります。

ただし硬度が上がるにつれて柔軟性が失われ、ポリウレタンと同じく衝撃によりヒビ割れやすくなるので注意。

この辺りについて詳しくは別途解説していますので、下記リンクよりあわせてごらんください。

色焼け・変色

色焼けや変色の面でも、どちらかといえばラッカー塗装の方がデリケートです。

もともとちょっと黄色っぽい色の混ざったラッカー塗装ですが、日焼けや経年変化によって更に色が濃くなったり、色が抜ける現象が起こります。

(これはこれで味があるエイジングです)

ポリウレタンは比較的安定していますが、やはり長い年月光に当たると黄色くなる現象=黄変を起こすことがあります。

特にスノーホワイトなどパキッとした白では目立つので注意。使わない時にスタンドに立てておくのではなくケースにしまうことである程度対策は可能です。

どちらもいつも同じ部分だけ光が当たってるとその部分だけ色が変わってしまい、ちょっとダサいことになります。注意しましょう。

サウンド面ではラッカー塗装の方が有利

ラッカー塗装はデリケートで扱いにくい上に、ポリウレタン仕様よりも高い。

いいところがなにもないようですが、ラッカー塗装には「 音 」が良いという最大のメリットがあります。

正確には「 塗膜を薄く仕上げやすく楽器本来の鳴りを邪魔しない 」ため、鳴りがよくなる傾向があるのです。

厳密には鳴りの良し悪しが必ずしも音の良し悪しとは言えませんし、ポリウレタン塗装でも鳴りの邪魔をしないよう塗膜を薄く仕上げることも可能です。

しかし、やはり塗膜の薄さでラッカー塗装の方が有利であることに変わりはありません。

この点は楽器としてのポテンシャルを決める重要な違いといえるでしょう。

番外編:ポリエステル塗装

中にはラッカー塗装でもポリウレタンでもないポリエステル塗装がなされているギター・ベースもあります。

今回はかなり長くなってしまいましたし、ポリエステルについて詳しくは別途解説していますので、気になる方は下記リンクよりどうぞ。

ラッカー塗装とポリウレタン塗装の違い まとめ

  • ラッカー塗装は非常にデリケートで高価だが、音響特性に優れている。
  • ポリウレタンは非常に安定した塗膜を持ち、初心者でも扱いやすい。
  • これらの違いはそれぞれの塗料の特性と硬化の仕方によるもの。

なんだか「 高いけれどエイジングと質感が魅力の本革 」と、「 安価で扱いやすい合皮 」の違いに近いものがありますね。

どうしてもラッカー塗装の方がプレミアム感もありますし音も良いとして人気もありますが、ポリウレタン塗装でも楽器の鳴りを阻害しないよう薄く仕上げることも可能です。

ラッカー、ポリウレタンのどちらにもメリットはありますし、塗装の種類はあくまでもスペックの一つとしてあまり神聖視しすぎない方が良いでしょう。

なお、他にもオイルフィニッシュやシェラック塗装に加え、ラッカー塗装やポリウレタン塗装についても個別にも解説した記事があります。

ぜひ関連記事より併せてご覧ください。

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